ゼロからわかる「世界の読み方」: プーチン・トランプ・金正恩

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104752140

作品紹介・あらすじ

公開情報だけで世界はここまで読み解ける。大好評の「ゼロからわかる」シリーズ最新刊! 北方領土交渉は2018年のプーチンの動向に注目せよ。トランプの抱く反・アジア人思想とは。金正男殺害の引き金はツイッターだった?――世界を翻弄する三人の思考回路は誰もがアクセス可能な「公開情報」で全て読み解ける。最新の情勢分析に今後の考察も加えた熱血講義を完全収録。二時間であなたもインテリジェンスの有段者!

感想・レビュー・書評

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  • 日露関係・北方領土問題良く判る。必須のテキスト。
    特に北方領土問題は政府・マスコミがタブー化して国民を欺いているのは、国益を毀損している。
    1.北方領土問題
    1855 安政元年日露通好条約
    1875 明治8 樺太・千島交換条約
    1950朝鮮戦争
    1951サンフランシスコ講和条約peace treaty
    国後・択捉を放棄
    1956日ソ共同宣言歯舞・色丹は返還 国後・択捉は不可
       「北方領土」用語の誕生
    1960日米安全保障条約
    1961グロムイコ覚書 外国軍隊駐留の排除
    2001プーチン「イルクーツク秘密提案」森喜朗
       1956宣言の確認 両国批准済み
    2.3.4.5.

  • 外交問題の真実が見えてくるようで面白い。

  • アンネの日記を読むとオランダ人は善い人みたいなイメージあるけど、ナチス時代のオランダのユダヤ人の殺害率は75%。ポーランドと同じくらい。ドイツ、フランス、ベルギーよりも突出。だからこそアンネの日記が必要。オランダ人は良い人たちだったとう印象をオランダが世界に向けてプロパガンダするためにもアンネの日記をオランダの国策として火止めて行かないといけない。そのことによっていかにオランダ人がナチスに協力してユダヤ人排斥を進めたかを隠蔽する効果がある。

  • 佐藤優の最近の情勢の見方を知りたくて読んだ。

    印象的な内容
    ①日露会談は大成功
     目標の交渉環境整備を達成、民間経済協力食い逃げもない
    ②対米従属論はソ連共産党由来
    ③北方領土交渉は2種類
     歯舞色丹は返還交渉、択捉国後(南千島・西村条約局長答弁で放棄)は復活折衝
    ④領土問題は3年後プーチン再選経て動く、結果は2島返還+α
    ⑤モーゼス・ヘスのシオニズム
     マルクスらの同志で終末論の影響
    ⑥アメリカのクリスチャン・シオニズム
     ユダヤ教へ感情移入、福音派やモルモン教
    ⑦マルクス主義≠共産主義
     ほとんどのマルクス主義者はロシア革命反対だった
    ⑧フランス革命とロシア革命の類似性
    ⑨金日成・金正日主義
     金正恩は遺訓政治と決別、スターリン体制を意識
    ⑩白頭山血筋の金正男は斬首作戦後の後継候補のため見せしめに
    ⑪アメリカは本土到達可能なICBM完成なら北を武力攻撃
     韓国による核兵器入手が厄介

  • ・一方的な論かもしれないが、北方領土問題の理解にはすごく良い。つまり、日本政府はサンフランシスコ平和条約で国後・択捉は一度放棄しており、この二島は復活折衝であること、冷戦時は北方領土問題が解決しないことが国益であったことを認識し、当面は二島返還と、国後・択捉における特別な地位を獲得し段階的な出口論で交渉を進める。
    ・冷戦下は、北方領土問題は解決しないことが国益。なぜならば小笠原も沖縄も返還されていなかった。そんな中、歯舞群島と色丹島が返還されたたらソ連は米国よりもいい国になってしまう。
    ・歯舞群島と色丹島は返還交渉、国後島と択捉島は復活折衝。前者はバカでもできる。
    ・1951の政府見解は「南千島は千島列島に含む」。つまりサンフランシスコ平和条約にて放棄。1956には「千島列島には国後と択捉は含まない」。二重見解。
    ・1960のグロムイコ覚書「歯舞群島と色丹島の返還には米軍撤退が条件」により、二島返還すら不可能になったので、安心して四島一括返還キャンペーンができるようになった。いま、プーチンは米軍撤退を条件としていない。
    ・色丹島に資金を投入すれば数千人用のインフラは劇的に改善。それを国後の人に見せる。択捉の人に見せる。
    ・なのに宗男事件のといにインフラ整備を止めた。モスクワが援助したときに整備状況を察知し、クリル開発計画を進めて日本化を防いだ。
    ・二島を取り返して、将来の四島につなげる。最大の問題は、米軍の展開をいかに回避するのか。
    ・ロシアとはクリミアと尖閣諸島のバーターをうまく進められるか。アメリカの態度をどう抑えることができるのか。

  • 今年の1月~3月新潮講座を活字化したもの。
    まえがきとあとがきは8月に書かれているので、新しい内容になっています。

    タイトルにある三人についてはけっこう食傷気味だったのですが、この本はすごく面白い!!
    質の良い映画を見ているみたいに、どんどん引き込まれていきます。

    たとえば前半は「北方領土問題」が中心。
    私にとって「北方領土問題」と「北朝鮮拉致問題」って同じような感覚だったのです(ごめんなさい)が、いろいろ知るうちにどうも違うらしい…と。

