「弱くても勝てます」―開成高校野球部のセオリー

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著者 : 高橋秀実
  • 新潮社 (2012年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104738045

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「弱くても勝てます」―開成高校野球部のセオリーの感想・レビュー・書評

  • この本はものすごく面白い。

    毎年毎年、日本で一番東大へ数多くの合格者を送り出している私学の名門開成高校。
    その野球部に関する話なのだが、部に所属する生徒たちにインタビューをすると、ほとんどの生徒が何でもかんでも論理的に説明しようとする。
    その論理的思考によって捉えられる野球論は、時としておかしな方向に進んでいく。

    超論理的で、逆に素直すぎて融通が利かない頭の良い子供たち。
    はたしてこんな子たちが東大へ行き社会に出て形成される将来の日本は大丈夫だろうか? と不安にもなる。
    医者、弁護士、あるいは役人などには向いているだろうが、政治家や企業のトップには不向きだ。
    彼らも自覚しているらしく、将来の希望を尋ねると医者や研究者などという答えが返ってくる。
    おそらく開成出身で国家を動かしている人間は数少ないのではないだろうか。
    そういう思いを抱く書でもある。

    筆者の高橋秀実氏は、開成高校の生徒たちの裸の姿を見事に描き出している。
    彼らと筆者との言葉のやり取りは、まるで異次元の会話のようで、時として笑いを誘う。
    でも、彼らはふざけているわけではない。純粋に対峙しているのだ。
    その方向性が常人と少し変わったアプローチの仕方だとしても。

    今どきの頭の良い、日本最高峰の偏差値を持った高校生がどんな考えをしているのかを紐解くのにも最適の書でもある。
    なかなか鋭い抉り方をしているので、興味のある方は是非。
    おすすめです。

    最後に:この中に登場する長江豊君が、東大に合格し、野球部で活躍してくれることを切に願うばかりである。

  • 開成高校といえば、毎年3ケタの東大合格者を出す超進学校。そこの野球部が今、熱いらしい。

    練習は週一回、守備は無理しない、相手より多い大量得点で勝つ、武器は下手くそなこと、といういわゆる高校野球とは到底結びつきそうもないセオリーで、この野球部で甲子園に!いや、もとい、打倒強豪校!そうすれば甲子園も夢じゃない、かも!と、日々練習に励む青木監督と生徒たちを取材したルポである。

    いや~、申し訳ないけど笑いました。
    生徒たちはみな、心底大真面目に野球に取り組み、自分に足りないものを考え、必死に努力しているのだけれど、頭脳明晰な生徒たちなだけに頭で考えることが先に走る。監督も、そんな彼らにわからせるために理詰め理詰めで指導するのだけれど、それがどうにもちぐはぐで、生徒たちが真面目なだけにどうしても可笑しくなってくる。
    筆者と生徒のやり取りも、野球の話のはずなのに禅問答のようになり、可笑しいやらもどかしいやら。
    ところが、夏の甲子園に向けての地区大会第一戦、対江戸川高校との試合では、ひたむきな彼らの姿に思わず涙…。

    正直なところ、後半は新鮮な驚きのようなものもやや薄れて、新しい展開がほしくなったりもしてしまったが、発想を切り替えるって大事なことかもな、何事も「こうでなければいけない」なんてないんだなと、しみじみ。

    いつか甲子園の大舞台で開成高校球児たちの試合を見てみたい。
    その時も、試合前の守備練習でノックをチップしちゃうんだろうか。



    …あれ?甲子園は試合前の守備練習あったっけ…??
    とんと高校野球も見なくなったので忘れてしまったけど、まあいいか。

  •  ひぐちアサさんの『おおきく振りかぶって』、田中モトユキさんの『最強!都立あおい坂高校野球部』、コージィ城倉さんの『おれはキャプテン』、さらに言えば岩崎夏海さんの『もしドラ』など、「甲子園など程遠い高校野球部が予想外な戦略を立てて甲子園出場を目指す」というのは野球ストーリーにおいて、一種のお約束となっている。とはいえ、それらはみなフィクション。現実には起こり得ない……と思ってみたら、現実にもそんな野球ストーリーを実現しようとする高校野球部があった。それがタイトルにもある「開成高校野球部」だ。

