終電車ならとっくに行ってしまった

  • 新潮社
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感想 : 66
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  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104704026

感想・レビュー・書評

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  •  フジモトマサル画文集。文章と漫画が交互に。トリッキーな文章もあれば、素直なものも。ユーモアたっぷりもあれば、しっとり系も。いずれも心地よい。装丁も含めて全体的に真夜中の雰囲気。

     以下、自分用備忘メモ。
    ■何気ない系
    ・蚊との戦い。
    ・秘伝のタレとガソリン。
    ・猫とのコミュニケーション。
    ・夜の散歩。
    ■思索系
    ・退屈と戦争。
    ・スキーの思い出。
    ・死亡記事とヒーロー。
    ・『月光』第三楽章並の激情。
    ■自分ってこういうとこある系
    ・S子です。記憶の焼却夫。
    ・HELP。
    ・思い出し推敲。
    ・どこを見ているか問題。
    ■トリッキー
    ・遵法精神。ミード酒。

     漫画は、クジラが出てくるやつ、岐路のやつ、貝のやつが好き。

    • 111108さん
      akikobbさん
      「真夜中の雰囲気」いいですね!夜更かししてもいい自由〜また探します♪
      akikobbさん
      「真夜中の雰囲気」いいですね!夜更かししてもいい自由〜また探します♪
      2023/11/04
    • akikobbさん
      111108さん
      内容も、夜のシーンの話が多かったような印象でした。文章で味わうフジモトマサルさんの世界も良かったですよ〜♪
      111108さん
      内容も、夜のシーンの話が多かったような印象でした。文章で味わうフジモトマサルさんの世界も良かったですよ〜♪
      2023/11/04
  • フジモトマサルさんの画文集。随筆と、それにちょっと関係あるイラストには不思議な魅力がある。「Prrrのとき」がついにやってきたという終わり方がまたいいです。

  • 大好きな穂村弘の日記(?)『にょっ記』シリーズのイラストを描いた方が、書いたエッセイ(?)
    現実と夢と妄想が混じり合い、もやもやとした不安や不可思議を孕んだ文章は穂村弘を彷彿とさせる。

    4ページの文章と見開き2ページのマンガ。
    文章の始まりと終わりの間で、どこかがきっと捻じれている。
    そんなすわりの悪さが心地いい。

    星新一のショートショート「おーい、でてこーい」を思い出した。
    地面に開いた穴。深くて底が見えない。
    「何かいるのか?おーい、出てこーい』
    呼びかけても反応は何もない。そこで…。
    という話なんだけど、フジモトマサルの世界はまさにそれ。

    井戸の中だったり、夜空にある月だったり、床下だったり。
    現実と異界の間はきわめて些細なもので仕切られている。
    現実と異界の間を簡単に行き来しているうちに、気がつくと戻ってこられなくなってしまうのではないか。
    そんな不安を感じながら出版年を確認したら、まだ白血病を発症する前の作品だった。
    また深読みをしてしまった…。
    最後の作品、遺書みたいだと思ったんだもの。

    “しかし「本当にあったことかどうか」「客観的事実かどうか」はじつはそれほど意味がないのではないだろうか。どれほど心が動いたか、によって人間は作られていくからである。”

    文章とマンガの配置の仕方。
    活字のような字体の文字。(特にひらがな!)
    人間でありながら見た目がミツユビナマケモノの主人公。(普通の人間並みの速さで動くけれど)
    こだわりの一杯詰まった本は、ただ眺めているだけでも楽しい。

  •  森見登美彦氏の「聖なる怠け者の冒険」の挿絵で知ったフジモトマサル氏。アルパカ“似”の「5代目」を、アルパカ“そのもの”に描いてしまうその感性に惹かれないわけがなかった。挿絵集も買い、これからも楽しみだなあと思った矢先の訃報。お若かったのに。合掌。。
    ----------------------------
    Q.フジモトさんはどうして擬人化した動物の絵をよくお描きになるんですか?
    A.子供のころ読んだ絵本の中では、動物たちが喋ったり人間と同じような生活をする物語が、ごく自然なことでした。大人になって現実はそうではないと気づきましたが、まだその現実に対応しきれていません。(出典:フジモトマサルの仕事)
    ----------------------------
     という理由なのか、この本に出てくる自画像はカワウソ(?)だ。エッセイもたまらない。なんとなく感じたことのある不思議な感覚を的確な言葉で表している。『鳥の声質問サービス』、「思い出し⚪︎⚪︎(羞恥、怒り、推敲)」、その発想全てが愛おしい。ちょっとほむらさんに似てる。

  • フジモトマサルさんの著書を調べていて
    どうしても読みたいなと思っていた画文集
    でも、絶版となっていて密林の中古で5000円弱が最安値
    図書館で検索してみたら、3人待ち位で借りれました
    期待通りの不思議世界の暖かさに包まれ
    いつか、古本屋さんで見つけたら即買いだなと決心

  • ひんやりとした感触のエッセイ&漫画。もっと読みたくなる。

  • 2013 8/25

  • エッセイ、なのか…?
    漫画の、筆者?あれはなに、くま?
    かわいい。
    テンポがクセになる。どこか斜にかまえたような、とぼけたような。
    なんだかどきどきする。

    追記
    はじめての読了から約6年。
    本人さえこの世を去ったいま。度々読み返し、その度にもっと好きになる。
    柔らかく澄んだ夜の時間。酩酊はしても悪酔いはしない、不可思議な空間。

  • 夜寝る前にちょっとずつ読んでいった。
    とても楽しくて、ついふられた内容について考え込んでしまう。
    短いマンガも素敵。

  • 第一声は、、ナニコレおおおおもしろい。

    ミムラさんが『波』で紹介していらっしゃったのが気になって図書館で借りてきた。

    各随筆に添えられた漫画が味わい深い。随筆に書かれた図をそのまま漫画にしただけではなく、随筆とは別のユーモアや哀愁が備わっている。象徴的なのは著者以外のヒトがまったく出てこないということ。表れるのは、自分と自分を取り囲む風景、自然。見えないものと会話をしているのだ。自分は間違って人間に生まれてきたのだと云いたいかのように。

    フジモトさんは、時折ヒトと会話をすると自分の異様さがわかると言う。他人が自分に入ってこようが、全て自分を振り返る材料にしてしまうところが凄い。自分に還元して考えることができるのだ。この人は人に影響されはしない。染まらない。

    目には見えない不思議なものを好み、それらを想像することの楽しさを知っている。人間は穴に落ちるし、そこからたどり着けはしない空や宇宙を切望する。時に、どうしても穴に落ちやすい人と、空を羨望しすぎる人がいる。俗に「変わっている」と言われる人々。だがしかし、そんな人だからこそこんなふうに一味違ったエッセイが書けるのだ。

    (20110707)

著者プロフィール

フジモトマサル
漫画家兼イラストレーター。擬人化させた動物の絵を得意とする。著書に『ウール100%』(文化出版局)、『いきもののすべて』(青幻社)など。また挿絵や装画を手掛けた書籍に『にょっ記』(穂村弘、文藝春秋)、『村上さんのところ』(村上春樹、新潮社)など多数。2020年『フジモトマサルの仕事』(平凡社)が出版された。

「2021年 『小さなことにくよくよしない88の方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

フジモト・マサルの作品

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