- Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104628032
感想・レビュー・書評
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「7月24日通り」とはポルトガルのリスボンにある通り。
美人でもなく、これといった取り柄もない、平凡な会社員の小百合は、地形が似ているからと自分が住む地方都市の港町をリスボンと重ねている。
「ジェロニモス修道院前の停留所を出たバスは小さな丘をいくつか越えて市街地に入る。」などと。
学生時代から憧れていた聡との再会、聡の元彼女で上司の妻である亜希子、全く似ていない超イケメンの弟、その弟に必死な彼女、本屋でポルトガルの本を見ていた男性のことなど10編の短編から日常が描かれている。
美しく生まれ青春を謳歌できるほんの一握りの選ばれた人たち、地味で目立たない自分とは住む世界が違うとわかっていて惹きつけられながらも距離を置いていた小百合。
世の中のほとんどの人は小百合のように感じ、生きてきたのではないだろうか。
ラストの小百合の選択、願うようにドキドキして読んだ。
良かった〜。
中谷美紀、大沢たかお主演の映画も見たくなった。
(図書館) -
主人公はどこにでもいる地味で平凡なOL
彼女の唯一のプライドは、誰もが認める容姿端麗な弟の存在
自分のことが好きじゃない、というか半分あきらめているけど、
心のどこかでは光の当たる人と対等になれるかも、
という期待がいつになっても捨てられず、
自分に良く似た平凡な弟の彼女を認められない・・
巻末のあとがきが私の感想そのもの!
そして、この文章は結構納得してしまったなぁ
「どの幼稚園にも、必ず王子様役に選ばれる男の子がいて、
同じように必ずお姫様役しか考えられない女の子がいる。
たかが生まれてから三,四年の人生経験で、彼らが
王子様やお姫様にふさわしい魅力を得るはずがない。
そう考えれば、人間の晴れやかな魅力というのは、決して
人生経験などからではなく、生まれた瞬間に与えられるか、
与えられないかの違いなのだろうと思う。」
章のタイトルが最後に効いてくるところや、
寂れた地元をリスボンの街に重ね合わせるという発想など
この人の凝った作りはいつも通り
嫌いじゃないです -
女性作家の小説に免疫がないからかもしれないけど、吉田修一と知らなければ女性が書いた小説だと言われても疑わなかったかな。でも、めぐみとの会話の中に現れる目次のタイトルの使い方は男っぽいような気もする、理屈っぽくて。本田が自分の住む街をポルトガルのリスボンに置き換えた発想が面白かった。確かにそんな風に考えると毎日が旅行者みたいで楽しそうだ。
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友人のブクログで高評価だったので。
冬の港のある街(しかも雨が多い)の話のため、イメージカラーはグレー。
章ごとのタイトルが下揃えで書かれている本は初めて出会いました。
強烈にキャラ立った登場人物がいないためか、個々のエピソードに感情移入しやすかった。
寝る前に読んでもドキドキハラハラはしないし、かといって続きが気にならないわけでもない、今の気分に適した本でした。 -
2012.01.27読了。この本も映画もずっと気になっていたあたしは7/24生まれw 映画はまたちょっと違いそうだけど、観たいですキュンキュンしたいw 主人公と似ているところもきっとあって、すらすら読んでしまいした。リスボン行ってみたい。間違ったこと、の後を知りたい。
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写真/畠山直哉 装幀/新潮社装幀室
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イケメンの弟を持つ、地味な姉の話。各章が面白いサブタイトル付いてると思ったら、イケメンの弟に地味な彼女が出来、その子が自己分析したものである。姉は自分の街をリスボンに例えて、通りの名前や建物を読んでいる。姉も地味な性格だから、勇気を出して、最後、間違えたことをしてみる!と東京へ向かう。昔のドラマを見てるような気持ちになった。
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生まれた日にちのタイトルだった。
という理由だけで読み始めたけど、そんなの関係なしに
面白かった!!
リスボンの7月24日通りをイメージし、自分の想像のからを
破ることのできない女性を描く物語。
「間違えたくない。」そんな誰もが思い悩むことだけど。
間違ったことにも時には挑戦しなくちゃいけないんだなと思わせる本でした。 -
身につまされるというか、そんな感じで読み終わった。
誰かを好きになるのは、切ない。
そして、その人に手が届くはずもないと思いながら好きでいるのは
本当に切ない。
どういうわけか、なんとなく好きになってしまうと分かっているのに、
きっとうまくいかない人だと分かってしまうことがある。
そんな思いを抱き続けるのは本当に切ない。
けれども、思い切って間違ってみるのも、いいじゃないかとしみじみ思った。