いとみち二の糸

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104723041

作品紹介・あらすじ

ちっこくて泣き虫で祖母譲りの濃厚な津軽弁。「ドジッ娘」界の最終兵器、相馬いとが、高校二年生になりました。

感想・レビュー・書評

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  • 津軽のメイドいとちゃんの第2作。
    かわいくて、心温まる展開でした。

    相馬いとは、高校2年。
    高校入学後に友達も出来ずにいた頃、内気さを直したくて、青森のメイド珈琲店のバイトに応募、週末だけ働くことになりました。
    十代らしからぬきつい訛りのいとは、「お帰りなさいませ、ご主人様」というお決まりの挨拶も「おがえりなさいませ、ごスずんさま」になってしまうほど。
    とはいえ、実は小柄で内気なドジっこぶりに人気が出ていたのでした。
    三味線が得意ないとは、店の経営不振を挽回するため、週末に三味線コンサートをやるまでになります。

    メイド服を着ているとはいえ店は至って健全な方針で、料理も美味しい。
    今回は、頼りになる先輩メイド達の人生に進展があり、いとは不安な気持ちに。
    公称22歳だけど実は子持ちの28歳というメイド長の幸子さんが、マスターと恋愛関係にあると気づくのです。
    そして、本当に23歳のメイドでトークが得意な明るい性格の智美は、漫画家志望。
    夢かなって上京することになり、そうなると、(新人はいるとはいえ)店は大丈夫なのか‥?

    さらに学校では、かって店の常連だった教師が転任してきて担任に!
    友達の早苗が音頭とりで結成した写真同好会の活動も始まります。
    入部してきた後輩の男子は、中学時代は相撲部にいたという石郷鯉太郎。
    闘うのが嫌いで、相撲はやめたかったという。
    穏やかな性格の彼は何かといとを助けてくれて、しだいにほのかな恋心が‥

    小さなことにドキドキするいとちゃんが可愛くて、大丈夫だよと微笑ましく見守る気持ち。
    子供と大人の世界に足を突っ込みつつ、ちょびっとずつ成長していくんですね~。
    幸子の結婚式を店でやることになり、大騒動のハッピーエンド。
    期待通り、楽しく読めました~!
    いとみち三の糸もあるんでしょうね♪

  • よかった、本当に好きな作家さんになった、越谷オサムさん。

    二の糸。
    いとちゃんが自分の殻に籠っていた痛みだけから、店の人、友達、お客さんたちとの関わりの中で、痛み、辛さを覚え成長していく。
    楽しさ、幸せを伴って。

    いとちゃんが辛くなると読んでいても辛くなる。
    幸子さんが差し伸べた手、言葉にジーンとする。
    洟を啜ちゃったw

    智美さんのいとちゃんに対する深い愛情にじーんとする。
    涙も零れちゃったw

    津軽メイド珈琲店でこの本を読んでいるかのような心地よい時間を過ごせた。

    にぎやかな笑い声、三味線が聞こえてきそう。

    実る恋、散る恋、、、始まる恋。

    もう少し、読み続けたいな。
    三の糸。
    期待します。

    • まろんさん
      津軽メイド珈琲店の隅っこにすわって
      じい~っといとちゃんの成長を見守りたくなりますよね♪
      周りの人たちもあきれるほど温かい人ばっかりで。
      d...
      津軽メイド珈琲店の隅っこにすわって
      じい~っといとちゃんの成長を見守りたくなりますよね♪
      周りの人たちもあきれるほど温かい人ばっかりで。
      desicoさん、三の糸にぜったい続くと信じて、待ち続けましょう(*'-')フフ♪
      2013/05/29
    • decoさん
      いとちゃんをじぃーと見ながら珈琲とともにすごす時間、あー飽きないだろうなーw
      三の糸、絶対きますよね!
      いとちゃんが家族、友達、そして好きな...
      いとちゃんをじぃーと見ながら珈琲とともにすごす時間、あー飽きないだろうなーw
      三の糸、絶対きますよね!
      いとちゃんが家族、友達、そして好きな人との関係を経てさらに魅力ある女性となる。
      最後は、東京さいぐ?のかな。
      焦らず待つ楽しみ♪
      1年以内に読みたいですけどねw
      2013/06/01
  • 表紙を見て、思わず
    「いとっち、髪伸びた?!」と口走り、
    これじゃあまるでタモリだし。。。と思ったのも束の間、
    いやいや、タモリは「髪切った?」だから! と自分につっこむ私。

    一作目の『いとみち』から約1年、高校2年生となり、髪もちょっぴり伸び、
    メイドカフェでの三味線コンサート姿もすっかり板についた、いとちゃん。
    ということは、例のメイドカフェ必須のお迎え言葉も完璧かと思いきや。。。

    「おがえりなさいませ、ごスずん様」
    よかったよかった、あの可愛らしくも濃厚な訛りは健在でした♪
    あの言葉をすらすら言えてしまういとちゃんなんか、もはやいとちゃんじゃないもの!

