ご先祖様はどちら様

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著者 : 高橋秀実
  • 新潮社 (2011年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104738038

ご先祖様はどちら様の感想・レビュー・書評

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  • 先祖を巡る話というのは、事実と物語が入り交じっていて、親バカ話の純度を高めたような楽しいような苦痛のような不思議な話になるものだ。その辺のデタラメさ加減と、冷静な計算と、いざ話が自分のことになると冷静ではいられなくなってしまう浮き足立った感じが丁寧に再現されていて、実にくすぐったくオツな読書体験だった。
    高橋秀美を読むのは初めてだったが、書評から見える人物像(丁寧かつ適当、腰は低いが傲慢、真面目なんだが笑える)がご先祖様を巡る話とよくあう。

    大学時代に一度計算したことがあったけど、息子を授かった今、あらためて計算してみた。
    一世代25年として、(息子が生まれた)2010年から世代をさかのぼって行くと、父母が2人、祖父母が4人、曾祖父が8人、とたどれる先祖の数は爆発的に増えていく。計算を続けると、35代前の1185年に約860万人になる。平家滅亡の壇ノ浦の合戦の年。これは当時の日本の人口(700万人弱)を上回る数字なので、逆に言うと、今の日本人全員と親戚ですといっても計算上はおかしくないということ。
    「うちの先祖は平家の流れで」という語りは、じゃあ無意味かというとそうでもなくて、自分は駅伝の一員だという意識は生物学的にも親族論的にも心理学的にも意味があると、本書を読んで改めて思う。

  • ご先祖様を辿る旅に出かけたら、親戚が増えること間違いなし!あの人もこの人も他人に思えなくなる。もしかして、もしかしたら、家系を辿ると天皇家に繫がるかもしれない?

    ご先祖様を辿ること、すなわち自分の家系を辿ることは、案外と楽しいものだと思いました。それはそれはご苦労なさっているのですが、それはそれで面白いのです。私もこんな旅をしてみたいと思います。

    家系図をお金で買った時代もあったとかで、自分の先祖を辿ってもつじつまの合わなくなることが多いらしいのです。なんとなく自分で勝手に解釈して作ってしまうご先祖様もいらしたりしたらしいのです。それでも辿って行く先で出会う人とは共通点を見つけ『やはり繫がっている・・・』と感じたり、やっとの思いでたどり着いた地では軽くあしらわれがっかりしたり。それでも自分のご先祖様は『かの有名な~』と名の知れている誰かであってほしいと思っている。そんな一喜一憂する姿が楽しく描かれています。

    父親は姓が同じだから辿るのはすんなりと進みましたが、母方は姓が変わるので苦労しました。また除籍となった戸籍も辿ることになるので、何代か先でわからなくなってしまうことも多いようです。そんな事実も踏まえつつ、時間と労力をかけるご先祖様を辿る旅は多くの収穫を得ました。性格や振る舞いから勝手に解釈し、やはりつながりがあったのだ、とか、どうも違うらしいとか、考えるだけでも楽しそう。

    私も辿ってみたい。自分のご先祖さまが気になってきました。『みんな誰かの末裔』だそうです。その通り、私も誰かの末裔です。

  • そんなに頻繁に顔を出しているわけでもないが、親戚同士の集まりが大嫌いである。ましてや墓参りなど、その極致である。人生で数えられるくらいしか会ったことのない、姿形の似た人たちが、よってたかって何度も何度も同じことを聞いてくる。「興味がないなら、聞かなきゃいいのに」と思いながら、どうやってその場を抜け出すかを思案する。夏の風物詩だ。

    本書はそんな自分にとって最も苦手なテーマ、「先祖様」について書かれた一冊。驚くことに、著者自身の先祖を辿るという個人的な記録である。この赤の他人の先祖を辿る話が、不思議なくらいに面白い。なにしろ、そのきっかけからして変わっている。結婚披露宴で出会った同業の先輩から「なんてったって、お前は最後のジョウモンだからな」と、突然縄文人呼ばわりされる。そして、「縄文人について知りたければ、三内丸山遺跡で佇め」と言われるところから、著者の先祖を巡る「佇みの旅路」が始まる。

