迷子の王様: 君たちに明日はない5

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 608
感想 : 113
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104750054

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ5作目にして完結編!
    このシリーズ当初の真介はちょっとチャラくて
    仕事も上手くこなす器用なイメージだった。
    かと言ってシビアにリストラ面接するでもなく
    嫌みのない不思議な魅力があった。

    シリーズが進むにつれて、面接交渉や相手のストーリーの魅力もあるけれど、真介自身が変わっていく様子がわかりそれがシリーズを面白くさせていたと思う_φ(・_・

    最終巻にしてついに真介本人の転職となりました。
    その考え方、行動と決断は彼らしくて何故真介というキャラに魅力を感じたのかわかった気がする。

    短編としてもシリーズとしても面白かった〜♪
    新しい仕事で一冊出して欲しい(^ ^)


  • 自分の人生について今一度立ち止まって考えさせられる一冊。
    自分の人生の幸せって?
    何を目的に働いているの?
    一旦考え出してしまうと袋小路にはまって、意味の分からない焦りにつながってしまうが、人生は途中経過の連続であり、その時その時に選択をすれば良い。できないのであれば出来るときに選択すればいいのだと気づかされた。

  • 君達に明日はないシリーズ5。完結編。リストラ転あえ職の現場で悪戦苦闘する。メモ啓介(1)企業とそこに勤める人ってどこか男女関係に似ている気がする
    (2)自分の仕事の社会的な意味に絶えず疑問を持ちながら、時にはやってらんねぇ、などと後向きの意識を持ってしまうような職種の人間が、結果として、自分の仕事に懸命に向き合って来た人間の首を切るのだ。
    (3)世の常識と今の自分に暫時寄り添いながらも、自分の正しさを、そして自分の常識を疑い続ける者だけが、大人になってからも人間的に成長し続けられるのではないか。
    (4)時代ってのは生き方のことだ。
    (5)こんなものがあったらいいな。そんなものを作る。そして人に喜ばれる。それが、本当に報われるってことだろう。
    (6)食う為だけに仕事をする人間はいつ時代だってその仕事からは永久に報われることはない。
    (7)どんな人間の人生も他人の人生の断片からなる集合体で成り立っている。…それが体感的に分かっている者でなくては、実社会での自立は出来ないだろう。
    (8)人は…それを裏付ける気持ちを持つ相手に対してだけ、動くんじゃないかと僕は思う。そしてその気持ちは当然動きにも出る。

  • 嗚呼、終わってしまった。
    面白かっただけに寂しさもひとしお。
    「さざなみの王国」、登場人物の本に対してのとらえかたに共感した。
    他にも、曖昧な自分を許しておくとか、誰かを大事に思っているという気持ちを互いに持ち続けれる人間関係だけが残っていく、なんかが今の自分の心に強く残った。
    この本を紹介してくれた敬愛する職場の方に感謝の気持ちを!!

    • 1392972番目の読書家さん
      共感できる本をお知らせ出来て良かったです。
      共感できる本をお知らせ出来て良かったです。
      2020/10/07
  • 待っていた「君たちに明日はない」シリーズ。リストラ組の僕にとって響く内容がありました。ただ、確かに社会情勢が変わり、業界事情より人物主体になってきますね。これで完結ってのも仕方ないでしょう。しかし、社長と陽子の微妙な雰囲気と言うか伏線は消滅したなぁ~続くなら三角関係もありえ・・ないか(笑)
    思い入れがあるだけに、新たな設定でのシリーズに期待します。

  • これがシリーズ最終作。終わってみるとちょっと寂しい
    しかし読み出したときからこうなるだろうとは、漠然と予測できた
    主人公真介がしている仕事はそう長く続くはずがないのだ
    所詮、時代の徒花のような仕事なのだから

    最後は過去の面接者に仕事を紹介してもらうというオチが付く
    これも「袖すりあうも他生の縁」とばかりに真介自身が面接者のフォローをしてきたからだろう
    一期一会を大切にしてきた、ご褒美だ

    最終章の結び近く、湘南海岸に現れた真っ赤なユーノス・ロードスターが、なんだか印象的
    クルマ好きな作者らしいといえばそれまでだが

    真介くんの多幸を祈りたい

  • リストラ請負人シリーズの最終巻。

    人生のターニングポイントだけではなく、その後を強く意識して書いているな、と感じる。

    仕事とは、自分の人生にとって何ぞや。

    生きるための仕事、金のための仕事・・・

  • 最終巻。
    最後は意外とあっさりと終わり…
    陽子との関係にも特に決着は着かずに終わるが、この物語の主軸はあくまでもそこではないため、良いかなと思う。
    最終的には真介自身が次の人生を探すところで終わるというのが感慨深い

  • 人見知りの書店員に共感した。あんなに酷い人見知りではないけど。

  • 首切り会社といえば聞こえが悪いが、リストラを推進するために、対象社員と面談し、状況を理解してもらい、適切な次のステップを見付けるお手伝いをする会社、日本ヒューマンリアクトで働く男が主人公のストーリーもようやく完結。
    毎回働くとはどういう事なのか?何に価値を感じて働くのか?といった事を、ストーリーを通じて語りかけてくる。
    モノ作りが得意だった日本。でもどんどんコストの安い海外に流出し、本当に価値あるものを創っているという自信も喪失しつつある世の中。
    自分自身がそれを使っているイメージを持って、新しいモノ作りに取り組んでいるのか?という問い掛けは非常に心に響いた。
    リアルなモノでなくても、考え抜いたことが本当に自分も利用したいものなのか?
    そんなイメージすら出来ず、周りから凄いと言われたい為に頑張ってるんじゃないか?と問い掛けられたような気が…
    改めて自分自身の今を振り返ってみよう。
    企画だなんだとうんうん頭を悩ませているが、本当に自分も使いたいと思う内容か?
    そういう視点って大事だし、それを見付けるために時間を使いたいと思った次第。

著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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