冷血

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105014063

作品紹介・あらすじ

カンザスの村で起きた一家4人惨殺事件。5年余を費やして綿密な取材を敢行し、絞首台まで犯人たちを追った本書は、40年を経た今なお、輝きを放ちつづける。捜査の手法、犯罪者の心理、死刑制度の是非、そして取材者のモラル。人間の魂の暗部を抉りつくし、後進の作家たちに無限の影響を及ぼした暗黒の教典、待望の新訳成る。

感想・レビュー・書評

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  • 重い本だった。でもこれで全部じゃない訳で。カポーティはどれだけの資料を読み込んだんだろうと思う。どれだけ構成を練り直したんだろうと思う。本当に尊敬する。
    ペリーが自分の写真を託したというエピソードがいちばん胸に響いた。
    私が見聞きしてる事件にも同じように背景があると思うので,少しでもいいから知りたいと思う。あと,もっと早く読んでおくべきだったと後悔。この本の感想を語り合える日がくるといいなと思う人がたくさん思い浮かぶ。

  • よく書けているとおもうが、DVDでトルーマン・カポーティの真実だったかな、というのを見ていたので、何かあまり読む気にならなかったな。

  • 何度も挫折しかかってやっと読了。
    手元にこの本しかなく、読み進めるしかない情況におかれてなかったら読めなかったかも。
    とにかく暗い。
    なぜ、何の落ち度もないクラッター家の四人を残虐な殺し方で殺害したのか…。
    生い立ちも幼少期の育成もディックはいたって普通だしペリーは可哀そうだけど、主にシスターにいじめられたことが起因してるし(両親の離婚がなければ、施設に行くこともなかったわけだけど)、容貌のコンプレックスからくるのか
    (インディアンの混血で事故の影響で足が極端に短い)、
    とにかく、あの瞬間クラッター家の人たちに尻拭いを(過去の人生の屈辱の怒りを?)してもらわなければならなかった。という意味合いのことを言ってたけど、それがすべてだったんだと思う。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA73719366

  • カポーティは初読。
    ははあ、これがニュージャナリズムの原点なのか。
    物事を緻密に冷酷に描写すればするほど浮き上がってくる、哀しさ。
    「どこが小説やねん」というクレームをものともしない、海外の長篇小説堂々の第21位。

  • トルーマン・カポーティ作品初読み。
    起こった事件もさながら、死刑制度の是非や精神鑑定の真偽など深刻な問題を提起した作品。
    この手の非道な犯罪を犯す犯人にありかちだけど子供・青年時代の不遇さが強調されているが、不遇な人生をおくっても犯罪者とはならず、まっとうな人生をおくる人と何が違うのだろうかと考えずにはいられない。

  • ちょっと言葉にならないくらいの凄い本。
    田舎町で起こった一家4人殺人事件の、まさにすべてを書き尽くしている。被害者の暮らしぶりに始まり、事件当夜の詳細から、加害者の心象風景とその末路としての絞首刑の現場まで。しかも、ノンフィクションとは言いながらも、その語り口は、あくまでも物語であり、文学作品である。描写は微に入り細に渡る。その厚さゆえに、これはかなりの時間をかけなければ読めない本だな、と感じたものだが、読み始めたらぐいぐい惹きつけられてやめられなくなってしまった。
    決して単なる事件小説なんかではない。ひとつの凄惨な事件を通して、人が生きていることの愚かさや切なさや素晴らしさをも感じさせてくれる名作だと感じた。

  • 闇に独り放り込まれて、出口がみつからない。

    映画『カポーティ』観たい。

  • こいつらは仮に今日本で生きてりゃニコ生とかでそれなりに承認される道もあったのではとか考えてしまう。読後、歪んだ妄想にも多少の受け皿を平和的に用意出来る現代社会の有り難みに少しばかり感謝した。芸術家肌と犯罪者的傾向のリンク性。不景気と劣等感と薄弱な意思が引き起こした度外れの残虐、その顛末。

  • 約半世紀前に執筆されたニュージャーナリズムの源流とされる作品で、徹底した取材によって膨大なデータを蓄積しそれを再構成する手法をとっている。そのために必要以上の煽情的な描写は抑制されているように思えた。法廷の場面はそれほど詳しくなく、被害者一家のひととなりや犯罪者の育ってきた環境のほうに重点が置かれていると感じた。

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