ボーナス・トラック

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 280
感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104723010

感想・レビュー・書評

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  • 越谷オサムさんのデビュー作で第16回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。

    前半はリズム感悪かったけど、後半は越谷オサムさんらしい小気味良い会話とリズミカルな文章、ほろっとするお話が展開されてよかった。

    お話は…

    草野哲也は、雨降る深夜の仕事からの帰り道、轢き逃げ事故を目撃する。濡れた服のまま警察からの事情聴取を受け、風邪をひき熱まで出てきた。気づくと事故で死んだ青年の姿が見える……。明るい幽霊とのコンビで、ひき逃げ犯を探し出す…

    ファンタジーってより、コミカルホラー!
    三谷幸喜さん「ステキな金縛り」をふっと思い出すテイスト。

    幽霊 亮太がいい奴、かわいいヤツなんです。
    輪をかけて草野さんが不器用ながらもいい奴、幽霊をすぐ受け入れちゃったし。

    ただお話の展開が盛り込みすぎで、間延びしたり、感情を移入する前にあっさりと終わった感じが残ったかな。

    それでも読んで良かったなと思いました!

  • ハンバーガーショップの店員草野は、ひき逃げの目撃者になったことから、何故か事故の被害者亮太の幽霊と行動を共にすることに。
    コメディタッチなやりとりが楽しいファンタジー友情ストーリー。

    序盤は話が重いうえに進行がゆっくりぎみなので少し「んっ?」となりましたが、草野が亮太の存在をはっきり認識できるようになってからは一気に面白く。

    ラストはクスッと笑わせられ、じわっと泣かされ、そしてなんともいえない切なさがふわっと残りました。

    「ボーナス・トラック」というタイトルの付け方のセンスは秀逸。途中までは、なんでこの表題なの?ってずっと思ってましたけど。

  • キャラがいいなぁ〜
    暗くなりすぎず、軽く読める

    まわりから気づかれず、ごはんも食べられず、世界から仲間はずれにされたように感じるけど、草野さんや南くんに影響を与えられたのは間違いなく亮太くんの人柄であり、これまで生きてきた20年であり。
    本編は終わってしまっても、プラスアルファでなにかあるかもしれないもんね。
    タイトルがいいなぁ

    展開も詰め込みすぎず無理がなくてよかった。
    その結果わかりやすいのはまあご愛嬌かな。

  • 気楽な感じて読み始めましたが、なかなか面白くて一気にラストまでたどり着けました。

  •  笑いあり涙ありの物語。
     
     大学生のお調子者の亮太はひき逃げされ死んでしまう。その事故を目撃した草野は必死に人工呼吸やら心臓マッサージやらを行うが、即死だった。
     事故の目撃者であり自分を必死に助けようとしてくれた草野に亮太はとり付き、一緒に犯人探しをするようになり・・・。

     はっきり言ってありえない物語なのだが、テンポが良く、また、亮太のキャラもいいし、真面目だが要領の悪い草野が亮太と共に生活をしていく中で成長していくのが読んでいて気持ちよかった。

     ずっと軽いテンポで面白く読めたが、最後にはホロリとさせられた。それにしても、どう見ても死んでいる亮太に草野が必死に人工呼吸しているシーンは笑えた(笑)

  • ファンタジーだわ~~
    さりげなくていい
    優しいし・・

  •  作品解説(帯より)こいつ、なかなかいいやつなんだ、幽霊であることを除いては……。ハンバーガーショップで働く「僕」は、ある雨の晩、ひき逃げを目撃したばかりに、死んだ若者の幽霊にまとわりつかれる羽目に。でも、なかなかいいやつなんだ、アルバイトの美少女にご執心なのは困りものだけど……。「僕」と幽霊がタッグを組んだ犯人探しの騒動を描いて絶賛された、ユーモアホラーの快作登場!
     第16回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞受賞作

     全13章構成で、主人公・哲也と幽霊・亮太の視点が交互に描かれており、最終章はボーナス・トラックといったところでしょうか。幽霊の亮太は、自分が死んでいることを理解した後もひたすら前向き(というか、あっけらかんとした性格)で、作品に暗い印象を与えることなく、むしろ彼の魅力を最大限に生かしています。ユーモアセンスが素晴らしく、すんなり作品に入り込めます。亮太と共に行動することで、哲也の心が成長して行き、ラストにはちょっぴり感動あり。異色ですが、これぞファンタジーと呼ぶに相応しい作品だと思います。

  • 亮太と草野の掛け合いが面白い。生者と死者であることを忘れてしまう。でも、そこがこの物語をポップにしているところであり、深みをなくしてしまっているところでもある。亮太の事故はレンタルビデオ屋の帰りでなくてよかったよ。最後に見られたくないものを披露しなくて済んだから(笑)。あと、この物語のタイトルを「ボーナス・トラック」にした意図はちょっと腹落ちしなかった。このタイトルじゃなくちゃダメって感じでもないし。全体に広く浅い感じで、エッジが効いてないっていうと失礼だけど。パチンコ屋の駐車場の車の中の女の子のところは重くて切なかった。

  • 越谷さんの原点だったのね。
    最初から、越谷さんのカラーが出ていて
    なかなか面白かった。

    ただ、表紙が損しちゃっている感じがする。
    デビュー作だからしようがないかもしれないけど
    見ただけじゃイメージできなかった。

    最初、ひき逃げ犯に憤り、ハードな勤務体制に憤り
    ちょっと重たく感じたけど
    亮太と草野が、やりとりを重ねるごとにいい雰囲気になっていって
    前向きな感じがとってもいい。

    幽霊を見ることができる人が
    こんなにボロボロいるものか?
    と思わなくはないけど、
    最後まで勢いは衰えず、思わずホロリしたオチもよかった。

  • 某有名ハンバーガーチェーン店の社員として働く草野は
    仕事帰りにひき逃げを目撃する。
    動揺しながらも警察に連絡したりしているうちに
    草野はひき逃げの被害者である亮太の幽霊が見えるようになっていた!!
    亮太は冴えない大学生で、草野も冴えない社会人ということで
    次第に打ち解け、二人の共同生活が始まる…
    幽霊から、不器用な働き方に苦言を呈される草野。
    幽霊になって初めて理想の女の子に出会う亮太。
    ある日、二人は亮太を殺したひき逃げ犯の車を見かける…

    幽霊が出てくるとなると
    不気味だったり、恐ろしかったりするのが一般的ですが
    本作の幽霊はあっけらかんとしていて、新感覚でした。

    ボーナストラック。
    命を落としてから、の成仏するまでの期間を
    この言葉で表現しています。
    ちょっとうれしいおまけ。
    ほんと亮太いいやつだな。
    いいやつしか出てこない物語です。

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。2004年、『ボーナス・トラック』で第16回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『階段途中のビッグ・ノイズ』『いとみち』『陽だまりの彼女』等がある。

「2021年 『まれびとパレード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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