自壊する帝国

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著者 : 佐藤優
  • 新潮社 (2006年5月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104752027

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自壊する帝国の感想・レビュー・書評

  • 前著「国家の罠」が逮捕されて以降のことが中心であったが、この「自壊する帝国」は著者の外交官人生の原点とも言えるソ連駐在時代の事が主題になっている。佐藤優は逮捕されて有罪判決を受けてもさらに多くの人々を引きつけて止まない。それは佐藤さんの人となりに起因するところが大きいが、その人となりを構成しているものの大きな要素として「神学」があるのではなかろうか。それが「信仰」ではなく「神学」であるところが大きなミソである気がする。佐藤氏は人とのつながりや信頼関係の基本を原理原則を曲げないことに置いている。自分の掲げた原理原則は死んでも曲げない。そのことの価値の分かる人間であればたとえ立場や主義主張が違っていてもリスペクとしあい強固な信頼関係を築いていける。ただしその決してぶれない個人の原理原則がどこまで純化していくか、またそれを元にどのように周りと関わっていくのかということに「神学」という学問がかなりするどい武器になってくるのではないかと感じた。

  • 佐藤さんが外交官になってモスクワにふにしてソ連が崩壊していく過程を書いてる。モスクワ大学の話とか、バルト三国の話とか、実際いた人だから知ってる面白い話が結構あった。

  • 「ソ連建国の父レーニンは、西側の外交官はすべてスパイであると考えていた。語学力が弱くてはスパイとしては使いものにならない。従って、”スパイの卵”である日本外務省の研修生が、できるだけロシア語が下手になるような特別コースがモスクワ大学には用意されていた。」p.42

  • 元駐ソ外務省専門職員佐藤優氏による、ソ連崩壊前とその後の実録。
    読んでいて映画のようでドキドキして、ページをめくる手が止まらなかった。
    モスクワ大学に入ってから彼の専攻である”神学”で徐々に人脈を広げていく様子がすごいなあと思った。留学に行ったときに改めて思ったけれど、”言語”(言語学ではない)は専攻するんじゃなくて他に経済や文学を専攻して、その上で言語を学んだほうが専攻話に花が咲くと思った。今回の佐藤氏も神学専攻だったことが彼の外交に大きく貢献していると思う。

    ・本の中のウォッカの飲み方(ロシア人はお酒を飲んだあとでも考えがブレない人を信用する)
    ・水着のポスターや手に入らないお酒での人脈作り
    ・定期的に相手と連絡を取り続ける
    ・外務省で信頼できる友人を数人作っておく
    ・直接自分に利がないと思っても、連絡は途絶えないようにする
    ・ソ連崩壊時にコインを買い占める

    など彼の行動には本当に感心した。外交官は皆彼くらいのことをやっているのかなあと思った。この本を読んで外交官ってかっこいいと思う一方、自分ならこんなことずっとできないから外交官は無理だなと思った・・・(笑)

  • 「ソ連は帝国だ。だから権力が均質ではないんだよ。モスクワに権力が集中しているということは、地方では権力がスカスカということだ。」

    あぁ、なるほどねぇ。

  • 元外交官佐藤優氏による、ソビエト連邦崩壊直前、直後の回想録。モスクワ大学を出発点に徐々に人脈を広げ、共産党中枢に食い込んでいく過程が丁寧に描かれている。
    また、崩壊寸前のソビエトの社会状況やそれに関わる反体制派の人々がどのように考え、活動を行なっていたのかを知る事が出来る。通常、この種の西側の本には事実関係は書かれても、ソビエト崩壊という事態を、反体制派や共産党要人がどの様に事態を受け止め、感じていたのかを書いた本はあまり無いように思う。佐藤優氏が外交官の職責を超え、これらの人々と人間として付き合った事がこの本の記述に深みを与えている。
    リトアニアの血の日曜日事件から始まる独立派、ソ連維持派の抗争。ソ連8月クーデターという極限状況での人間模様も、この本の見所だ。生死を賭けた極限状況で人がどう動くか、決定的な敗北に際して、人はどの様に振る舞うのか、その一端をこの本は教えてくれる。
    ロシアの現代史の記録というだけでなく、その中で描かれる極限状況で人間模様こそがこの本の魅力だと思う。
    ロシアの現代史に興味を持つ人々には、是非お勧めしたい一冊である。