     そうは言っても、開成高校野球部はまだ甲子園に出場していない。冒頭で高橋さんが述べているとおり、本書は「途中経過」である。いつか噴火するだろう活火山の動向を見守るように、開成高校野球部の動向を見守っているわけである。これで本当に開成高校が甲子園に出場する日が来るとしたら、間違いなくそのストーリーは語り継がれるものとなるだろう。その日が来るのが楽しみだ。

     さて、本書はそのような期待を煽るという意味で、非常にワクワク感のある一冊ではあるのだが、開成高校の生徒への偏見を持たせるように作られてしまった感も否めない。いわゆるステレオタイプ的に生徒の受け答えが紹介されているのである。すなわち、開成の生徒は理屈っぽく、あまり流暢なコミュニケーションを得意としていない。それが、本書にある開成高校生の様子である。
     本書は開成高校の生徒は「ガリ勉くん」だ、という偏見――もしかしたら、現実にそうなのかもしれないが――をより強固にする本でもあるのだ。その点は非常に残念であった。


    【目次】
    1回 エラーの伝統
    2回 理屈で守る
    3回 みんな何かを待っている
    4回 結果としての甲子園
    5回 仮説の検証のフィードバック
    6回 必要十分なプライド
    7回 ドサクサコミュニケーション
    8回 「は」ではなく「が」の勝負
    9回 ややもすると甲子園
    謝辞

  •  どこかヘンテコな対象を、無駄に透徹した視点と身もフタもなさ過ぎるツッコミで描き出す著者のルポ。しかも、色々考察する内に書き手自身が途方に暮れ、何とも言えないトホホ感が漂う読後。一度読んだら病みつきになるヒデミネ節の最新刊が出ました!

     今回はあの超進学校・開成高校の野球部を取材しています。
     あの開成高校が甲子園地区大会でベスト16まで残ったことに興味を持った著者は、早速取材を開始。優等生達が知力をフル動員し、頭を使った野球で体力自慢を出し抜いたのかと思いきや、実態は全く違いました。

     開成高校の戦い方のコンセプトは、「ギャンブル」です。
     週一回しかグランドを使えないという不利な状況下で、守備練習に力を入れてもほとんど効果が無いと判断。打たれること、エラーすることを前提として、打線で打ち勝つことに賭けています。ですから、ピッチャーはストライクが入ることが最優先で、守備のレベルも「試合を壊さない程度であればOK」ということになります。打たれない、確実にアウトを取る、ではなく、「試合を壊さない」という相手方に対する配慮こそが開成野球の守備に求められるものということです。
     ですから守備は、ストライクが入る選手=ピッチャー、送球が上手い選手=内野、それ以外=外野、というわかりやすい基準で選考されます。

     スクイズなどで1点をもぎとっても、その裏に10点取られることだってザラなわけで、そうなると、真っ当な戦い方では絶対に負けてしまいます。
     そういうわけで、空振りしてもフルスイングする打撃をモットーとするわけですが、これでヒットが出たときに「あの開成に打たれた、点を取られた」という相手方の動揺につけ込み、一挙大量得点を狙うという「ドサクサ」が究極の狙いです。なので、監督はヒットが出ても振りが鈍いとダグアウトから罵声を飛ばし、空振りしてもフルスイングしていたら「ナイススイング!」と評価。挙げ句はちゃんとした野球をしようものなら「お前ら、野球をしようとするんじゃない!」「ドサクサだ!ドサクサ!」と監督の声が飛ぶことになります。

     打撃重視の打順の組み方は、2番に最強打者を入れ、1番から6番まで強い打球が打てる選手を並べます。打順を輪として考えると、下位打線もそのまま1番・2番へと続いていくわけですから、打順が下位の選手が出塁したら、そのままチャンス到来と言うことになります。
     これ、本書では言及されていませんでしたが、数学的にはかなり理に適った方法だと言うことです。一般的な野球のセオリーでは2番に小技のできる選手を入れることになっていますが、数学的には2番に最強打者を入れることが効率よく得点を取ることができるんだそうです。偶然にしても、大量得点を挙げるには理に適った打順だった、ということですね。

     監督の方針もちょっとヘンテコなら、選手達もかなり変わっています。それぞれが自分で納得いくように考えるのです。著者がインタビューしても、理路整然と答える選手が多く、「頭で野球をしている」んですが…それ、言葉の意味が違わないですか?(笑)
     本書を読んでいて感じたのは、大学時代の恩師の言葉です。
    「行動する人は考えない。考える人は行動できない」
     ある種の極論ではありますが、行動というのは事前準備をいくらしたとはいえ、それらを振り切って何かをするという側面があります。野球に限らずスポーツというのは身体を動かしてナンボなのに、その身体の操作を全部脳で制御しようとしちゃっているせいで行動がワンテンポ遅れがちになってるように感じました。(状況と正解を見極めようとする受験エリートの特性のマイナス面、というのはいささか言いすぎかもしれませんが…)