    「国内政争の中で、当時の総理である鳩山一郎のグループと吉田茂のグループが対立していました。
    さらに芦田均もまた別の立場をとっていた。
    そんな国内政争の文脈の中で、ナショナリズムを煽って、日ソ交渉を極力難しくしていこうとういう流れがあったわけです。
    その流れが、森下外務政務次官の述べた政府統一見解が「日本は国後島・択捉島を放棄しない」という新しい物語を生んでいった」
    「日本が決定したのは、東西冷戦の枠組みの中で日米が一体となってソ連に強硬な要求をし、領土問題はとりあえず解決しないという態度でした。領土が返ってきてしまうと、まだ沖縄が返ってきていない状況においては、「ソ連はアメリカよりもいい国だ」となるから、そうはならないことに日本は魅力を感じたんだね」
    「1960年にグロムイコ覚書が出た時、日本側は「けしからん!」といって拳を上げて声明を出したのですが、内心では「やったーっ、良かった!」と思った。これで歯舞・色丹二島が返ってくることはない。ホラ見ろと、徹底的にソ連は悪い国だというキャンペーンを張っても大丈夫だ。」
    「日本政府のプロバガンダって、だいたい失敗するんですよ。(中略)ところが北方領土に関してだけは、あまりにもソ連がひどいことをしたから、「四島不法占拠」とか「四島即時一括返還」なんていう政府のプロパガンダを、全くもうその通りだと国民が思っちゃったんです。これはプロパガンダの珍しい成功例、それも大成功でした。
    ところが、あまりに成功した結果、国民が信じ込んだので、政策転換ができなくなっちゃったんだ。
    ちゃんと政治なり外交なりのプロの論理に即して転換すれば、なんとかなるだろうと思っていたのですが、なんともならなくなった。そこまで国民の大事な物語になったわけです」

    一部紹介しましたが、国民のひとりである私は「えーっ!そうだったの?!」です。

    その他にも、ここには詳しくは書きませんが、スーダン問題が日本の満州に例えられたり、日本のアメリカ研究が遅れている件を戦前のドイツ研究が遅れていた件と比較したり…、そうだ、このことは書き残しておこう。

    金正男事件がなぜ起きたか。それはトランプ就任とつながっているんですね。
    そしてあのようなドラマチックな形で行われることに意味があった。

    そこで私は「日本は北朝鮮の相手にするためには韓国と仲良くしたほうがいいだろう。韓国に頑張ってもらいたい」とずっと思っていたんだけど、佐藤優さんの意見はちがう!
    そこだけは書かせてください、許してください。
    でも本当はここを読まないで、本を買って最初から読んでね!

    「おそらく北朝鮮は、アメリカ、中国、韓国のいずれに核兵器を渡すかという状況になったら、韓国に渡しますよ。
    それは彼らが同胞だからです。
    民族の血は強いのです。
    韓国人だって、われわれ日本人が北朝鮮の悪口を言うと、口に出すかどうかは別として、内心ではけっこう怒っているからね。
    あれだけ閉鎖されて、ひどい体制なのに、いろんな技術を盗んで、独自開発をして、核兵器と弾道ミサイルを作ることができたなんて、北韓の人たちはさすがに優秀だっていう意識を持っています。
    この厄介な民族ナショナリズムが核兵器と結びついていく可能性がある。
    実はこのシナリオが日本にとって一番厄介で、極めて危険なんですね。
    韓国でポピュリズム政権が権力を握った場合がとりわけ危ない」

  • プーチン・トランプ・金正恩と、最近のニュースを賑わす各国首脳について書かれているが、本書の半数以上のページを割いて解説している北方領土問題の分析が秀逸。
    2001年3月の森首相、プーチン大統領のイルクーツク声明で段階的な返還の道筋まで見えたところで、その直後に発足した小泉政権、田中眞紀子外相で外務省の政策は大混乱に陥ったとか。本書を読んでいると、よく状況を分かっていない政治家に仕える有能な官僚たちに同情を禁じ得ない。

  • 面白い。とても深い洞察だ。あまりにも表面的にしか知らなすぎた。
    佐藤さんみたいに高度なインテリジェンスを身に付けたい。

  • 2018/3のロシア大統領選挙が終わったら何らかの動きがでる

    ダレスの恫喝に関する文書は外務省に残っていない

    今でもドイツとロシアの間には平和条約が結ばれていない

    松本俊一 モスクワにかける虹 日ソ国交回復秘録

    日本はロシアに尖閣を認めさせ、ロシアは日本にクリミアを認めさせる

    ワシントン・ポスト取材班によるトランプ

    長老派の信者 生まれる前から、神様によって選ばれた人は決まっている。そして、選ばれた人には特別な使命がある。それは自分の潜在的な能力をできるだけ顕在化させるように努力しないといけないこと。だkら常に勤勉であらなければならない

    ミッキー安川 ふうらい坊留学記

    宗教からよむアメリカ 講談社選書メチエ

    東京タラレバ娘 hulu

    世界のメジャーリーグ 3カ国 アメリカ、ロシア、中国 中国の弱点はエネルギー

    スーダンの資源は傭兵

    映画 闇金ウシジマくん ザ・ファイナル

    北朝鮮 首を狩ったあとの核をどう担保できるかについて保証がない限り日本にとっては喜ばしいことでない

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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