セックスボランティア

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著者 : 河合香織
  • 新潮社 (2004年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104690015

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セックスボランティアの感想・レビュー・書評

  •  障害者の性について取材したルポルタージュ。かなり衝撃的な題材と言える。が、正直なところ、著者の力量が題材に比して不足してたと感じた。

     著者の力不足を感じた一番の理由は、著者の性(特に男性の性や性欲)に対する理解が表層的だということにある。どうも著者は、性についてはお互いの愛情に基づくセックスという唯一の正解があり、他は全て擬似・代替行為と考えているようなのだ。が、男性にとっての自慰行為は、単なるセックスの代替行為ではない。自慰行為そのものを究極まで突き詰めたものの一つにTENGAがあると言えるが(『TENGA論』http://booklog.jp/users/tomiyadaisuke/archives/1/4812439051参照)、そういう同じ食べ物でもラーメンと寿司くらい違うオナニーとセックスを、「性行為」というカテゴリで均一化してしまっているため、インタビューを重ねても著者の考察が積み重なっていかず、結局何が言いたいのかよくわからないまま終わっている。

     書き手の力量には問題があるが、インタビュー内容については色々考えさせられることがあって面白かった。
     著者は「障害者と性」という問題枠組みで取材を重ねているが、そこで立ち現れる問題は、障害者・健常者に関係なく存在する一般的な性の問題だったりする。
     例えば、第3章では、障害者専門のデリヘル嬢をする聴覚障害を持った女子大生が取材対象である。が、彼女は彼氏に内緒でデリヘル嬢をやっており、そのことについて彼氏に対してあまり後ろめたさを感じていないようなのである。著者はその感覚に戸惑っているようだが、こういう戸惑いを覚える話は、援助交際をしている女子校生たちのインタビューなんかでよく遭遇するものである。
     また、性欲があるからといって、じゃあ性的サービスを…という訳にはいかない。性的サービスを受ける障害者だって人間なんだから、こと性のことにおいて誰でも良いなんてことはない。ある組織に登録されているセックスボランティアは40代から60代なので利用していない、というのは、熟女好きでない限り、まぁわかる話である。更に、障害者同士のカップルは性行為をするに際して介助が必要なケースもあるが、介助してくれる人が男性だと「妻の裸を見られたくない」と夫が思ったり、女性でも妻が嫌がったりすることがあるが、これも理解に苦しむ話ではない。裸や性行為前後の姿を見られたくないのは、障害の有無には関係ない。
     あと、性的サービスをしている内に、性的サービスをする側・される側に感情的な問題が発生することもあるという。これも当たり前と言えば当たり前の話で、セックスから始まる恋愛もあるように、セフレに情が移るみたいなことだって、考えれば十分にあり得ることである(むしろお金で割り切った方が心理的に後腐れが無いという場合もあるだろう)。

     障害者の性事情を読み進めていると、どんどん人間の尊厳の本質に迫っていくようなことを考えさせられていた自分に気がついた。性欲の処理だけを考えるやり方は、そのサービスを受ける障害者の人格や尊厳のことをちゃんと考えてる? と思う一方で、尊厳を重視する余りに障害者の性欲を軽視ないし無視するようなのも違うし…おそらく、もっと選択肢を増やす中で答えが見えてくるのだと思うところである。

     著者は、障害者の既婚率が思っている以上に高いことや、性風俗に関する一般的知識など、もう少し基礎知識を押さえた上で取材に当たるべきだったと思うが、扱ったテーマとインタビューについては色々考えさせられるものが多かった。ちょっと内容的にはハードだが、少しでもこの問題に興味があれば一読を勧める。

  • 高校3年生の時に読みました。当時としては男女の関係に5体満足の状況に置ける情報しかなかったのでかなり戸惑った記憶があります。「健常者」とされる僕らから見たら「そうでない」人に対する性的支援の機関(というのか?)の存在があるということが一番の驚きで(それもおかしな話ですが)した。

  • 衝撃的な題材だったので読んでみた。(大学の図書館)

