雪のひとひら

  • 新潮社
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本棚登録 : 135
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (109ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105018030

作品紹介・あらすじ

心にやさしくふりつもる「愛」の余韻。美しい日本語でつづった珠玉のロングセラー、新装版。

感想・レビュー・書評

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  • 世界のすべてがいとおしくなるような、美しい物語です。

    ある寒い冬の日、はるかな空の高みで生まれた雪のひとひら。
    小さな村里に舞い降り、世界をバラ色に染める日の出をうっとりと眺め
    学校に遅れまいと急ぐ村の少女の橇に轢かれたあとは、
    ぎゅうぎゅう固めて雪だるまの鼻にされ、見る人の心を和ませる。

    春になって太陽の光を浴びて解き放たれると、せせらぎの一部となって
    野の花をうるおし、蛙を憩わせ、魚を泳がせ、
    人々の日々のパンを作るためにくるくると水車を回す。
    やがて雨のしずくという優しい伴侶を得て、可愛らしい4人の子どもたちにも恵まれ、
    家族5人、いたわりあい、寄り添って旅を続け、都会では力を振り絞って火事を鎮める。
    やがて訪れた夫や子どもたちとの別れを静かに受け入れ、ひとりぼっちで海に出て。。。

    この世に生まれ落ちたその日から、
    わたしはどこからきて、どこへ行くのだろう?
    すべては何を目当てになされたことなのか? と問い続けながら
    その時その時を懸命に生き、宇宙の調和に思いを馳せる雪のひとひらに
    ひとりの女性としての来し方行く末を、しみじみ考えさせられます。

    章が変わるたびに添えられる雪の結晶のイラストに、ひとつとして同じものがないのが
    この世界の誰ひとり、何ひとつとして無意味なものはないという
    ポール・ギャリコの思いをキラキラと映しているようで

    真っ白な背景に型押しで銀色の雪の結晶が3つだけ浮かぶ表紙も
    タイトルの文字の色に合わせた水色の栞も
    言葉遣いも、描かれた物語も、すべて心洗われるように美しい
    ずっと手もとに置きたい1冊です。

    • だいさん
      雪 岩波新書 中谷宇吉郎/著
      日本人の研究者で結構有名みたいです。
      雪 岩波新書 中谷宇吉郎/著
      日本人の研究者で結構有名みたいです。
      2013/01/21
    • まろんさん
      だいさん☆

      不勉強なので、ネットで調べて初めて知りました。
      かなり前から読み継がれてきた名著なのですね。
      こんな本までご存じとは、さすが勉...
      だいさん☆

      不勉強なので、ネットで調べて初めて知りました。
      かなり前から読み継がれてきた名著なのですね。
      こんな本までご存じとは、さすが勉強家のだいさん。
      教えてくださってありがとうございます。
      2013/01/23
  • ある寒い冬の日、空の高みで生まれた雪のひとひら。やがて“雨のしずく”という伴侶と出会い、子どもにも恵まれ・・・女性の一生が、雪のひとひらの姿と言葉を借りて語られる、童話のような物語。まるでサイレント映画を見ているよう。読み手の年齢や性別によって、幾通りもの解釈があるように思います。

  • 女の一生を、雪のひとひらの誕生から蒸発して消えるまでを擬人化してファンタジー形式で綴られている。

  • 雪のひとひらで、女性の一生を表現した素敵な本。

  • 森博嗣のスカイ・イクリプスで引用文をみかけたので。雪のひとひらを主人公とした綺麗なファンタジー。なのにリアルで一人の女性の生々しい一生の物語とも読める。神様の存在が絶対という宗教的な臭いも感じた。

  • 雪のひとひらの話。なぜか感動した。さいしょはただの詩のようなものだとおもったけれど途中から引きこまれて、雪のひとひらの女性らしさがけなげなのと、自然ってこんなきらきら煌めいてきれいなんだなあって思い出せて、いたく感動した。原書もぜひ読みたい

  • 原文の素敵さもあるのだと思いますが、柔らかな言葉の訳が印象的です。
    昔に読んだはずなのですが、本屋で見つけたらまた読みたくなりました。

  • ある寒い冬の朝、空の高みで生まれた雪のひとひら。雪だるまにされたり、水車の中をめぐったり、風に乗ってあちこちを旅しやがて愛する人と出会い、家族をもうける。1人の女性の一生を雪のひとひらに託した静かで美しい物語。

  • 雪の一生の本。守るべき家族。やんちゃなこどもたち。祝福の光がぱーっと射してる愛あふれるいとし本。

  • 高校入学祝いに従兄からプレゼントされた一冊。
    雪は女の一生だと思った。
    雨の粒と逢い、子供と川の分岐点で別れ海に行き、天に帰る。
    私もまだ、川の途中。海に出るまでどんな事があるかな。

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著者プロフィール

1897年、ニューヨーク生まれ。コロンビア大学卒。デイリー・ニューズ社でスポーツ編集者、コラムニスト、編集長補佐として活躍。退社後、英デボンシャーのサルコムの丘で家を買い、グレートデーン犬と23匹の猫と暮らす。1941年に第二次世界大戦を題材とした『スノーグース』が世界的なベストセラーとなる。1944年にアメリカ軍の従軍記者に。その後モナコで暮らし、海釣りを愛した。生涯40冊以上の本を書いたが、そのうち4冊がミセス・ハリスの物語だった。1976年没。

「2023年 『ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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