いま生きる階級論

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104752096

作品紹介・あらすじ

ピケティじゃ、僕たちの危機は救えない! 格差の外で生きるための最強の処方箋。容赦のない収入格差。逃れようのない教育格差。知的体力の急速な衰えに直面する日本の危機的状況はピケティの思考では解決できない。今こそ『資本論』の知恵に立ち返り、上昇でも下降でもなく、階級を自由に「横断」せよ! キャンセル待ち続出の超『資本論』講座、待望の完全活字化第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りた。
    フリードマン流の新自由主義が世界中に広がり、日本でも非正規雇用が40%を超え、極短な格差社会になった。

    過去の遺物であるマルクス経済学の視点から発言してるんだけど、この人、本、たくさん出しすぎ。
    もう、あの人とも、この人とも、売れそうな人なら誰とでも見境なく対談してる。
    どれもマル経くずれが多い。

    非常に幅広い分野に言及してるんだけど、そのぶん、間違いも多い。とくに、この人の専門である神学とマルクス主義意外では、もっと口を慎むべきじゃない?


    宇野 弘蔵の経済学。

    Wikipediaより

    宇野はマルクス経済学を社会科学として確立することを目指し、社会主義イデオロギーを理論から排除した。原理論は資本主義経済の法則を解明するだけで、社会主義への移行の必然性を論証するものではないと考えた。この見解はマルクス経済学と社会主義イデオロギーを不可分と見なす主流派の見解と対立するものだったため、強い反発を受けた。宇野は主流派の経済学者たちを「マルクス主義経済学者」と呼んで自身と区別した。

    段階論に属する『経済政策論』でも、資本主義経済の歴史的な発展に対応する典型的な経済政策を記述することを課題とし、望ましい経済政策を提示する一般的な経済政策論とは一線を画した。

  • ぱらぱらみたがおもしろそう。でも、地主階級、資本家階級、労働者階級という階級が生じるのは、単なる現象論、歴史(モデル)の必然?この手(社会学)の本はいつもこの辺で引っかかって先に進めなくなる。

  • 著者の「資本論」講座を書籍化したものです。資本論の基本的なことを理解していないと理解困難な部分が多いですが、講義内容はとにかく博覧強記の一言に尽きます。著者が「知の巨人」だと呼ばれる所以がよくわかりました。

  • 競争はある程度やっていかないといけないし、この社会とそこそこ付き合わないといけない。それが全ての世界観、人生観になってはいけないとは承知しているけれど、ある程度の命よと尊厳をもってそこそこの収入を得ていきたいと。
    アメリカの大学では一般教養レベルを日本の専門教育のレベルくらいで4年やる。それで大学院に言ってあkら専門教育をやるスタイルにしたからアメリカの大学は事実上6年になっている。それがエリートに入る条件で、さらに3-5年かけて博士号をとってヨーロッパに留学経験があるのがエリート。

  • 講義録の形で、佐藤さんの授業に加わったかのような感覚になれます。
    手っとり早くその場凌ぎの知識を得るのではなく、自分で考えて自分で学ぶひとになるための基礎として、佐藤さんの学び方、知との向き合い方がとても参考になりました。

  • 資本論は階級論にも言及している。その階級論で資本と労働を考え、そこに国家を組み入れるといろんな仕組みが見えてくる。たとえばファシストとかナチスとか。レーニンの外部注入論しかり。近代国家の興亡史に影響を与えている点で、資本論はまだまだ奥が深い。

  • こんばんは。私の拙いブログをご愛顧して下さる方々が少なからずいると聞いて、嬉しい限りです。で今日は少し難しい本の書評です。「いま生きる階級論」佐藤優著。私の大ファンの佐藤先生の本質部分、マルクスの「資本論」についての書籍です。ああ、難しい、難しい。大野は途中で何度も読み飛ばせては、元に戻りました。

    まず結論から「資本論」は(商品)というものを徹底的に分析していけば、この世の中は(階級)というものからできているという。

    ということは、我々が生きている社会は階級社会でそれがどのようになっているかは先取りされているのだ。

    まずマルクスは社会と国家を分けた。社会も国家も共同体であるが、それがぶつかった場合どうなるか?それは戦争だという。

    資本主義社会というのは、基本的には自由平等を原則としている。そこでは労働力と言う商品を自由に売買することで成り立っている。それに対して国家はその背景で暴力があり、国家と国民の関係は必ずしも自由ではない。

    我々は国家に税金を払わないといけない。そうしないと国家に暴力を振るわれるからだ。この国家には官僚という階級がおり、彼らが我々から税金を簒奪するとのことだ。

    ところが官僚も管理職になるか否かで、「資本家」、「労働者」に別れる。したがって我々は税金も国家も資本論を読むときは除外しないといけない。実際「資本論」には記載がない。つまり「社会」だけで資本主義が成り立ってしまう。