     頭脳野球だと思いきや、蓋を開けてみると常識外れの「ドサクサ野球」だった... 続きを読む

  • エラーが伝統(笑)の開成野球部の勝利の方程式は、失点を前提とした打ち勝つ野球。その発想や、よし。独創的な指導をする監督のもと、部員が心から野球を楽しみ、真剣に思索している様子が心地よい。優秀な選手をかき集め、ミスがあれば選手を怒鳴り付けて萎縮させるような「強豪校の野球」よりも、よほど本来のベースボールに近いものが、開成高校のグラウンドにあるような気がしてならない。

    野球って楽しいな、また野球やりたいな、と思わせる魅力に富んだ本。

    (2013/11/5読了)

  • 苦笑・爆笑・微笑。何回もニヤニヤしたり噴き出したりしながらページをめくりました。(電車で読むのは厳重注意!)コントみたいに噛み合っているんだかいないんだかわからない会話。クールなんだか熱いのかわからないキャラクター。超進学校のそこそこ強い野球部をテーマにした時点で作者は勝利していたのかもしれません。勝利といっても高校生と一緒になってモヤモヤヤキモキしてるだけなのですが…その柔らかな取材スタンスにLOVEを感じます。それぞれ自分を客観視しながら自己分析する開成野球部員のコトバとステレオタイプな頑張りに自分をうずめる普通の野球部員のコトバの違いがこの学校のユニークネスを明らかにしていると思いました。ただ、客観的な「は」を主観的な「が」にしなければ!という壁も感じている訳で、そのジレンマも面白い。生徒もそうですか青木監督もハッキリ言ってヘンテコです。色んな野球を存在させるために甲子園ってあるのかな、と思いました。愛すべきヘンテコ開成野球、いつか甲子園に出る日を待っています!

  • 「開成高校の硬式野球部はそこそこ強い。」
    名門校ファンには周知の事実。

    実は開成高校硬式野球部、専用グラウンドは持っておらず、学校内のグラウンドを週1回使えるだけ。そんな劣悪な練習環境の中、平成17年には全国高等学校野球選手権大会 東東京予選のベスト16まで勝ち進んだ。

    その開成高校硬式野球部の強さの秘密が書かれた本。
    そのポイントをいくつか上げると...
    ・限られた練習時間を守備の連携など高度な練習に費やしても費用対効果が割に合わない。練習するとしたら攻撃。
    ・1試合で、あるポジションに打球が飛ぶのは2~3回。なので、ボールをとる技術をあまり鍛えても費用対効果が割に合わない。
    ・エラーしても泣かない。ある回に10点取られたら、相手が油断したところをその裏で15点取り返す。
    ・攻撃時のサインプレーは練習しない。サインをだしても上手く動けるほど練習できない。
    などなど。
    まさに弱者の戦略、と言ったふう。

    そして硬式野球部員、さすが開成高校に合格できる人間となると一癖も二癖もある連中。著者によるインタビューで珍回答が数多く飛び出す。
    しかし本人達はいたって真剣。
    著者も含めて一般人には良く分からないこだわりどころを数多く持つ面々の、珍問答も本書の楽しみどころ。

  • 開成高校野球部にノンフィクション作家の著者が密着して、その野球に対する独特な誉れを追いかける内容です。

    個々の力が弱く、練習量も圧倒的に少ない開成高校野球部は、それを十分自覚した上で野球のセオリーを逸脱して勝つ戦略を模索します。開成高校生の自然と野球からも何かを学び取ろうとしたり、自主練にもそれぞれの理論を持ち込んでそれを実験しようとする姿は純粋でした。あくまで強豪校に勝つことを目的とする姿勢は読んでいて心地よかったです。