    仲良し4人で発足させた写真部には、中学の相撲部で輝かしい成績を残しながらも
    実は人と争うのが嫌いで、心優しい新入生の巨漢、鯉太郎が入部し、
    なんと顧問となったのは、メイドカフェの常連の山本先生、
    カフェの方では店長とメイド長の幸子さんの強烈なキスシーンを目撃して腰をぬかし
    エースメイドの智美はコツコツ頑張ってきた投稿を認められ漫画家デビュー☆と
    あいかわらず波乱万丈の毎日。

    写真部での撮影旅行で川に落ち、流されかけたところを救ってくれた鯉太郎に
    究極の人見知りで恋とは無縁だったいとちゃんがきゅん♪として恋に落ちたり、
    大学への進学費用のためにバイトする親友、早苗の前で不用意な発言をして
    恵まれた環境に守られた自分を改めて自覚して反省したり、
    北国の春のようにおっとりゆったりと歩みを進めるいとちゃんが愛おしくてたまりません。

    メイドカフェを貸切にしての手作り結婚式や
    真夜中の道を駆け抜けて見送る東京への長距離バスにうるうるしながら
    糸が3本あるから三味線。。。
    さて、『いとみち 三の糸』はちゃんと書いてくださるんですよね?
    と、越谷オサムさんに無言の圧力をかけたくなってしまう、
    『いとみち 二の糸』なのでした。

  • 部活動と主人公のバイト先での出来事が、前作から順当に進展してきました
    主人公の内気な性格のためか、近しい人との関係が展開していかないことがもどかしく感じました

    音楽配信サービスで、作中の楽曲を知ることができました
    一昔前だと出来なかった事ですので、多数の楽曲を作中に登場させるのは、作者の意図的な所があるのかなと推測してみたりしましたね

    続けて「三の糸」を読んでみよう


  • 知らぬ間に、津軽弁のイントネーションを勝手に想像して、頭の中で抑揚をつけながら読んでいることに気がつきます。
    今回いとちゃんは、悪気はないけれど思いやりのない一言で親友を傷つけ、間柄がぎこちなくなってしまいます。
    加えてメイドカフェの先輩たちもなんだかよそよそしい。
    いとちゃん、しょんぼり。
    しかし、徐々に誤解も解けて、三味線の音色で大盛り上がりの中ハッピーにお話は終わるのでした。

  • まさか続編があるとは思わなかった。

    周囲の突然の変化について行けない鈍さは相変わらず、純朴ないと。

    ばばさまとの会話が減ったのは残念だが、物語自体は前作と変わらず、軽めなのでサクサク読める。

  • そんなに大きな展開があるわけではないので、結構ゆっくり読んでいたこともあり、評価もそれなりかと思っていたけれど、その長閑さや優しさが終盤に心地よかったです。暖かくて好きな作品です。

  • 単純に楽しい本を読みたくなって。『いとみち』の続編です。
    「いっでらしゃいませ、ごスずん様」。津軽弁のメイドカフェが有ったら面白いだろうな~てなノリで生まれたシリーズのようです。そうなると、あとは登場人物のキャラをどこまで目立たさせるか・・。
    女子高生なのに小学生並みに小さくてドジで人見知りで婆ちゃん譲りの強烈な津軽弁、でも三味線を持たせたら怖いものなしの主人公。元ヤンで子持ちで年齢詐称してるけど料理が得意でしっかり者のメイド長、やたらと騒がしくノリが良いけど実は裏では努力家の先輩メイド。相撲で県代表になったこともある大兵なのだが気の弱い後輩男子。強面だけど実は人情家の元オーナー。
    見事なくらい「・・・だけど・・・」の勢ぞろい。
    読み始め、主人公ってこんなにウジウジと自意識過剰だっかしらんとちょっと鼻白む所もあったけど、途中からは面白くなって一気読みでした。ま、あとに残るものなど全くありませんが。

  • 青森弁は落ち着くなぁ~。
    東北の言葉が温かい。

    一冊目の「いとみち」を読んでいたほうがこの本は楽しめる。
    設定や状況がすんなり入るからね。

    相馬いとと周囲の人々のやり取りがとてもほほえましい。
    前作に比べると、「続編」という指向が拭えないものの、詰まるところなく読める。

    ばあちゃんとのやり取りや三味線の描写がもっとあったらえがったのにな。

  • 『いとみち』の第2巻。主人公のいとも、高校2年生に。親友と呼べる友だちもでき、メイド喫茶のバイトも順調に・・と言いたいが、何やらバイト先で先輩たちの態度が変わってきた・・理由が思い当たらないいとは、思い悩む。そんな中、出会った大岩のような大きい新入生。大きさと言い、形といい、いととは、まるで真逆の凸凹コンビの誕生。

    バイト先での人間関係、初めての親友との喧嘩、初めての恋、そのひとつひとつが、いとを成長させていく。1巻も面白かったけど、2巻の方がより、面白かった。もしかしたら3巻もあるのかな?

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。2004年、『ボーナス・トラック』で第16回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『階段途中のビッグ・ノイズ』『いとみち』『陽だまりの彼女』等がある。

「2021年 『まれびとパレード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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