    労働力の商品化がなされている資本主義化社会において、資本家は労働者と同一の立場で労働力を買う。では労働力の価格とは何か?佐藤先生はこう解説します。

    一つ目は労働者が一か月暮らすための生活費。二つ目が(自分以外の)家族を養う費用。三つめが資本主義ではイノベーションが絶えず起こるため、自身の教育費であるという。

    また資本家が労働者を雇う場合、給与よりも多い分の対価(剰余価値)を得ている、という。ただし「資本論」によると、資本家だけが剰余価値を独占することはできない。資本家は何をするにせよ、工場、店を作る等地代を支払わないといけない。しかし地代=地主という単なる古典派経済学ではなく、それは剰余価値を挟んだ階級関係を無視している見方だよ、とマルクスは指摘している。

    このように、資本主義社会は資本家と労働者という二大階級に収斂される。ただ現実の資本主義社会には、それ以外の階級もある。例えば医者。開業医は資本家か労働者か?佐藤先生のような作家はどうか?これは(中間階級)であり、矛盾を包括している。

    このように資本主義社会も矛盾に満ちている。一応、労働力の商品化というものを脱構築すれば、資本主義というシステムは脱構築できる。しかしそのためには労働者に何らかのモチベーションが必要となってくる。

    ソ連では労働は拘束だからと、人間らしく生きていくため労働時間をどんどん短くしていくと、労働を軍事力に使われた国に戦争で負けて占領されてしまう。ちなみにソ連が崩壊したのは、ミサイル防衛(MD)システムのせいだったそう。

    結論として、純粋な資本主義社会は社会が自立して成り立っていれば、そこに国家は存在しない。しかしピケティ教授は資産税の強化という形で国家の関与を増やすが、竹中平蔵教授は規制緩和という方法で国家の関与を減らそうとする。

    マルクスは後半生はほとんど革命運動はしなかった。ひたすら大英博物館にいって資本の内在論理はどうなっているのかを研究した。革命のチャンスをひたすら待っていたという。

    もしチャンスを逃さなければ、この社会はどのように変わるのだろうか?初期マルクスの疎外論にも近くなってくるが、多分部族社会に似たような感じになるのでは?と、佐藤先生は結論付ける。

    つまり交換様式のような助け合いはあるが、資本主義社会で得た一定の物質的繁栄は確保してそういうものを否定しないような形での新しいシステムになるのではないかとの結論である。

    少し冗長になってしまったが、マルクス経済学に触れたい方は是非本著を読んでほしい。

  • 今生きる階級論 佐藤優

    1:真理は人を自由にする

    官僚は税金を搾取するのではなく、国家が独占する暴力装置を背景に有無をいわさず収奪する

    経済というのは基本的に暴力で処理する世界だった。これが暴力ではなく、お互いの合意のもとで働く、となったのは近代になってからで、そこから労働力が商品化されて、嫌だったら仕事を断れるようになった。

    2:思考するプロレタリアート

    小説などを読んでうまく要約などが描けない時。印象に残った場面を抜き出す。

    資本主義社会は法をゆういつのイデオロギーとする。法によって商品音交換の契約を拘束し、それ以外の宗教や慣習にとらわれず、経済合理性なり市場原理なりで動いていく。


    3:革命はどこから来るのか

    真理というものは楕円を構成している。一つの軸だけで物事を全部読み解くことができると信じてしまうと極端な思想になるし、取捨が多くなる。

    自然を作り出すことはできない。だから資本主義システムに自然を包摂ときには無料のものではなく、土地代が生じてくる。これが環境制約性の問題
    これがネックになってくるが、あたかも商品経済で処理できるかのように錯覚している。

    会社に雇われている間は労働力は商品。商品である以上所有者である資本家の判断に委ねられる。だから資本主義社会で自己実現なんかありえない。でもそこがわかってくると歩留まりをつけてずるく立ち回って、システムの隙間で自己実現がそこそこできる、折り合いを見つけることができる。

          旧自由主義   新自由主義

    自由の主体 個人や企業   独占資本

    本を手元に置いておくということは、いつでも自分が必要な場所を引用できる。ということ。一度対象化して判断をする。そのために抜書きは有効。

    資本主義のスタートはイギリスのエンクロージャー。土地囲い込み運動である。地球が寒冷期にはいって毛織り物が必要になって政府が農家から土地を取り上げた。農家は仕事がないので都市に出た。しかし彼らにスキルはなにもない。売れるものが自分の労働力だけ。そこで労働力の商品化が始まった。彼らは低賃金で長く働く。それが偶然資本主義というシステムを動かす力になっていった。