    障碍者の性についての話。誰にだって性欲はある。しかし、障害を持っているとなかなかその発散がしにくい。そのたまに今は障碍者専用のデリヘルやソープが存在するらしい。

    私も先日、出会い系に登録してたら障碍者の方からメールが来た。「挿入はなしでいいから、触らせてください。私は車いす生活です。」という感じのメールだった。少しびっくりした。結局、家から遠いところの人だったからメールは無視してしまった。この本を読んでいたら自分の行動も少し違っていたかもしれない。。。まあ、売春はいけないことだけどね。

    性欲って誰にでもあるし、だれかと肌と肌を重ねたいというのは、ご飯を食べたり息するのと同じ生理現象だと思う。だから私は援助交際自体を悪だとは思わない。彼氏が風俗言っても嫉妬はしないだろうな。(援助交際はやっぱりいやだけどwww)

    障碍者専用のデリヘルも、障碍者を食い物にしているという批判はあるけれども、必要としている人がいるならは必要悪なのではないか。お金を払い満足しているならそれでいいと思う。また、無償で行為を行う団体もあるそうだがそれはちょっと違うんじゃないか。そこは健常者と同じ対応で良くないか?

    うーん。考えがまとまらない。もっと考えてみよう。

  • 障害者相手であれば性的サービスを提供することは誉められるべき行為?ボランティアならよいのか?思うように性交渉できない障害者のためのセックスボランティアが賞賛されるべきなら、色んな事情で性交渉の相手を求めている健常者に性的サービスを提供する一般的な性風俗も、どう違うのか。そもそも性交渉が「ボランティア」って?性欲の解消のためだけの商業的売春、社会性が加わった社会的売春、代理恋人療法だなんて区分けはホントに可能なのか…。
    オランダでは、障害者に性交渉のための助成金を出す役所がいくつかあるらしい。

  • これまで読んで来た本のなかで、なかなか忘れられない本。
    これからも忘れたくないので、登録しました。

  • 2004年刊行。自然な意味で性欲を持つ障害者。人間として、その点は健常者と異なるところはない。しかし、綺麗に言えば、愛情を育みながら、その相手との仲で性欲を満たすという道を閉ざされている。この見たくない現実を本書が活写するが、その提起する問題は決して軽いものではないはず。

  • 障害者の方が求めても手に入れられない性について、ボランティアを含めて提供している現状のルポルタージュ。身体障害や脳障害をお持ちの方々が登場する。健常者と同様の性欲を持つのは当たり前のようにも感じた。意識は健常者と変わらない中で、性に対するハンディキャップをどのように埋めていくのか?大きな課題に感じた。

  • ボランティアの本質といいますか、ボランティアの限界を垣間見た感じがしました。セックスボランティア・・・、男性障害者への女性、あるいは男性ボランティア、女性障害者への男性ボランティア。。。無償の愛なきボランティアとはいかなるものか、また、お金の世界に愛は介在するのか。。。人間とは、健常者、障害者にかかわらず、いつの世も、いくつになっても、悩みかつ夢を見るものなんですね。坂口安吾の「堕落論」、太宰治の「人間失格」再読の時期でしょうか・・・。ノンフィクションライター、河合香織さんの作品です。

  • 難しい問題は置いておいて、
    私はこの著者が好きだなと思います。


    性がどうして必要なのか
    なにが正しい性の在り方か

    なんて、誰が答えられるのか…


    性について悩んでいる問題は誰にでもあって、
    問題の内容は人によって違うから、
    理解しあえたらいいなと思いました。

    自分勝手だけど、
    私も大好きな人と幸せなセックスがしたいです。

  • 障碍者の性、という扱いにくいタブーについてのノンフィクション。とにかく考えさせられた。
    クオリティオブライフに、食事や排泄はあるが、性はないのではないか。頼みたくても頼めない。
    性は生きる根本、という。

  • 初版は2004年。その当時に、このような問題を世に問うって凄いと思う。わたしは当時中学生かそこらで、社会問題にあまり関心がなかったから、その頃世の中がどうだったかってわからないんだけど。