  • 信念を持って、それを貫く。それがどういう結果になるかなんて、知ったことじゃないっていう野郎達の話。。。だったり、変わっていく野郎がいたりの話だったり。。。。外交官っていう枠を越えて、強い思いを持って立ち回る佐藤優って、どんな実像なんだろう。でも、本当にやりたいことではないって裁判後には言ったりするし。この人が政治家になったら凄いことになりそう。(ならないって言ってるけどね)
    耳慣れないロシア名と宗教の話がいっぱいで難しい部分もあったけど、とにかく面白かった。アントニオ猪木が酒を飲ませるところなんて、もう最高(^^)d

  • 前著「国家の罠」と合わせて読むと理解が進む。
    旧ソ連が崩壊に至る裏側を現地に深く入り込んだ外交官が記した、という一冊として色眼鏡なしで読むのが良い本でしょう。
    ここまで現場を駆けずり回っている外交官がどれだけいるのかはわかりませんが…
    ロシア人の生態があまりにも日本人と違いすぎるのが興味深いです。ここまで生活が違うと相容れない部分も多いんだろうなぁ。とか。

  • アメリカの陰謀って恐い。
    世界は、私達に見えてる氷山のその下で恐ろしい駆け引きをし続けてる。
    ということに気付かされた一冊。
    外交なんて馴染みのない私にも読みやすく解りやすい文。

  • 自炊したタイミングで数年ぶりに再読した。
    あいかわらず、背景知識が足りないために人物関係が良くわからなかったり、人名が覚えきれなかったりして、とても読んだとは言えないけれど、報道では知り得なかった現場のダイナミクスを感じられた一冊だった。

    米原万里さんのエッセイを切欠に読み進めたロシアものも、この辺で打ち止めかな。いや、サハロフ回想録まで、がんばってみるか。。。

  •  本書を読んで、まるっきり映画みたいなことが、現実の外交では起こっているのかとわくわくした。「事実は小説より奇なり」とはよくいわれるが、その諺をそのまま本にしたら、『自壊する帝国』になるのではないかと思ってしまうほどに。

     本物の情報操作というのが、どんなものか著者が学んだという箇所では
    アルクスニス「ただ、面白いのはメドベージェフがあなたにした話だ。セルゲイフルシチョフの見立て通り、この情報源がKGBであることは間違いない。典型的なKGBの情報操作だよ。あいつらは嘘は言わない。ただし、2%しかない要因を誇張し、あたかもそれが真相の9割くらいと相手に信じこませる。典型的な手口だよ」(一九二頁)

    と決して嘘はつかないが、部分的事実を誇張して相手に間違えた評価をさせるのだ。というようなことがわかる。これはほんの一部で、一癖も二癖もあるが、本書には魅力的で賢い人物が次々と登場する。



     結局のところソ連はどうして崩壊してのであろうか?。初期エリツィン政権のブレーンで国務長官であった、飛び抜けて高い頭脳をもつ戦略家であるところのブルブリスの見解によれば、

    「自壊したんだよ。ゴルバチョフが一九八五年に権力の座に就いたときに、既にソ連は崩壊していたんだ。俺の貢献はエリツィンにその現実を理解させたことだけだ」

     共産全体主義国家という理想は最深部ではもはや、サスティナビリィ―をもったイデオロギーたり得ないというのは誰もが了解していたことだった。

  • 難しくて関係性・背景は完全に理解できない。でもイメージとしてではなく、実際一筋縄ではいかない国なのだなあということはよくわかる。外交官の仕事の多様性と人脈の広さも。

  •  ソ連解体を同時代的に佐藤の目を通して追体験出来る本。佐藤優本人は、個人的には嫌いです。国家権力を利用し、またある意味、国家権力の一部としての自らに存在意義を見出していた以上、そこに捨てられたら抵抗などせずに、受容するのが、真の国家主義者ではないだろうか?佐藤の行動や言説には、自分勝手さや都合の良い要素が多く感じられるからである。

     でも、本書は読み物としては非常に面白かったと言うのが、感想。言論界で議論の為の議論をせず、佐藤も昔自分が考えていたような、研究をして余生を過ごせばいいと思う。

  • プロの外交官は、本当にリスクも高いけれどもカッコいいなあと思いました。幅広くて奥深い膨大な知識を持ち、それをもとに社会を分析し、能力の高い要人と議論し、人間との駆け引きもこなしつつ危ない橋も渡る。そして、成果をあげる。まあ、書き方やエピソードの選び方がそう思わせるのかもしれませんが、そこは出版社(編集者)の技量によるものでしょうか。

