脳と仮想

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著者 : 茂木健一郎
  • 新潮社 (2004年9月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104702015

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脳と仮想の感想・レビュー・書評

  • 「クオリア(数量化できない物質の質感)」をキーワードに、茂木健一郎が「心」について考察した小林秀雄賞受賞作。科学的世界観の視点では人間の主観的経験に対して本質的洞察を提供できないということに注目し、脳という空間的限界から解放された「仮想」について考察されています。「私たちは、脳内現象としての世界全体を引き受けているのである」…読み終えると、今まで当たり前だと思っていたことが奇跡のように感じられるはず。茂木健一郎の著書は数多くありますが、これは間違いなく必読書です。

  • なるほどこいつぁ偉い奴だ。
    単にロマンチックなもじゃもじゃじゃないんだな。

    神や魂や未生の記憶といったテーマを、いちリットルの脳からなるべく飛び出さないように、丁寧に考えていく。
    それでいて気がついたら素晴らしい飛躍を遂げている。

  • この本は前から気になっていた。一気にではなく1章1章時間をおいて読んだ。じっくり吟味して読んだということではない。書いてあることが一つ一つわかったという訳でもない。漠然とした読後感から思うことは、ひょっとしてこの人も自分と同じ発想を持っているのかもしれないということだ。

    浅はかながらも大学時代に思い至ったことがある。読書から人が感銘を受けるということはどういうことなのか。それは本を読むと作者の考えや表象がそれを読む自分にそのまま伝わるという訳ではあるまい。読者は作者の意図したものそのものからダイレクトに影響をうけることはあり得ないと。読書から感銘をうけるということはむしろ既に形成された自分の中のものを刺激することに他ならないのではないかと。

    とりあえずこの本を読み終えて今印象にあるのもこのことだ。茂木健一郎は「断絶の向こう側の他者の心」と表現している。日頃我々は人の心は容易にわかるものだと錯覚している。世の中もそういう錯覚のもとに出来上がっている。しかしいったん突き詰めて考えると自分と他人の考えを共有させることを保証するなにものも存在しない。

    それにも関わらず人と人は共感し合えることがある。それななぜなのか。クオリア(質感)という考えはそのあたりから発生するものなのだろうか。

  • 読んでいると没頭してしまう本と、気づいたら全然別の事を考えてしまっている本があるけど、この本は全く頭に入ってこない。

  • 脳科学、数学、文学、哲学‥あらゆる学問が目指すところが仮想である。

  • たぶん面白かった気がする。2004年か。

  • これまで科学が切り捨ててきた数字で表せない「仮想」がいかに大事か、という本。

  • 既存の学問の体系に猛烈な反感を持っていたという、小林秀雄の講演での発言をいくつか引用している第一章が一番おもしろかった。

    文体や言葉の選び方がかっこいいので参考になった。

  • これ初めて読んだときは茂木さんすごいと思ったのにな。

  • 話は上手ですらすらと読めるんだけど、「あたり前のことを面白おかしく言っているだけじゃね?」という気がしてならない。へーそうだったんだ、という驚きと無縁のまま読了。脳、なんてわけかわんないびっくり箱みたいな題材を扱っていながらこれはないんじゃないの。もう一冊読んでみようか迷う。

  • テレビでもおなじみ「茂木 健一郎」氏ですが、この人は本当につかみどころがないね。

    脳科学者の本といったら、どこのどの部位がどういった情報を処理し、どんな機能を有しているかなど、学問的な説明に終始しているかと思いきや、てんで抽象的な話になっている。

    「クオリア」という質感を手掛かりに、心についてある種哲学的な問いで迫っていくわけだが、著者の幅広い教養力があるからこそ読み応えのある本になっているわけで。

  • 未来志向も過去の思い出せない記憶の集積から発する
    他者という現実、自分の中の他者という仮想、相反する因が自分の存在を現実のものとしている
    震災という現実、仮想が今日本における最大の共有知だと感じた