    生活保護や、障害者雇用の問題について考える上で参考になるかと手にとった本で、思いのほかいろいろなことを考えるさせられ、まだどう消化すればよいかわからない。
    関係者の人の語りや描写が中心で、筆者のこの問題に対するあるべき論の議論がある訳ではなく、筆者自身もこの問題に対してどう考えていけばよいのか、自身や読者に問うているというか。

  • 一般教養として読んでおくべきだと思う、障害者の性との向き合い方の本

  •  障害者の恋愛観、セックス観に迫るノンフィクション。
     ハズレ知らずの多彩なインタビューが本書の見どころ。命がけでソープランドに通う高齢者や、出張ホストを利用する女性障害者、障害者の性処理を手伝う健常者の女性、障害者専門の風俗店の経営者に、自身も障害を持つデリヘル嬢など、関連プレイヤーの取材は多岐にわたる。
     全体的に重苦しい空気が漂う中、障害者夫婦の語る結婚生活がいい感じに抜けていて、アンバランスでおもしろい。
     しかし、どのような事例紹介よりも、冒頭に男性の社会福祉士が、手足が不自由な男性障害者のマスターベーションの介助をすることを、「おおっぴらに語られていないだけ(中略)別に珍しいことではありません」と語るのがいちばん印象に残った。
     タブー視されてきたテーマに向き合った本書の吸引力は凄まじい。時間が経つのを忘れて読みふけってしまった。絶対的な解は読後も得られない。深く考え込んでしまうことうけあい。

  •  リハビリテーション的な面での性行為って考えた事が無かったのでした。
     ただ人間の欲求の1つとして、性行為は外せないものであるし、
     病院でそれについて患者さんに指導した事が無かったのも事実です。
     
     CPに関わらず、脊髄損傷、片麻痺など。

     沢山の疾患が有る中で、SEXって何なの?
     というか、病気に成ったらSEXできないなぁ、
     と漠然と決めつけていたのも事実でした。

  • 障害者の為のセックスについての援助・補助を掘り下げたドキュメント
    実に複雑で難しい問題で
    よほど精神的な自律が無いと答えを導き出せない

    と言うことは誰にとってもセックス以外でも同じことで
    人類の全てが同じ問題を抱えていることを浮き彫りにしてくれる

    比較としてとらえると物理的に制限された環境のせいで
    ある種の開き直ったスタンスから率直に還元された人間そのものを
    浮き彫りにして見せてくれる

    自分を見ようとすることでは見えない自分自身を
    人事としてとらえることで客観的に見ることができる
    障害者と認定された人だけでなく
    誰だって援助や補助する人なしに異性と出会えるわけでない
    だからこそ世の中には
    見合いやコンパやダンスパーティーや出会いサイトや
    ホストクラブやソープランドがあふれている

    人と人が寄り添うほど、癒されもするけれど
    依存関係を深めて疲れもする
    一時のデートと毎日の共同生活はまるで違う

    人間がこれほど寂しがり屋で肉体に依存して
    一人で何もできない甘えん坊だと言うことを
    セックスとセクシュアリティーを通して見透かすことができる

    心を鏡にして肉体を映し
    自分を観察している毎日が淀み
    ジグソーパズルのピースがつながっていかない
    それどころか間違ったピースをはめ込んでいるために
    流れは益々混乱をきたしている
    愛が心に広がることで自分や第三者のセックスを解放できればいいのだけれど
    欲望という意思が強い間は無理な望み
    もっともこの望みという奴も欲望の一つなのだけれど

    精神・心・肉体そして愛とハグとキスとセックス
    ボランティアは肉体のどこまで入っていけるのか
    ある人はハグまでだと言い
    別の人はキスまでなら可能だと考える
    そしてセックスは事務的にできるけれど
    キスは誰とでもと言うわけに行かないと言う人もいる

    心を無視して肉体的距離を近づけるほど精神的な距離が遠ざかる
    心によってリードされた肉体の接触は
    精神的な成長につながる
    と言うことでないだろうか

  • 障害者介護体験をしたので興味がわいて読んだ本。
    障害者の性をサポートするセックスボランティア。
    日本だけで泣くいろんな立場の人の話を筆者がまとめた内容。