    野球が好きな僕はもちろん面白く読めましたが、あまり興味のない人でも楽しめる内容だと思いました。

  • 話題の本だったので借りましたが予想以上に面白かった。みんな頭がよくて素直・・・。いえ、きっと日本を支えてゆく人になってゆかれる方々なんでしょうが・・・微笑ましかったです。下手と言い切ってしまうあたりがすがすがしい。その中での勝ち方を考えている監督も素晴らしいですね。
    なんでも理屈で考えてしまうがゆえに一歩遅い感じ、なかなか意志や感情の表現にたどり着かず回り道のインタビュー・・・野球はよくわからなくても下手な部分も臨場感があり、想像できて楽しく読めました。
    開成は1度運動会に行ったことがあって、余計に親近感もあり楽しく読めました。ちなみに私の印象では棒倒しに燃える男子高校生たちは決してもやしっ子ではなかったです。
    挫折感とか考えて努力することは絶対にこの先に生きてくると思うので、今後もがばってほしいものです。いつか開成が甲子園初出場!というニュースを見たい。

  • 開成高校野球部のトンデモ奇襲作戦本。開成の作戦というと高度な頭脳プレーなのかと思いきや、実は奇襲をして、相手を精神的にやっつけ、そのままコールド勝ちを狙うというものだった。あっけらかんとした監督と、その生徒達のやりとりがなんとなく笑えてしまう。とても面白かった。著者の高橋秀実は毎回取り上げるテーマが独特で自作が注目である。

  • なんか面白い。

    あの有名な進学校の開成高校野球部の一風変わったルポです。

    一言で言うと下手なんですが、頭の良い子達が下手なりに一生懸命野球をやってます。

    コンセプトは大量得点でどさくさ紛れに勝つ!

    これで東京で二、三回勝つというのだから凄いです。

    その戦術の紹介もありますが、 秀才が真剣に野球やると、こんな面白いこと考えてるんだよ!っていうのがメイン。

    頭が良い分、理屈が先に立ち、変なことばかり考えてる様子や、監督とのやり取りが可笑しくてしょうがない!

    頭が良い子って、普通の子と思考回路が違うんですね。

    この可笑しさは読まないとわからないので、野球をやったことがある人は是非読んでください。

    オススメです。

  • 「チームに貢献するなんていうのは、本能じゃないはずです。思い切り振って球を遠くに飛ばす、それが一番楽しいはずです。生徒たちには「自分が主役」と思ってほしい」という監督のユニークな指導方針で超進学校である開成高校野球部の苦闘?ぶりを描いたドキュメント。
    自分自身はこんな指導者の元で野球がやれていたら、さぞかし楽しかっただろうなと思いながら一気読みでした。
    それにしても、自分の高校時代の野球って一体なんだったんだろう

  • 開成高校野球部だったらさぞやデータに基づいた頭脳を生かした練習や作戦を立案しているだろうと思いきや、ほぼ全く逆。実名で登場する生徒達が明晰な頭脳でいろいろな問題や自分自身を分析しながらもうまく行かず、でも最後は「野球が好き!」と明るく言っているのがとてもホッとさせられました。同時に生の優秀な高校生の生活が垣間みられるのも面白かった。ああ、本当の秀才ってこうやって暮らしてるんだ、考えてるんだと思うと、自分が高校生の時に(っていうか今も)いかに時間を無駄にしているのかと思い知らされた。たぶん監督が求めてるのは秀才の野球部員に対する「天才が持つ爆発的なパワー」。そして、高校生というまさに青春真ッ只中、失敗や理屈を飛び越して思いっきり好きなことを楽しめという教え。それが出来た時「天才的な爆発」が生まれて甲子園出場になるのかもなあ。笑って考えて、ちょっと自分の青春も思い出しちゃう本。

  • 開成高校の野球部は結構試合で勝つと聞くと、それだけで驚くくらい、開成高校には高い偏差値と表裏一体のスポーツ弱者のイメージがある。実際、高校野球で見慣れた名門高校とダブらせてみると相当下手なのだろうが、監督が言うように、あれが異常なのだろう。だから、それと同じセオリーで練習や試合をするのではなく、そんな弱小チームならではの勝ち方にこだわる監督は全く正しい。そんな監督の思いを受け止めようとしつつも、真っ直ぐには受け止められない秀才たちの姿もまた、真面目であり、どこか天然の面白さがある。
    天下の開成高校の野球部員たちの生の姿は、論理的で、不器用で、面白味があり、ページをめくるごとに、クスッとしてしまう。彼らが開成高校生の典型なのかは分からないが、愛すべきキャラクターの持ち主たちであった。

