いつか響く足音

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104711048

感想・レビュー・書評

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  • 口にはしない、表面からは分からない。。
    女の生き様をそれぞれ綴った話。
    都心から外れた住宅公団での、借金取りから逃げてる女や息子夫婦と上手くいかないばかりに虚しさを感じてたくさん料理を作りふるまう女。
    結婚した男(再婚ばかり)があたかも保険金目あてかのように亡くなった女。。。
    皆、それぞれをかかえながら生きていく。
    深いはなしだった

  • 借金取りから逃げる女が息をひそめて生活している場所は
    友人が住んでいる団地の一室。
    外に出たくないために、飢えをどうにか凌ぎつつ
    必死になって友人の帰宅を待っていたら…。

    連続短編になっていて、団地に住む人達が主人公になったり
    脇役になったりで出てきます。
    最初の借金取りから逃げている女の次の話が
    家主の女の話。
    読んでいて、確信犯か! と驚きますが
    彼女の言い分を聞けば、非常に納得です。
    そりゃあんな事をしたくもなるな…と。

    しかしドラマというか、色々ありすぎな団地です。
    まぁ人間誰しも大小の問題を抱えてますとはいえ
    素晴らしい(?)ものがあるかとw

  • 連作短編集。郊外の古びた団地に住まう人々の群像劇。どこにでもありそうなちょっと道を外してしまった人々が集う昔懐かしい団地。

  • 図書館にて。
    古びた団地に済むことになった人々の人生と、それぞれの関わりの物語。
    みんな何かを抱えていて不器用で…
    よくある話と言えばそうかもしれないけど、楽しめた。
    自分のすぐ隣で起きているような物語。

  • 例えば夜、車で夫を駅まで迎えに行く途中の道、信号待ちで
    集合住宅の窓の灯りを見上げる。
    カーテンがかかっていたり、人の影が見えたり、
    それぞれの窓からうかがえる気配から、そこに家庭があるしるしのようなものを感じる。
    同じ道を通っても、昼間は感じないのに、
    帰って来る人がいる「家」というもの、「家族」というものが
    窓の灯りによって浮き彫りになっているように感じる。

    東京近郊のニュータウンの団地に暮らす人々が主人公。
    どこにでもいそうな平凡なひとりひとり。
    けれどそれぞれの人生を精一杯生きている。
    団地の住人たちが代わる代わる主人公となる短編が連作になっていて
    人と人との関わり合いを感じさせる。
    悲哀も描きながらもどこか読後が温かいのは、やはり人のぬくもりが感じられるからだろうか。(Y)

  • 家族という根源となるべき人と人のつながりのバックグラウンドを失くしてしまった人たちが集まった、都心郊外のニュータウンの団地。コミュニティの復活といったテーマでまとめてしまうのは安直な気がするが、人と人のふれあいに飢えた人たちのよるべない気持ちを浮かび上がらせた小説だと思う。

  • 団地を舞台とした群像劇、かな。取り立てて事件が起こるわけでもなく、普通にありふれた人たちの人生を描いた物語。団地、っていうと当時はそういうイメージだったんですねえ。古きよき時代のことなのかもしれないけど。
    お気に入りは表題作。好き、というより、妙に印象に残りました。このタイトルの意味は重かったです。

  • +++
    「家族」のかたちが見えればいいのに。壊れはじめたら、すぐに分かるから。借金まみれのキャバクラ嬢。猫の集会を探し求めるカメラマン。夫が死んだ日のことを忘れられない未亡人…ひとりぼっちの人生がはじまった、それぞれの分岐点。著者会心の傑作連作集。
    +++
    表題作のほか、「最後のブルガリ」 「黒猫と団子」 「遠い遠い隣町」 「闇の集会」 「戦いは始まる」 「エピローグ」という連作短編集。
    +++

    高度成長期に建てられた郊外のニュータウン。いまは寂れて四角い箱が無機質に並ぶ、かつての夢のなれの果てのような場所で、家族の温もりにはぐれた人々がそれぞれに懸命に明日をさがして生きているのだった。寂しいから人懐っこい。面倒だがありがたい。六つの物語を束ねるエピローグには、何かを失ったからこそ身につけられた強さのようなものが感じられた。

  • 寂しいけれどあったかい連作短編集でした。
    自分の人生こんなはずじゃなかったのにどこでこうなってしまったんだろうか。
    そんな孤独な人たちが集まった古びれて寂びれてしまった、だけどどこか懐かしさを感じさせてくれる団地。
    だけどそこに住む人たちの温もりが優しく心に響いてくる。
    読み終わってほんのりとした優しい余韻が心地よい。

  • 2010/01/23-2010/01/24

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著者プロフィール

 小説家、推理作家。
『RIKO-女神の永遠』で第15回横溝正史賞。
 猫探偵正太郎シリーズ、花咲慎一郎シリーズ など。

「2021年 『猫日記 Cat Diary』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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