シシリエンヌ

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 95
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104660025

感想・レビュー・書評

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  • エロい。
    エロすぎる…野ばらちゃん如何しちゃったんだろうって思ったわよ。
    うん、嫌いじゃない。
    …でもすんませんハッピーエンドにして下さい。

  • 信頼を置いている野ばらちゃん作品。

    今回は他の作品に比べてかなりハードな性描写で休憩を挟みながら読んだが、「貴方」の痛いほどの女らしさが眩しくて心を奪われた。
    見返すと殆どのページが性描写。(ただし、厭らしさ<耽美)

    こんな内容なのに(だからこそ?)愛してると一言も言わなかったのが最初からねじ曲がった愛だなーと思う。
    「貴方」は他の人ができないことを簡単にやってのけて、他の人が簡単にできることができないタイプの人間かな。
    また、最初にいた主人公の彼女も中々に大人だと思った。
    プラトニックラブがあるように、性的な魅力だけを愛する愛を肯定しているあたり。
    やっぱり魅力的な女の人は考えすぎて何考えてるかわからない人。

    あと、野ばらちゃんお得意のメゾンの名前を並べる表現、私はあれ大好きです。

    野ばらちゃんの作品を読んでいると現代でよく言われている「モテる女の子の特徴!」みたいなのがよりいっそう馬鹿馬鹿しく感じてくる。
    本当にモテる「女のコ」はそんなんじゃないのにねーって野ばらちゃんと語り合いたいな。

    周りの人に勧めることは絶対にしない、わかる人に分かればいい作品。
    野ばらちゃん作品を一通り読んだらまた戻ってくると思います。 

  • 所々に登場する洋服のブランド名、特徴的な文体、貴方と僕の一人称。変わらない野ばらちゃんワールド、全開。ロリヰタとは真逆の大人な作品。
    本編の殆どが性行為の描写。けれど決して下品ではなく、妖艶で純愛で、悲しさまでもが表現され、独特の文体のおかげもあって自然と読み進められる。
    前半の、一目惚れからの暗い美容室でのやりとりのドキドキ感。いつの間にか自分も貴方の虜となる。
    後半は、地下の暗さとライトの眩しさ、香水や性行為の匂いや雰囲気までもを感じさせる描写。そんな中でも懸命に明るく生きる主人公と女の子たちの和やかな空気。まるでそこに自分も存在するかのような錯覚を起こさせるのはさすが。
    いくら特別な日々を過ごそうとも、体を重ねようとも、思い出すのは何気ない素っ気無いとある日の会話。
    大事だから、大好きだから、大きくなりすぎて怖いから、離れる。そんな人間特有の「なんで?」な行動を書けること、そして、それが一層、物語と読み手を無残にも哀しく引き裂いて終わらせる。

    君の生き様と洋服のリンク、懐かしさと虚無感を感じさせる、終始野ばら要素がブレない内容だった。
    わたしは人生に於いてもインポテンスなのだよ、という言葉の破壊力よ。笑いどころではない場面なのに笑ってしまった。


  • 君には幸せになって欲しい。
    嶽本野ばらさんの美しい文章と、妖艶で耽美な世界に誘われてきました。

  •  ここまで物語の前半と後半で印象の違う小説はそうないと思う。

     今まで自分が読んできた嶽本野ばら作品の中でも、秀でて告白ぐあいがすごい。どうしてこんなに倒錯した美しい世界を書くことが出来るのだろう。自分にはどう足掻いたって届きそうもない恋物語が、この小説にはある。それに恍惚として、ちょっと哀しくなる。この感覚は一生忘れない。自分は嶽本野ばらさんの作品の他に、醜いとみなされているものに具備する美しさを赤裸々に語れる作品を知らない。