  • 東大合格者数No.1の開成高校の硬式野球部が夏の東京都予選でベスト16に入ったことがあり、著者がその強さに驚いて取材に行ったことがこの本のきっかけである。練習時間の短さと選手の下手さを乗り越えて勝つための監督の指導法は独特で素晴らしい。精神論では無く、野球技術向上のための指導だが、まじめで理屈っぽく体が思うように動かなくて悩む実名の選手たちもどこか微笑ましい。この本を読めば、勉強では挫折を知らない高校生が自分たちなりに一生懸命苦手なスポーツに取り組む姿にがんばれ!と応援を送りたくなる。著者は開成高校が甲子園に行くまで見守るそうだが、そこまでいかなくても開成高校を応援したくなってしまった。同様の感想をもった読者で来年夏の東京都予選の観客は増えるに違いない。高橋秀実の世界が見事にマッチした題材で、おもしろいと自信をもって薦められる書である。

  • HONZのレビューが面白すぎた、開成高校野球部が、甲子園を目指す?話。
    レビューよりさらに、この本は面白すぎる!野球のことはさっぱりわからない(次のベースまで走るかどうか、指示する人がいるとは知らなかった!)私だけれど、そんなことはまったくお構いなく、爆笑の渦だった。

    青木監督と、この著者、二人の絶妙な言葉の操り方が、秀逸。どこもかしこも名言の嵐。
    青木監督はしょっちゅう叫んでいる。味わい深い怒号の数々!例えば試合中、チームメンバーに向かって叫ぶ。
    「野球をしようとするな!」
    この、「野球をしようとする」という非常に微妙な言い回しから、青木監督の深い意図を汲み取る著者の鋭い言語感覚。開成男子たちの、なんとも言えない独特な考え方と、この「野球をしようとするな!」が合わさって、得も言われぬ可笑しさが産まれる。

    開成の男子たちの、ナチュラルな頭の良さと、そこからひねり出されるユニークな考え、何事にもまじめに取り組む姿勢には、本当に感心させられる。青木監督も東大出身で、めちゃくちゃ頭がいい。合理的で、大胆で、勇敢で、愛がある。たぶん、監督が大声で伝えているのは、生き方、みたいなものだと思う。。。だって、ピッチャーに向かって「ピッチャーをやるな!」だもの。
    開成高校、ぜひ甲子園に行ってほしいと思った。

  • あの超進学校の開成です。
    全国高等学校野球選手権の都大会予選でベスト16入り(平成17年)をした事が
    あるそうですね。
    その硬式野球部に密着取材をして著者が見聞きした内容、監督や学生達にインタビューした内容をまとめたものです。

    開成高校の野球部のレベルは著者の弁を借りれば、
    「下手なのである。それも異常に」という事です。

    ところがそんな野球部が試合になると「いい試合」をするのです。
    ベスト16入りをした際の試合なんて4試合中3試合が「コールドゲーム」です。

    その秘訣は・・・・。
    これは私が感じた事ですが、
    ビジネス的には「弱者の戦い」、ランチェスターみたいなものですか(笑)
    (ビジネス書ではありません)

    監督の言葉では

    「ドサクサにまぎれて勝っちゃう」

    「ハイリスク・ハイリターンのギャンブルなんです。
    うちのようなチームの場合ギャンブルを仕掛けなければ勝つ確率は0%なんです」

    「守備というのは差がでないから、あまり練習させない」

    という事です。

    まず著者のまとめ方と文章がとても上手で一気に読ませます。
    それと、「青木監督」のインタビューへの受け答えがおもしろい。
    野球の理論というのはよくわかりませんが、おもわず「なるほど」とうなずいてしまいます(笑)


    とか。


    あとは、学生達へのインタビューとその応答がおもしろいですね。
    やはり頭がいい子たちは違うな、と(苦笑)

    この本は買いですよ。

  • 2014年春土曜日ドラマの原作。
    日本屈指の進学校である開成高校の野球部はグラウンドでの練習は週1回、生徒たちは守備も攻撃もいまいち。それでも青木監督の「大量得点でどさくさに紛れて勝つ!」というセオリーのもと一風変わった戦略で高校野球界を進んでいく・・・。

    「開成は体育の先生(野球部の青木監督)も東大卒なんだなあ」とか、「開成に通ってるような人はやっぱり"秀才"でも"ガリ勉"でもなく"神童"(頭良すぎてちょっとおかしい)」とか枝葉のほうに目が行ってしまいがちでしたが、楽しく読めました。
    生徒たちが個性豊かだわ。

    私はハードカバーで読んだので、ぜひあとがきとかが新たに加わってるのであろう今年出た文庫の方も読みたい!

