勝ち逃げの女王: 君たちに明日はない 4

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 836
感想 : 150
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104750047

感想・レビュー・書評

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  • 新刊が出たのかと勘違いして購入しましたが、ずいぶん昔に読んだ本でした。せっかくなので飛ばし読みですがもう一度最後まで目を通しましたが、やっぱり山一證券の爺さんたちの話は前回同様に最高につまらなかったです。JALも古くさいだけの落ちぶれて行くまだ途中の話でもっと没落した今ではまだまだ大甘、ヤマハも元サッカー少年の登場くらいからわざとらしさが鼻につく感じでした。ファミレスが1番まともだった気がしますが、全体としてはネタ切れで丁寧さや集中力不足。この後の続編は無くて正解だと思いました。

  • 君たちに明日はない・シリーズの第4弾です。
    今回は表題作の「勝ち逃げの女王」と「ノー・エクスキューズ」が特に面白かったです。
    「勝ち逃げの女王」では、いつもはリストラ役の真介が社員をひきとどめる立場になるのが新鮮でしたし、「ノー・エクスキューズ」では、真介の会社の社長・高橋の過去が語られたのがよかったです。

  •  小説の中に自分がいる。そんな気持ちにさせられるのがこの連作中短編集『君たちに明日はない』シリーズである。リストラ請負人・村上信介が現れると、短編毎にサブ主人公となる各種職業の誰かは、仕事と人生の見直しを強いられることになる。自分の生活の中で果てしなく続くかに見えた日常が、危うく儚いものとなり、自分自身と改めて向かい合うことになる。

     小説中のキャラクターたちが自らの人生を問うとき、自分はどうだったろうか、どうなのだろうか? と問いかけざるを得なくなる。あるいは自分に類似する部分を登場人物に発見する時の驚き。人間の個性とは? 人間の選択肢とは? いろいろなことに向き合うことで、より正しい自分自身の在り方を考える機会を持つ。

     そんな性格を持つからこそ、このシリーズは人気シリーズとなり得たのだろう。全5作と長いシリーズだと思う。前作では旅行業も題材になったが、垣根涼介は近畿日本ツーリスト所属の添乗員の経歴を持ち、ホーチミン市での体験を元にデビュー作『午前三時のルースター』を書き上げ、その語、南米を中心にしたクライム小説を書くようになったのである。

     さて4作目では、高橋社長の経歴が明らかになる外伝のような短編『ノー・エクスキューズ』が収録されている。

     また、『永遠のディーバ』という作品が今回は印象的であった。

     某巨大音楽関連会社をモデルとした「ハヤマ楽器」に勤務しつつ、ポプコン習ぬロックコンというコンクールイベントの優勝・準優勝経験者二人を軸に、音楽のプロ・アマの差を厳しく描く。自らプロのライダーを目指し挫折した経験のある村上にとっても、この会社は系列の発動機メーカーとして強いインパクトを持っていた。読者である自分は、弟こそプロミュージシャンになったものの、自分は素人ミュージシャンとして楽器を楽しみ、実人生は趣味とは何の関連もない仕事に従事していた。趣味と才能と仕事。それらのバランスを問われる面談のシーンがいつになくハードな展開となるシーンをお見逃しなく!

     軽ヒューマン小説といったこのシリーズ、最後はどのように締まるのか。主人公の村上がこの世界を去ってゆくのか。ドラマをずっと見ていたわけではないぼくにはこの先がわからない。また自分と向き合うみたいにこのシリーズ最終巻とも、いずれ向き合ってみたい気がしている。

    追記:本書は現在『永遠のディーバ 君たちに明日はない 4』と改題されています。

  • 「君たちに明日はない」シリーズ第4弾。第3弾が今いちだったので、このままジリ貧かな、と思いきや、ちょっと持ち直した感じ。リストラ対象者(今回は引き止め対象者も)の内面の描写が丁寧で、読んでいて深みが感じられたのが良かったかな。

  • 読みやすい。
    業界のことをよく研究しているな、と感じた。

  • どこがおもしろかったのかわからん。

  • シリーズ最終作かと思いきや、話の内容からまだまだ続編が出る模様。主人公真介と陽子の恋愛模様の続きが見たくて急いで読んだのだけれど、残念ながら今回はあまり進展なく。前作同様、いろんな職業の人たちの人生の転機について、一話一話ストーリーが今回も描かれてましたが、個人的には永遠のディーバが好きでした。大なり小なり、人には打ち込んできたもののがあると思いますが、それを今現在も続けてる人ってどのくらいなんだろう?なぜ辞めてしまったんだろう?バカと天才は紙一重だって言うけれど、才能もそんかものかもしれない、と教えられました。

  • シリーズ4作目とあって設定をいじったり、社長や真介の過去を垣間見せたりと工夫が見られる。真介にしては負けもあったが爽やかな負けには違いないだろう。

    表題作が一番面白くなかったのだが、永遠のディーパとリヴ・フォー・トゥディは良かった。
    初期のような疾走感からの転向?もさまになってきたというか。
    でもやはり恋しくはなる・・・
    垣根さんはどの本でも優しいけれど。

  • このシリーズはあんまり好きでは無かったのだが、短編で内容があっさりしているので何と無く全て読んでしまった。

    別にすごく気になるほどでは無いのだがここまで読むと主人公と恋人のこれからの関係が気になってきて、4冊目に突入してしまった感じだ。

    しかし今回は主人公自身や恋人の話はあまり無いままに終わった。

    でも逆にそれが良く、このシリーズの中で一番面白かったと思った。

  • 面白いんだけど、さすがに4作目となると少し飽きた。自分の気持ちと向き合うきっかけをくれる本。

著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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