  • 人間の経験のうち、計量できないもの、言葉に言い尽くせないことを、現代の脳科学では<クオリア>-感覚質-と呼ぶ。およそ意識のなかで「あるもの」と他のものと区別されて把握されるものは、すべて<クオリア>である。赤い色の感覚、水の冷たさの感じ、そこはかとない不安、たおやかな予感。人の心のなかには、数量化することのできない、微妙で切実な<クオリア>が満ちている。私たちの経験がさまざまな<クオリア>に満ちたものとしてあるということは、この世界にもっとも明白な事実の一つである。もちろん、物質としての脳と無関係に、私たちの心があるわけではない。計量できる経験とは無関係に、計量できない経験があるのではない。脳という複雑な有機体も物質である。物質である以上、そのさまざまな性質を数で表すこともできるし、方程式で書くこともできる。人間の脳内のニューロン-神経細胞-の数はおよそ一千億と数えられる。ニューロンが一秒間に何回活動するかも数えられる。ニューロンのなかの分子の種類も、その濃度も数えられる。そのような数の関係を方程式で表すこともできる。しかし、方程式で書けるような科学の方法は、私たち人間の主観的体験の問題に対しては、なんの本質的洞察も提供しない。クオリアに満ちた主観的な体験の質は、科学の方法ではわかりはしないのである。

    ‐他者という仮想-断絶の向こう側の他者の心-認知科学でいう「心の理論」モジュールがたとえ機能していたとしても、他者の心は依然として絶対不可視な存在である。-志向性と空間-脳内現象としての空間が構成される際に本質的な役割を果たすのが<志向性>である。私たちはあたかも「神の視点」を獲得しているかのように空間を知覚するが、その空間は必ず「私」という中心のまわりにひろがっている。抽象化された空間の概念には、本来特権的な中心点は存在しない。もし神の視点があるとするなら、どこか特定のところに中心点があるのではなく、空間のいたるところに偏在し、同時並列的にすべてを把握するとみるしかない。しかし人間の意識は、「私」に中心化された形でしか、空間を経験できないのである。-他者というものの恐ろしさ-断絶に満ちた世界-世界が根本的に断絶しているということ。その断絶をなんとか乗り越えて他者と行き交おうとするなかで、わたしたちは他者の心という仮想を生み出す。人間が生きるということはそういう世界である。

  • なんぢゃこりゃ。難しい。人間の脳は、オープンエンド。死ぬまで脳を回転させ続けよう。とまるな、思考よ。

  • 2007/08/10 読了 ★★★
    2011/02/21 読了

  • 序章 サンタクロースは存在するか
    第1章 小林秀雄と心脳問題
    第2章 仮想の切実さ
    第3章 生きること、仮想すること
    第4章 安全基地としての現実
    第5章 新たな仮想の世界を探求すること
    第6章 他者という仮想
    第7章 思い出せない記憶
    第8章 仮想の系譜
    第9章 魂の問題
    あとがき
    (目次より)

  • 題名だけ見るとSFだが、実際には思考や哲学、運動における脳の活動に関する論考。それにフロイトやユング等の哲学論を引用して解説されている。

  • 現実と仮想について、脳科学者から一般向け。

    思っていたよりは軽かったのでよかったです。
    著名人が身近に感じられるいろんなエピソードが面白かった。
    一章一章は丁度読みやすい長さですが、全体的には、同じようなことを何度か説明しているようで長い、という印象を受けました。
    ワタクシにその差異が分からなかっただけかも。

  • 色んなお話に「仮想」という概念を導入しただけで,まだまだこれからな感じはしますが,
    とりあえずおもしろいす.文庫も出たよ.

  • 恐らく、脳科学者として日本で一番有名な茂木先生の最初にして最後の傑作であろう。小林秀雄賞を受賞したということに、何か因縁(もしくは陰謀)の臭いがする。
    サンタクロースは、きっと存在するよね。

  • クオリアについて、噛み砕いて説明してある。非常に読み易い。が、ちょっと噛み砕きすぎかなあ…と思う。

  • 2007/08/10 読了
    2011/02/21 移動

  • この人の本は読んでおかなければとずっと思っていたので読んだけど、期待していたほどおもしろくなかった。「脳」の関する著作で、養老孟司先生と同じ領域。「自分が生きているこの世界は、自分のほんの1リットルほどの脳の中で起こっている」という記述は印象的だった。「思い出せない記憶」の重要性、「実らぬ契り」はなぜ美しいのかがわかったのはよかった。

  • これは面白いです。カッパーフィールドが「恥ずかしそう」というのは卓見で、マジックの少なからぬ関係者であるわたしもはっとさせられました。

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脳と仮想の作品紹介

数量化できない微妙な物質の質感=クオリアをキーワードとして、意識の問題に切り込み続ける気鋭の脳科学者が提示した新しい概念「仮想」。心とは何か。どこから生まれてくるのか。小林秀雄を出発点として、漱石、一葉、ワグナー、柳田国男、三木成夫…幾多の先人の痕跡を辿りながら、近代科学が置き捨ててきた「心」の解明へと迫る、脳科学の最到達点、画期的論考。

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