    実際のところどうなんだろうとは思っていたけれど、やっぱり世間からはタブーの目で見られているらしい。
    世間だけでなく親しい人や家族にも亀裂が生じることがある。
    体が不自由でもなお性を求める人間に生物の生き生きした一面を見た。
    また、思いやりがあだになったりするのはこういう繊細な問題では起こりやすい。
    障害を持つ人をどんな風にサポートしていくのがいいのか、性に限らず考えさせられる本。

  • セックスは
    「性欲」だけでは説明できない、して欲しくない
    と思った。

    障がい者の性、高齢者の性。
    ずっと疑問に思ってた。
    この本には、その答えは何にも書かれてへんけど。
    でも、これからも逃げずに考え続けてええんやで、
    って、この本にポンポン、て背中押してもらった気がした。

  • 昔読んでから忘れられない本の一冊。
    表のメディアではでてこないが、人の生きざまとしてあるということ。

  • 色々と考えさせられる内容だった。

  • 障害者の性、というより自分の性、一人ひとりの性について
    考えに考えて書き切れなくなった感じがリアル。


    でも、パートナーと話し合いながら
    セックスしてる人って少ないと思う。
    結局、性について、
    セックスについて、
    「話し合えない」「分かり合えない」「言えない」って人間関係の障害になったり、
    自分が人間関係を作る上での障害になってる。
    そのことに気がついてない人がすごく多いんだと思う。

    名前が過激と思われるかもしれないけど、テーマそのまま。

    この本は良い本だと思う。

  • ボランティアの話というより、障害者の性生活についての本。
    自分が最近ボランティアツアーに行ってるのとこの本を読んだのは関係ありません。たまたまです。

    障害者同士のカップルが結構いるのが驚いた。

    体が不自由な方は自分で性処理できないからボランティアに頼ることになってしまうと思うんだけど、そうすると(割り切った形での)体のお付き合いやいわゆる「手コキ」などを提供してもらうことになり、健常者がお金を出してやってもらう「風俗」的なイメージになってしまうよね。

    で、健常者が大金はたいて処理してもらっているものが、障害者はボランティアでやってもらってるという。

    もちろん、相手の見た目の綺麗さとか年齢とか違いはあるけれども。

    「障害者が恋愛、ましてや性欲なんて」という考えが一番いけないな。


    食欲、睡眠欲、性欲を三大欲求として同等に扱うのはやっぱり無理があるんだろうか。

  • 図書館で目にとまった1冊。  ウ~ン難しい問題だ。 男も女も障害者も健常者もそして高齢者も性欲はある。
    介護を受けながらも性の処理をしてもらう・・・
    福祉とは奥深い。

  • ☆3.5

    障害者に対して性的サービスを行うセックスボランティアを中心に障害者の性愛を広く取材したノンフィクション。国内だけではなく性の先進国(?)のオランダの実情も取り上げられてる。

    本書を読む前に、セックスボランティアをはじめ障害者の性の問題についてはある程度知っていたから、特に衝撃と言うこともなかった。センセーショナルに扱っているわけでもないし。親が介護している50代の障害者が若い女の子のケツを追いかけているという話も聞いていたし。

    現在障害者ではない俺にとって本書で取り上げられているほとんどの事柄は自分の問題とはならない。けれども、オランダの一部の市役所が行っているセックスボランティア団体への非公式な助成金給付は障害者だけの問題ではないと思う。なぜなら、助成金給付の問題は、性愛が人間の最低限の生活に欠かせないものであるか否かという難問に行き着くと思うから。

    性愛は人間の生活を豊かにする可能性をもつものだけど、必要不可欠なものでない、というのが現時点での俺の結論。従って、仮に日本でもオランダのような助成金給付の問題が起きたら、反対するだろう。

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セックスボランティアの作品紹介

障害者だってやっぱり、恋愛したい。性欲もある。その思いを満たすための「性の介助」の現実とは?彼らの愛と性に迫るノンフィクションの意欲作。

セックスボランティアの文庫

セックスボランティアのKindle版

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