    4;急ぎながら待つ。

    教育の右肩下がりの時代が来ている。それが賃金格差を生み、階級格差につながる。格差を一気に是正しようと戦争が起きてしまうことだけは避けなくてはならない。

    5:横断的階級で生きる。

    どんなシステムでも抜け穴となる直接的な人間関係は大事。資本主義社会で生きている以上、真面目に働くことを否定してはいけない。競争して、成果を上げて出世していくことも大切。しかし体を潰すほど働くべきかといったらそうではなく、バランス感覚が必要なんだ。そして、ごく身の回りでいいから自分のペースで金を媒介としない世界を少しずつ築いていく。

    労働力商品は消費によってでしか生まれない商品。だから消費行動を通じて階級も再生産されていく。

    6:子供を救え

    資本主義における利己主義は原発に始まり、環境倫理とも関係してくる。国債をこれだけ発行して、次世代にどんどん付けを回している。また右肩下がりの教育に対して何も措置をとっていない。大学教授も自分の研究環境が良くなることしか考えてない。学生は就職活動で手一杯。親は、祖父母に金を出させて、学習塾に子供をやらせて自分の子供だけ危機的な状況から抜けられればいいと思っている。この行為全体の合成 から日本が弱くなっている。
    そこで出てくるのが直接的な人間関係で、できる範囲で自分たちに何ができるのか。子供のためになにができるのか。少しずつ考えていくしかないのではないのか。それでいつか大きく社会が外側からの力によって転換するきっかけがあるときはそれを逃さず、絶対に変えてやるんだと。そんな「急ぎつつ待つ」みたいな考え方をしている。

    →成長によって無理やりこの危機を打開するのか。それとも「資本主義の終焉と歴史の危機 」(水野和夫)に書いてあるように少子高齢化で急速にしぼんでいく社会をゆっくりとダウンサイジングさせて、ある程度のところに収束させるよう努力するのか。日本は選択に迫られていると思う。

  • 西村尚芳検事 脱税被疑者
     他人に言えないくらい貧乏で、お金でものすごく苦労したことがある。そして、貧乏していて困っていた時に国は何押してくれなかった。助けてくれなかった

    Vシネマ 闇金の帝王

    スペイン風邪 第一次世界大戦の終結に大きな影響
     スペインで起きたのではない。スペインは中立国で戦争に参加していなかった。他国が隠していたのに対し、スペインは情報開示したからスペイン風邪と名付けられた

    教養 高等学校もしくは専門学校以上の人
    修養 尋常小学校とか高等小学校
    戦前は教養と修養は分かれていた
    修養本 大日本雄弁会講談社

    リベラル 自由民 奴隷でない
    奴隷が勉強すること 技術、技法、テクネ 正解で一番最初に工学部ができたのが、東京帝国大学

    仏教が世界宗教になりにくい原因のひとつが、テキストが多すぎること イスラム教 テキスト量が適正

    吉村萬壱 ボラード病

    帝国主義国では、一部の労働者を労働貴族かできる

    同盟(全日本労働総同盟)繊維とか自動車の組合 民社党 
    総評(日本労働組合総評議会) 旧社会党系 国労、自治労

    あるシステムの内側にいると、そのシステムの問題は見えない

    ムッソリーニ 一イタリア人の物語

    立ち飲み屋で情報収集
     大体の話は2つに収斂 自分は能力があるのに、いかに正当に評価されていないか、こんな会社はやめてやる+それで俺とお前で起業しよう

    ねこの秘密 山根明弘

    小学校3,4年生ぐらいまでに、机に集中して向かうとか、インターネットの教材をつかって勉強するという習慣さえつけてしまえば、その後は自ら伸びていきます

    ロシアの底力 働き過ぎないことにある

    日本の場合は、なぜだかよくわからないんだけれども、成績がいい人は全部万能で何でもできるんじゃないかという神話があって、「実際やらせてみたら、そうではないんだな」と、周囲が気づくまでちょっと遅い感じがする。学校の成績とは別に、本質的な頭の良さ、地頭の良さをもった人がそれぞれの分野にいるし、そんな人こそエリートして必要なんだ、ということはきちんと知っておいたほうがいい

    いまや根室に産婦人科医がいない

    イスラム国がシリアとイランの油田地帯を握って、油を密輸し始めている 石油価格下落の一因

    カタール テロが一切起きない アメリカと一緒に多国籍軍に加わって空爆をしている イスラム国に金をだしている みかじめ料 パレスチナのハマスにも金を出している
    イスラム国もスポンサーは攻撃しない だからカタールは安泰

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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