真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104716012

作品紹介・あらすじ

小さな広告代理店に勤める僕は、学生時代に事故で失った恋人の習慣だった「五分遅れの目覚まし時計」を今も使っている。その五分ぶん、僕は社会や他人とズレて生きているようだ。そんな折り、一卵性双生児の片割れ「かすみ」と出会う。かすみは、双子であるが故の悩みと、失恋の痛手を抱えていた。かすみの相談に乗り、彼女を支えているうち、お互いの欠落した穴を埋め合うように、僕とかすみは次第に親密になっていく-。

感想・レビュー・書評

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  • 『真夜中の五分前 side-B』の前編。

    素直に自分の気持ちをうちあけられる人がそばにいてくれるって奇跡に近いことなのかもしれない。
    他の誰でもなく、地球上でたった1人の自分に愛を投げかけてくれるのだから。

  • 仕事にがむしゃらでは無いのに優秀な男。ただ彼は学生時代に恋人を失い、その後きちんとした恋愛が出来ずにいた。
    アイデンティティとその恋に悩む一卵性双生児のかすみと出会い、2人は親しくなって行く。

    器用でそつがないけれど、結局のところは中身のない女たらし。
    周囲は彼をそう思っているらしい。
    なんか、魅力的。
    でも、その実は、深い闇を抱えている。
    side-Aでは、自分の中で封印していた気持ちを、かすみとの間で再び愛と名付けた所で終わり。
    この先のふたりが気になります。

    彼の言葉の選び方、ささやかな冗談が好みです。
    モテるはずだわ、と思わされました。

  • 「僕は頷いた。僕等の暮らす世界には飢餓もない。
     内乱もない。独裁者だっていない。
     生きている姿なんて見たこともない獣の肉を食べられる。
     首都も知らない国の映画が見られる。
     ネズミが踊る遊園地だってある。
     もちろん、大丈夫に決まっている。
     問題なんて、どこにもない。」

    死んだ恋人が、好んで遅らせていた部屋の時計。
    五分間。
    それ以上遅れたら、世間に追いつけなくなるような微妙な時間。

    毎日を淡々と、冷静に過ごし「なんの問題もない」とする主人公。
    大丈夫、大丈夫、自分はなんともない。
    そういって平静を装いながら、壊れていく人がいま世間にはたくさんいるだろう。その典型。
    その「大丈夫」が、自分を壊す。
    気づけない、自分の異常に。

    双子の姉と妹は、同時に名前を呼ばれることが多かったために、
    お互いがどちらであるかを忘れた。
    どうにか違うことを感じたい。
    何か違うものを選びたい。
    でないと、「わたし」の存在意義がなくなってしまう。

    双子の姉と、
    主人公。
    二人が出逢ったときに、
    二人を救う恋が生まれたように思えた。

    Side-Bがあるということが、私を不安にさせますが。。。
    とにかくラストがよかった。

    ラストのかすみの台詞。
    破滅的に美しい。


    「言って。」
    ああ、と僕は呻いた。
    「言うのよ。」
    彼女は言った。
    くずれて、そこから生まれたものに、僕は名前を付けた。
    「愛してる。」

  • side-A、side-Bともに再読。
    もっと評価されてもいい作品だと思う!!

    厳しくて誰もが異動願いを出してしまうほどの上司とも
    うまくやっていくことができる、ちょっと変わり者の僕。
    ある日、僕はプールでかすみから声をかけられる。
    彼女には一卵性双生児で
    両親も見分けがつかないほどの妹:ゆかりがいた。

    全体的に気障だけど
    そこがまた僕をうまく表してて良いと思うのよ。
    「この、変わり者め!///こっちが恥ずかしいわ!」みたいな。笑

    みんな不器用で頑固。
    もっと流れに身を任せてしまえば生きやすくなるのに。
    頭ではわかっててもどうにもならないことは確かにあって
    それを思い出しながら読んでいました。

    この本を前に読んだのは高校生?くらいだったと思うけど
    社会人になって思うのは
    僕みたいにひょいひょい生きていくのはとても難しいということ。

    最近、何かが足りなくて
    謎の欲求不満だったんだけど、
    この本読んで泣いたら、
    「泣きたかったんだー自分」って少しわかった。

  • 自分を目の敵にしている同僚に恋をしている十年間。
    自分と全く同じ遺伝子を持った妹の恋人に恋をしている三年間。
    眩暈を通り越してげっぷが出そうだった。

    小さな広告代理店に勤める僕は、学生時代に事故で失った恋人の習慣だった「五分遅れの目覚まし時計」を今も使っている。その五分ぶん、僕は社会や他人とズレて生きているようだ。そんな折り、一卵性双生児の片割れ「かすみ」と出会う。かすみは、双子であるが故の悩みと、失恋の痛手を抱えていた。かすみの相談に乗り、彼女を支えているうち、お互いの欠落した穴を埋め合うように、僕とかすみは次第に親密になっていく―。


    ラストのワンシーンの表現に衝撃を覚えた。

  • ふむ

  • 「村上春樹に影響を受けた作家」で検索して、出てきた作家。村上作品に出てくる僕に似た雰囲気の主人公。side-aしか読んでないけど、読みやすいしside-bも早く読みたいと思ってる。

  • 小さな広告代理店に勤める僕。
    僕は大学生の時に失った恋人水穂の習慣が抜けず5分遅らせた目覚まし時計をいまだに使っている。
    その5分ぶん僕は他の人とは違う世界にいるようだった。
    そんな時市民プールで綺麗な女の人かすみに出会う。彼女は双子のゆかりとのアイデンティティと失恋の痛手に苦しんでいた。


    結局僕はかすみのことを愛せたのかな。
    愛って何なんだろう。
    SEXは愛がなくてもできるけど本当に愛って何?
    という疑問だけを残した本。

    何でもそつなくこなす中身のない女たらし。

  • 読み易かった。

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著者プロフィール

1971年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。1994年「眠りの海」で小説推理新人賞を受賞。‘99年、『MISSING』で単行本デビュー、「このミステリーがすごい! 2000年版」でトップ10入りするなど高く評価され、脚光を浴びる。以後、恋愛、青春小説を超えた新しい静謐なエンターテインメント作品を上梓、常に読者の圧倒的支持を得ている。その他の作品に『正義のミカタ』『MOMENT』『WILL』『魔術師の視線』『君の隣に』など。『dele』では原案と脚本を担当し、山田孝之と菅田将暉主演でドラマ化された。

「2021年 『チェーン・ポイズン <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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