  • ニノ主演ドラマの原作、ということで早速図書館で借りてみた。

    「超進学校・開成高校野球部がひょっとしたら甲子園に出場できたかも」と聞いた著者が、この野球部を取材したノンフィクション。
    クスクス笑える箇所がたくさんあって、面白かった。ドラマはどんな仕上がりになるのか今から楽しみ。

  • 練習時間、グランド、施設、すべてが足りない! 超進学校・開成高校野球部が考えた常識破りの方法とは? 部員に密着し、弱くても勝つための大胆な発想と戦略を探る。

    監督が「出遅れるな!」と檄を飛ばし、選手たちも口々に「出遅れるな!」と言い合うが、出遅れないことを意識し過ぎて結果的に出遅れる…。素振りは完ぺき、問題は球が前から来ることだ…笑ってはいけないが、アタマが良過ぎる故?の独特な開成野球の描写が面白い。エラーで大量失点する前に打って打って打ちまくってコールド勝ちを狙う戦略も、壺にはまれば+くじ運が良ければ05年のように夏の東東京大会で4回勝ってベスト16、07年や12年もベスト32まで進んだ。とにかく痛快な本。
    (A)

  • 野球を「哲学」で教え、それを実践した彼らの奮闘記。
    ワタシ的には大爆笑の連続。
    「体が知らない」ってこういうことなのか、と。
    例として挙げるならば…
    → 転びそうになったら自然と手が出て顔や頭などを守ろうとする。自己防衛本能…などと言ったらカッコいいけど、幼い頃に体を使って習得した事のひとつ。

  • 弱くて練習時間も短く、環境的にも劣ってるチームがどうしたら勝てるのか、目から鱗の話で面白かった!
    野球を知らないとどうなのかなぁと思うけど、考え方としてはすごく面白いと思う。
    強豪校と同じようにしても勝てるはずがないし、無駄。
    潔くバッサリ要らない所は切り捨て、とにかく思い切り降って当たるのを待つ。野球以外にも通じるものはあると思う。

  • これは、ノンフィクションですよね?
    小説?と思うほど、ばかばかしくて…笑えます!

    超ドヘタな、開成高校野球部…
    週に1度しか練習しない。守備はめちゃくちゃ…
    でも、バッティングだけは、強い!
    5番打者くらいまでが、打席が良いのはわかりますが…
    7番8番9番も、強打者のため…
    「こんなチームの打順したのバッターに打たれる?」
    と、相手チームのピッチャーを凹ませ…快打線に持ち込む作戦…
    なので、勝つ時もコールド、負ける時もコールド。

    ふざけているのかな?
    これ本当に話???

    だんだん読んでいくうちに、イライラしてきますが…
    笑いながら、読みおわりました。

  • この本は文字通り開成高校野球部のノンフィクションであり、どうやって強くなってき…、否、開成高校は強くない。そして、勝ってない。
    『弱くても勝てます』なんてタイトルを付けられたら、ストーリーのエピローグには勝ち試合の後の選手たちの清々しいインタビューでも読めたらいいのだがそんなのもない。
    でも、来年の夏の楽しみがひとつ増えた。野球は9回2アウトからというが、試合すらまだ始まっていない。弾けろ!開成高校野球部‼︎

  •  何度も笑ってしまい、妹にうるさいなと怒られた。野球で勝つために必死なんだけれど、必死のポイントが他の強豪校とは違っていておもしろい。守備は、大きく崩れない限りエラーをしてもオッケイ。それより、どさくさに紛れて得点するという野球。思いっきり振る。ボールに当てるのでなく物体に当てる。賢い子たちなので何事も論理的に説明し、練習は、仮説と実験の場。発想が面白い。週に一度の練習でいかに勝つかいろいろ考えて試しているところがおもしろい。根性論でないところもいい。

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「弱くても勝てます」―開成高校野球部のセオリーの作品紹介

時間、グラウンド、施設-すべてが足りない!超進学校が考えた常識破りの方法とは。

「弱くても勝てます」―開成高校野球部のセオリーはこんな本です

「弱くても勝てます」―開成高校野球部のセオリーのKindle版

「弱くても勝てます」―開成高校野球部のセオリーの文庫

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