功利主義者の読書術

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104752041

感想・レビュー・書評

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  • だらだら時間つぶし読書派の私にとっては、このような読書方法もあるのか!とまさに目からウロコ。
    世界文学の名作、哲学書、宗教書をはじめ、タレント本や漫画まで縦横無尽にとりあげて、テーマごとに分類し、どのように「役に立てるか」という視点が興味深かった。
    とはいえ、石原真理子(『ふぞろいの秘密』)が論戦に勝つテクニックを念頭において書いた?綿矢りさ(『夢を与える』)が資本主義の本質を我々に示したかったのか?なんて考えると疑問ではあるけれど、あながち的外れな感じはしない。

    とにかく、佐藤優の膨大な読書数からセレクトされ、提示された本は、非常に新鮮であり、ぜひ読んでみたいと思い、せっかくなので、全て記しておこう。
    (☆付は今後読みたい本および漫画)

    資本主義の本質とは何か
     『資本論』カール・マルクス
     『うずまき』1~3巻 伊藤潤二 ☆(脱出不能なのろわれた町の話)
     『夢を与える』綿矢りさ
     『資本論に学ぶ』宇野弘蔵

    論戦に勝つテクニック
     『山椒魚戦争』カレル・チャペック ☆
     『ふぞろいな秘密』石原真理子
     『負け犬の遠吠え』酒井順子

    実践的恋愛術を伝授してくれる本
     『孤独の賭け』五味川純平
     『わが心は石にあらず』高橋和巳

    交渉の達人になるための参考書
     『北方領土交渉秘録』
     『カラマーゾフ兄弟』
     『カクテル・パーティ』大城立裕 ☆

    大不況時代を生き抜く智慧
     『恐慌論』宇野弘蔵
     『恐慌前夜』副島隆彦
     『経済学の国民的体系』
     『蟹工船』

    世直しの罠に嵌らないために
     『邪宗門』
     『歌集 常しへの道』
     『レッド』 ☆

    人間の本性を見抜くテクニック
     『長いお別れ』清水俊二訳/村上春樹訳
     『死と生きる 獄中哲学対話』

    沖縄問題の本質を知るための参考書
     『琉球王国』
     『テンペスト』

    再び超大国化を目論むロシアの行方
     『ソビエト帝国の最期』
     『イワン・デニーソヴィチの一日』
     『他者の受容』

    日本の閉塞状況を打破するための視点
     『はじめての唯識』多川俊映(春秋社) ☆
     『公共性の構造転換』
     『共同幻想論』
     『新訳聖書』

  • 【芝蘭友のトップストーリーニュース】vol.39で紹介。http://www.shirayu.com/letter/2009/000084.html

  • 読書とはかくも深いものか。見えざるもの、真実を見えるようにするためものが読書なのだと著者は書く。石原真理子、綿矢りさから新約聖書まで、功利主義とあるがいわゆるビジネス書、マニュアル本の類は含まれていない。紹介された本を読んでみようと思う。

  • さすがは知の巨人。書評部分もあるがわかりやすい。

  • 読書を仕事にできる人って
    こういう人か
    と感心しつづけることになる

  • 相変わらずいかがわしく、ある意味変態的な知性を披露。何だろうか、、強度の高いものを求めて止まないこの性癖は。確かにこの著者、そういう意味で極めてネット社会的、つまり、ロシア的、中国的?

  • 佐藤優、尊敬。
    この人くらい読み込めるようになりたい…

    まずは、ここで勧められていた唯識の本から読んでみようかな。

  • タイトルに「功利主義者の」と掲げた理由について、佐藤氏はまえがきで「ビジネスパーソンや学生の役に立つということを第一義的に考えたから」と書いている。よって、初めから役に立つことを前提に作られているビジネス書や実用書は取り上げられておらず、どのような視点から読書をすれば、読書から得られた知識を自分の血肉とし、考えるための観点を鍛えることができるか、ということに重点が置かれている。

    その前提を踏み外すと、そもそもこの本自体が読めなくなる。その上で、取り上げた本をネタにして、随所に氏が他の著作でも触れているマルクス主義に関する立ち位置、日本の貧困社会に対する提言、国防に関する視座が含まれており、いわば書評の体裁を取った氏の「所信表明」と読める部分もあるので、気合を入れて向き合わないと、氏の見解に「飲み込まれる」可能性もある。
    その意味では、タイトルの「功利主義者の」はこのままでも妥当だが、後半は「解読法」と読み変えても良いのかもしれない。

    本来は娯楽の対象であるはずの小説からでさえ、氏は沖縄と日本政府の間の衝突や、人間に対する鋭いアンチテーゼを見出している(実際、取り上げられている小説はそういったテーマを表面からは分からない程度に内包している訳だが)。小説ぐらいはもう少し肩の力を抜いて読みたいな、と思う気持ちが自分にはあるので、その点を踏まえて☆は1つ減らしたが、読書から何を学ぶかを考えるための一つのアイデアとして、読むべき価値はあると思う。

  • む難しい・・・

  • 自分が本屋で見かけたら買いそうにもない書籍群でも佐藤先生の文書を見ていくと読んでみたくなります。
    翻訳ひとつで本に対する奥行きが変わることを教えてくれます。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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