    ◆本書の目次
    序章  俺たち縄文人
    第一章 ご近所の古代
    第二章 爆発する家系図
    第三章 もやもやする神様
    第四章 ご先祖様はどちら様?
    第五章 多すぎる「高橋」
    第六章 たぎる血潮
    第七章 家紋のお導き
    第八章 とても遠い親戚
    第九章 天皇家への道
    終章   またね、元気でね

    他人の家系を辿る記録に、なぜここまで引き込まれるか?それは著者の軽妙洒脱な語り口によるところも大きいが、自分自身が同じことを行っても、大なり小なり同じような結論が出るだろうと思えるからである。著者は市役所へ行き、父方の家系図を入手し、戸籍を辿り、神話を探り、本籍地まで赴くのだが、その先は杳としてわからない。今度は母方を辿り、本籍地へ赴き、墓地へ行き、家紋を探るのだが、源氏だか平氏だかも漠としてくる。

    その飄々とした旅路の中で、時折見せる著者の視点が秀逸である。

    考えてみれば、戸籍に登場する先祖たちも私にとっては子供のイメージだった。出生を調べたのだから子供を想像するのは当然なのだが、先祖が子供だと時間軸が反転してしまう。私が彼らの末裔というより、彼らが私の末裔のような気がしてくるのである。

    お互いが混とんとしているから、つながっていないとも言い切れないのである。逆に言うなら、家系がわかるということは、つながりを限定してしまうこと、家系がわからないからこそ、「つながっているかもしれない」というつながり感覚は広がっていくのである。

    この独特な視点の提示により、著者の家系を巡る旅路の追体験が、まるで自分のことのように思えてくる。読了後には、心地よい疲労感すら感じる。家系の歴史を紐解くということは、偉人達の歴史の中に、自分自身をプロットするということである。つまり、歴史を客体として見るのではなく、妄想しながらも主体として見る。ここに、大きな意味があるのだ。

    家系という、最も身近な歴史に目を向けること。それは人生観や歴史観を変えるような大きな出来事につながるかもしれない。今度の墓参りは今までより、いささか楽しくなりそうである。

  • 著者の本は、読んでも全然スッキリせず、それどころか読む前より世界がぼやけて見えてしまう。これもそうだ。まあ、現実ってそういうものなんだろう。村上春樹が著者の本の解説に「僕らが生きている困った世界」というタイトルをつけていたけど、まったくその通りなわけで、読後感はいつも「途方に暮れる」という感じ。これだけウケを狙わない(ように見える)書き手も珍しいなあ。

  • 著者が自身の先祖をたどるための旅に出ます。きっかけは同業者の先輩から「なんてったってお前は最後のジョウモンだからな」と突然縄文人呼ばわりされたため。そんな不思議なきっかけで始まった旅ですが、そのなかで著者が得たものとは・・・。家系という一番身近な歴史に目を向けてみるのもおもしろいかもしれません。

  • いやー、おもしろかった。自分も墓前で佇んでみよう。
    たしかに、日本人てほとんど共通の祖先がいるように感じる。
    なんか生まれてきてよかった。

  • 先祖を辿るとわかるいろいろな不思議や納得の事実とか、思いがけない人に思いがけない人とのつながりが!とか、そんな内容を期待したのだが、結局は著者の先祖探し。
    もともとは、歴史上の人物の末裔を取材するという趣旨だったらしいが、途中で路線変更してこのようになったのだそうだ。

    驚くべき何かがわかったわけでもないし、なんだかな、という感じ。
    奥様とのやり取りは妙に面白く、結構笑ったのだけれど…。
    今ひとつ物足りなかったかな。

  • ルーツ探しをしているので参考になるかと思って読んだけど、そうでもなかった。

  • 高橋秀実さんの文章が好き。

    「家系を辿る」という行為は、
    「何かと繋がっている」「何かと共通点を見出す」ということであり、
    人が生きていく上でとても大切なことなのかもしれない。

    そういえば、自分の先祖は北海道に移住したという話を
    ひいおじいちゃんから聞いたことがあるなあ。
    自分も余裕ができたら、著者のように先祖を辿る旅に出たいぜ。

  • 家系図や家の由来を調べている人は、たいていこの本の人のように「もしやウチは武士の家系!?」とか「すわ天皇家の血筋!?」とまいあがった挙句に、結局はよく分からないまま終わるんだろうな。

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