- Amazon.co.jp ・本 (147ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104669059
感想・レビュー・書評
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ヒモ生活から失踪して、流されるように新潟、富山と移り住む男が主人公。
しょうも無い男の話だが、文章のリズム・テンポが良いので次々ページをめくってしまった。
な〜んだか冷たいし、人間的にどうよ?という男なのだ。
相手の身になってみるとかしないし何か欠けているようにも思える。
でもついつい読んでしまう。
土地の描写が秀逸。感じ方の面白さ、新潟にしても富山にしても行ってみたくなる。
呉にいたってはジェノバとの対比!とても興味深かった。
ラスト、小説の主人公にされた男が標本になるまいと必死に抵抗してくる。読み手に対して好戦的な態度で。
この作者らしいニヒリズムを感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
テンポよく読めたけれど、うまく読み取れなかった。
それでもおもしろく読めたのは、文章のうまさなのかな。
文中に出てくる本やなんかを知っていればもっとわかるのかもしれない。
図書館から借りた本なので、さっと読んでしまったけれど、もっとじっくり読めば、心に響く文章があったかも。
でも、今もうラストが思い浮かばない。 -
絲山秋子さんは働かない「たびのひと」を描いたら秀逸。何事にも囚われたくなくて逃げている主人公が最後に自分の故郷に戻り不愉快な本の続編に囚われる。
ヒモである主人公に纏わる女性たちが皆どこか、密かに抱えている秘密を持って生きているところを描いているのが上手いなあと思った。
しかし、短編のせいか、謎が謎のまま残っており、もう少し謎が知りたいまま終わるため不完全燃焼な読後感。
日本海の鈍く曇った空とか、海に向かって窓の閉じた家並みの街と、瀬戸内海のジェノバに似た街に生れるのでは、育まれる人の性質が違うのだろうか。 -
東京,新潟,富山と放浪して,最後に呉がでてくる.呉には馴染みがあるので面白かったが,パリやジェノバを含めてこのようにあちこちを転々とする人の生き方がよくつかめない.このような人生もありか? と感じた.
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考えてみれば、自分より若い作家さんがずいぶんと増えました。
先頃いろいろあった芥川賞受賞者もうんと若い方々でした。
若い作家さんの存在は知っていますが、めったに手に取ろうとは思いません。
頭が固いというのか、柔軟性が無いというのか、はたまた意固地なだけなのか、自分でもわかりませんが、自分にはあわない。と決めつけているようなところがあります。
今回の 絲山さんもそのひとりです。「ふっと手にとってしまったんです」ね~~ 題名に惹かれたんですかね。
内容が濃いのか薄いのか、私はじっくり読み込む方ではないので、読了後、さあ考えてください。というような本はちょっと苦手でして、それでどうなんですか?とこちらが問いたいでした。
やたらと出てくる、言葉をのばす「う」の変わりに使われている「―」。何かの効果をねらっているのでしょーがひじょーに目障りでした。 -
短編「愛なんかいらね~」の続編のような作品。
こちらは前作品の相手役だった男の話。
これを読むとミステリアスだった彼の秘密が少しわかります。
相変わらず引き込まれて一気に読んでしまいました。
よっぽど相性いいのかなぁ。 -
タイトルにある不愉快な本とは何を示唆しているのでしょうか。私には太宰治の『人間失格』を連想させるとともに『人間失格』をモチーフに著者:絲山 秋子氏が連想した現代版『人間失格』の創作続編かなと感じました。
(絲山 秋子先生、間違っていたらゴメンナサイ)
いつの時代も自分の性に抗えず生きることに間々ならない人間がいるものと思います。そんな生き様と死に様を一人称で語る物語は拠り所の無い人の心の隙間を垣間見るもでした。
読後感=現代版・・・人間失格かも・・・
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軽やかで、時々ズキッとする。
…変態 -
バンコクへ向かう機内で読了。文字の密度が低くてあっという間に読み終わってしまったんだけど、なんかこれって....。(苦笑