    あと、サーシャの社会情勢の見立てがことごとく的確であるところも、めちゃカッコ良く思えました。

    再読し始めることがあるかどうかわからないけど、できればしたいです。

  • 佐藤優のモスクワ駐在時代、ノンフィクション。
    ゴルバチョフからエリツィン、1991年崩壊ソ連崩壊。

    いやいや、私には難しかった。

    しかしこんな仕事があるんだな、とも思った。
    豪華なディナー食べにいったりウォッカ飲んだり、そういう話は結構面白い。

    たいちに薦められて。

  • 国家、宗教、民族、イデオロギー、自由、政治、権力、外交、思想、自壊していく帝国の情勢に照らされ、これらの概念に対する感覚を養うことができた。社会は銘々に大きな影響をあたえる。一方で、個人の行動の集積がおおきなうねりとなって社会を形成する。

  • 医者でも手に負えないね。
    ウォッカ飲み過ぎ(笑)

  • 米原市立山東図書館

  • うーん、面白かった。自作も読む読む。

  • サイン本
    ISBN 4-10-475202-9
    入手条件・定価 1600円
    全国書誌番号 21046145
    個人著者標目 佐藤, 優 (1960-)∥サトウ,マサル
    普通件名 ロシア -- 歴史 -- 1985~∥ロシア -- レキシ -- 1985-
    →: 上位語: ロシア -- 歴史 -- 近代∥ロシア -- レキシ -- キンダイ
    NDLC GG846
    NDC(9) 238.075
    本文の言語コード jpn: 日本語
    書誌ID 000008194334

  • 180.07.4/25.8刷、並、カバスレ、帯付き。
    H.21.9/19.松阪BF.

  • 20080702
    佐藤優のロシア大使館時代の回想録
    自分をヨイショしすぎでは?

  • 人の持つ信念と、それを信じる人間関係が、時代を再構築する。<br>
    <br>
    ソ連という国が崩壊した。<br>
    時代のうねりが激しいときには簡易な理論は通じない。<br>
    古き時代からの基本的な知識を蓄積した外交官が、<br>
    目に捉え、体感したロシアという国の歴史。<br>
    <br>
    以下抜粋。<br>
    ○試しに日本でどうやっても入手できなかった、<br>
     チェコのプロテスタタント系出版社が出している神学書を数冊注文した。(P.30)<br>
     →思いを持って生活をし続けることで、機会を得て成功する例の一つ。<br>
    <br>
    ○本には一冊、一冊の運命があるんだよ。<br>
     私にはそれぞれの本がいちばん幸せな運命をたどって欲しいと思っている。(P.37)<br>
    <br>
    ○何が欠乏し、どういうことで喜び、怒るのかについて、<br>
     皮膚感覚で捉えるこたができるようになることが大切だ。(P.39)<br>
    <br>
    ○理屈と勘がぶつかった場合は、勘を重視することを勧める。(P.39)<br>
    <br>
    ○半年もすれば新聞の行間から何が実際に起きているのかが<br>
     読み取れるようになる(P.40)<br>
    <br>
    ○川を三つ越えれば、誰も浮気をとがめない。(P.73)<br>
    <br>
    ○「ロシアだってそうだ。<br>
      イスラーム世界だって、<br>
      カトリック世界だって閉ざされた完結した世界だと思うよ。<br>
      それを一つにしようと考えるのはおかしいと思う。」<br>
      (中略)<br>
     「人は変わるし、<br>
      教派間や異なるイデオロギーをもつ人たちとの対話にも意味があると思うよ。」<br>
     「僕はそう思わない。<br>
      この話はお互いに見解が違うということを確認して終わりにしないか。」(P.77)<br>
    <br>
    ○歴史には「機会の窓」がある。(P.94)<br>
    <br>
    ○私自身は、日々の大使館業務に追われていても<br>
     毎日最低二時間は神学や哲学の勉強を続けることを日課にしていた。(P.137)<br>
    <br>
    ○これくらい大きな変動が起きると国際政治や国際法の知識はほとんど役に立たず、<br>
     むしろ神学部で学んだ協会史や組織神学の知識のほうが役に立つ。(P.235)<br>
    <br>
    ○三分も経たない内に一人約一本のウオトカを飲み干した。(P.273)<br>
    <br>
    ○そろそろ緊張が限界に達しているのだよ。<br>
     緊張が高まると子孫を残したいという本能が刺激されてものすごくセックスをしたくなる。(P.292)<br>
    <br>
    ○わずか三十銭の硬貨が、明暗を分ける形となったのである。(P.349)

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自壊する帝国の作品紹介

ソ連邦末期、世界最大の版図を誇った巨大帝国は、空虚な迷宮と化していた。そして、ゴルバチョフの「改革」は急速に国家を「自壊」へと導いていったのだった-。ソ連邦の消滅という歴史の大きな渦に身を投じた若き外交官は、そこで何を目撃したのか。

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