     印象に残ったのは「僕」と「館主」のマリアについての会話と、「貴方」がyohji yamamotoを着る理由、そして、「貴方」の「僕」に対する思いだ。

     ブルーフィルムに生きるアングラ世界の住人、「館主」に「僕」は「最低ですね」と言うが、読んでいて自分もそう思った。しかし、「館主」が話を進めていくにつれ、彼の「美学のあるエロス」を聞いていくにつれ、印象がガラリと変わっていく。醜いと思っていたものが、突如、眩しいまでの美しさをまとい始める。

     「貴方」は「僕」を閉じ込める監獄であり続けた。「僕」は「貴方」を憎み、愛し、求めた。が、それゆえに「貴方」はまた、不安になっていったと語る。永遠の幸せを信じることが出来なかった、と。やはり「貴方」に対する自分の印象も、ここでガラリと変わる。そして「貴方」――「永久に枯れない薔薇」は、気高くyohji yamamotoをまとった女性であり続ける。このような嶽本野ばら独特の、「貴女」=yohji yamamoto といったファッションの役割が、ものすごく好きだ。

     今、この本にはたくさんの付箋が貼られている。すべて自分が興味を持った、或いは心を動かされた会話や表現だ。これ以上語ることも難しい。今はとにかく余韻に浸りたいような気がする。そこで、この小説で心に残った文章を引用して、強引であるけれども感想としたい。・・・・・・本当に大好きになった本でした! ありがとうございました!

    『背が高い、顔がいい、手先が器用だ。――そのようなことと同一に、ハンディキャップを飽くまでポジティブに捉えようとする者達がいる。館の女優達は皆、そうなのだ。彼女たちは女優として生きることに己の誇りを持っている。彼女達は強い。しかしそれは最初からあったものではないでしょう。誇りと強さを内に秘めるまで、どれだけの煩悶と挫折、葛藤と自己嫌悪を乗り越えてきたことか。彼女達は美しい。何よりも美しい。』(本文より)

  • 性描写は直接的で過剰であり,好き嫌いがはっきりわかれるところだが,その中に抒情や愛があることはよくわかる。
    しかし,この作品の根幹であるはずのセンスの表現がとても残念。服飾や化粧品に対するこだわりを通じて美意識を表現したいのだろうが,その表現方法がブランドネームを横文字で示すという程度かと思うとかなり興ざめだった。

  • 再読。私の感性が変化し、この世界観がわからない、理解できないものになってしまった。ただのエロ本としか思えず、後半は特に気持ち悪くて嫌な読後感。メリザンドの行動も、昔は切なさに想いを馳せられたけど、今は理解不能でしかなくなった。
    嶽本野ばらが、大人になった私には必要なくなったのだと実感。

  • 購入

    嶽本野ばら作品の中でも特に好きな小説。

    かなりヘビーな内容なので、
    気力体力必須。

    読んでいると夢なのか現実なのか分からなくなってくる不思議。
    読み終えた後の何とも言えない余韻。

    野ばらちゃんには、またこんな作品を書いて欲しい。

  • 詳細に描写される服装の描写といい、てんこもりの性描写といい、こんなにも過剰な文章を読んだというのに、結末にはある静けさを感じる。思い出が美しいまま残るように、「終わる」ことによってもたらされる完成。

  • 自分の美意識を貫いていく話。

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著者プロフィール

文 嶽本 野ばら
京都府宇治市出身。作家。
1998 年エッセイ集『それいぬ̶ 正しい乙女になるために』(国書刊行会)を上梓。
2000 年『ミシン』(小学館)で小説家デビュー。
2003 年発表の『下妻物語』が翌年、中島哲也監督で映画化され世界的にヒット。
『エミリー』(集英社)『ロリヰタ。』(新潮社)は三島由紀夫賞候補作。
他の作品に『鱗姫』、『ハピネス』(共に小学館)、『十四歳の遠距離恋愛』(集英社)
『純潔』(新潮社)など。『吉屋信子乙女小説コレクション』(国書刊行会)の監修、
高橋真琴と共書絵本『うろこひめ』(主婦と生活社)を出版するなど少女小説、お姫様をテーマとした作品も多数。

「2021年 『お姫様と名建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

嶽本野ばらの作品

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