ヒストリー・オブ・ラヴ

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制作 : Nicole Krauss  村松 潔 
  • 新潮社 (2006年12月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105054311

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ヒストリー・オブ・ラヴの感想・レビュー・書評

  • ナチスの迫害を逃れ、アメリカに移住したレオ、『愛の歴史』という本の登場人物にちなんで名づけられた、14歳の少女アルマ、その本の作者とされるチリの作家ツヴィ・リトヴィノフ。何の関係性もなさそうな三者の物語が、少年時代の、ある少女への深い愛と紡がれた言葉によって、絡み合い、解きほぐされ、ラストの感動的な出逢いにむかって、ぐんぐんと集約されていく。
    レオ・グルスキの存在感が圧倒的。目立たないように生きることを心がけてきたのに、死を身近に感じるようになってからは、“一度も人目にふれなかった日に死にたくない”と、人ごみで、ささやかな騒ぎを起こすことを日課としているレオ。父親として名乗りをあげられない息子の人生をずっと追い続けているレオ。ぶっきらぼうな口調で語られるそれらのエピソードから、老人の孤独の深さを思う。ラストで明らかにされる、友人ブルーノの存在をめぐる真実、アルマとの愛の終わりの時の真実がせつない。
    とはいえ、死を待つばかりの人生だって、死ななかった今日という日に、きらめくような出来事が待ち受けているかもしれない・・・そんな明るい余韻も残してくれる一冊。
    アルマ・シンガーの母親(夫の死後、心ここにあらず状態)や奇矯な弟に向ける作者のまなざしも優しくて、素敵。
    ――The History of Love by Nicole Krauss

  • レオは、もう死ぬことは覚悟していた。心臓発作で何度も死に掛けていたし、いつからか、一人暮らしのレオと旧友のブルーノは、生きているかどうかを互いに確かめ合うようになった。

    レオが、故国ポーランドからアメリカにやってきたのには理由があった。
    ナチの弾圧が強くなる少し前、愛する人はアメリカに渡った。後を追うと約束していたレオは数年後、やっとアメリカの愛する人に逢えたが、彼女の事情は変わっていた。
    レオの子を身ごもったまま渡米してしまった彼女は、出産を手助けしてくれた人と結婚し、その人の子どもをもう一人産んだ。
    ふたりの息子の母として、レオの見知らぬ人の妻として生きる愛する女性は、レオが生きていても今の人生をかえるつもりはないと言った。

    だからレオには息子がいる。息子はレオの存在もしらない。レオの息子は作家になった。有名な作家だ。
    レオも小説は書いた。ずっと昔に書いたのだ。でも、あの原稿は何処へいったのだろう。

    レオが50年以上昔に、書いた小説は人の手に渡り、スペイン語に訳されてある男性のものとなり、結婚した彼は、その小説の登場人物の名を生まれた娘につけた。

    その娘は、15歳の快活な少女に成長し、自分と同じ名前の小説の人物を探し始める。

    80歳のレオ。15歳のアルマ。このふたりの運命を交わらせる『ヒストリー・オブ・ラヴ(愛の歴史)』という一冊の本。

    冒頭は、レオの一人称の語りではじまる。
    レオは新聞の広告で見たデッサン教室のヌード・モデルに申し込む。
    レオは80歳なのだ。レオは、みんなの前で全裸になりモデルをつとめ、15ドルを貰った。
    レオのモデルの話は、レオの人生の回顧と共に描かれる。
    その数奇な運命は、80歳のヌード・モデル以上に読者の心を掴む。

    全く別の人生を歩んでいるアルマの話も興味をひかれる。
    イスラエル人の父は亡くなり、弟のバードは変わり者だ。
    母親は翻訳をしているが、そこに持ち込まれた『ヒストリー・オブ・ラヴ(愛の歴史)』。

    人の人生が、もし、はじめから決められていて、すべてが必然で起こっているとすれば、私たちはそのストーリーとおりに生きているのだろうか?

    父親と名乗れないレオは、有名作家になった息子に自分が50年以上ぶりに書いたものを送った。
    細い親子の糸を繋ごうと努力するレオがスタバでコーヒーを飲んでいたとき見たものは、レオの息子が死んだと報じる新聞記事だった。
    このときのレオの絶望感と悲哀が、読者の心に針のような雨を降らせる。

    レオは二度とヌード・モデルにはならなかったが、人生の最期にアルマに会い、誰にも告げることのなかったことを告げた。

    レオはアルマを思いつつ、この世を去った。

    本書を読みつつ、正直、少し凝りすぎかもと感じたことがあった。レオの人生だけで、十分にいい小説になりそうな予感があったので、たくさんのことを詰め込みすぎてるような気分もしたのだ。
    しかし、あまりにもこの書物には感動があった。ひとつではなくいくつもの感動。それがすばらしい。

    ニコール・クラウスは、処女作『2/3の不在』で「ブック・オブ・ザ・イヤー」を獲得。次作になる本書は20カ国以上で出版されている。

  • この本は題名と表紙で損をしています。ラブストーリーを期待した人は落胆するでしょうし、逆にこの種の話を読みたい人は手に取らないかも…。時代を超えた別々の物語が絡み合い、散りばめられた伏線が収束していく終盤のカタルシスは類を見ません。合間に挿入される挿話が美しすぎて、心が震えて涙が止まりませんでした。エリクソン「黒い時計の旅」やシドニールメット「質屋」、アゴタ・クリストフ「悪童日記」が好きな方なら気に入るのではないかなあと思います。

  • ナチスによる迫害からアメリカに逃れたレオ・グルスキ、『愛の歴史』という小説にちなんで名づけられた少女アルマ・シンガー、『愛の歴史』の作者とされるツヴィ・リトヴィノフという三様の立場から語られる物語は、その果てに小さな奇跡を生む。なんといっても、レオ・グルスキという個性が最高。彼の紡ぎ出すアフォリズムにはイチイチ魅了されてしまうし、友人ブルーノとのやりとりは思わず笑ってしまう。題名から予想されるような重厚さはないんだけど、個人的にかなり好きな名品。

  • そのうちまた読み返そう。

  • あまり感動しなかった

  • これが2作目という若い作家だが、これが世界的ヒットとなりました。錠前屋だった孤独な老人が若い時に、恋人のために書いた小説が巡り巡って人々を動かしていた…小説にちなんで名付けられた14歳の少女アルマの日記と小説に関わる人々が交互に語られ、構成はやや複雑ですが、だんだんとわかってくる切ないその真相とは…!?ナチスから逃れてアメリカに渡り、ひっそりと生きてきて今は心臓を病む老人レオが何とも生き生きしていて良いキャラクターなんです!奮闘するアルマもけなげでチャーミング。

  • 時間と空間が交錯して、それがアルマという名の女性たちで形づくられる。複雑だが、最後に色々な出来事が主人公アルマのもとにまとまる。

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ヒストリー・オブ・ラヴの作品紹介

ナチスに蹂躙されたポーランドを離れ、ニューヨークでひっそりと暮らすレオは80歳。だが、彼が60年前に書いた小説も人知れず海を渡って生き延び、幾多の人生を塗り替えていた。その小説の登場人物に因んで名づけられたアルマは14歳。夢見がちな彼女は、母に宛てられた手紙を覗き、小説に登場するアルマはいまなお存在すると信じ込む。自分の名の由来を突き止め、母や弟を救うための冒険は、彼女をどこに導くのか-。

ヒストリー・オブ・ラヴはこんな本です

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