- Amazon.co.jp ・本 (591ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105064112
作品紹介・あらすじ
トーキング・ドラムからコンピュータまで、「情報」を操るあらゆる試みを見つめ直し、世界の本質を問い直す-壮大なスケールで描かれた、まったく新しい文明史。英国王立協会ウィントン科学図書賞(2012年)、PEN/E・O・ウィルソン科学文芸賞(2012年)受賞。
感想・レビュー・書評
-
本書は『The Information』史である。冒頭で述べられるようにクロードシャノンの「Bit(将来的にはQubitか)」の発明は、まさに人類に情報革命をもたらした。ニュートンが自然法則を言語化する偉業を成し遂げた結果、自然科学が飛躍的に発展・普及したように。
本書のカバーする範囲は広く、太鼓や電信・電話など送達技術に留まらず、情報理論を成すエントロピーや派生したDNAや量子力学など多岐に渡る。他方でミームや乱雑性、情報過多といった情報に付随した概念も漏れなく取り上げている。
内容的には相当難解で500ページ超の大作だが、知的興奮満載の本である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【新しい媒体は必ず,人間の思考の質を変容させる。長い目で見れば,歴史とは,情報がみずからの本質に目覚めていく物語だと言える】(文中より引用)
身近な概念でありながら,その核心に迫るにつれて意味がぼやけてしまう「情報」という概念。その意味するところを丹念に追いながら,情報と人間の関係を通史として描いた叙事詩的作品です。著者は,ピューリッツァー賞の最終選考作品を数々送り出しているジェイムズ・グリック。訳者は,ジャレド・ダイアモンドの作品などの翻訳を手がけた楡井浩一。原題は,『The Information: A History, A Theory, A Flood』。
500ページを超える大著かつ専門用語も頻出しますので読むのにかなりの労力を必要とする作品ではありますが,類書があまりないこともあり読後の達成感はなかなかのものでした。「情報の歩みを通して知る人間の思考の歩み」という観点でも大変勉強になった一冊でした。
こういう作品を翻訳で読めるというありがたさ☆5つ -
一体全体どうやったらこんな本が書けるのか。読み終わったときに感じたことはそれだった。
-
難解かつ長すぎて、途中でギブアップ
-
《目次》
・ プロローグ
◇第1章 太鼓は語る(符号が符号ではない場合)
◇第2章 言葉の永続性(頭の中に辞書はない)
◇第3章 ふたつの単語帳(書くことの不確実、文字の不整合)
◇第4章 歯車仕掛けに思考力を投じる(見よ、恍惚たる算術家を)
◇第5章 地球の神経系統(貧弱なる針金数本に何が期待できようか?)
◇第6章 新しい電線、新しい論理(「これほど未知数であるものは、ほかにない」)
◇第7章 情報理論(「わたしが追及しているのは、ただの平凡な脳だ」)
◇第8章 情報的転回(心を築く基礎材料)
◇第9章 エントロピーと悪魔たち(「ものごとをふるいわけることはできません」)
◇第10章 生命を表わす暗号(有機体は卵の中に記されている)
◇第11章 ミーム・プールへ(あなたはわたしの脳に寄生する)
◇第12章 乱雑性[ランダムネス]とは何か(罪にまみれて)
◇第13章 情報は物理的である(それ[イット]はビットより生ず)
◇第14章 洪水のあとに(バベルの壮大な写真帳)
◇第15章 日々の新しき幸せ(などなど)
・ エピローグ(意味の復帰) -
GJ2a
-
トーキングドラムに始まり、電信、電話、そしてネットへと情報伝達の方法の変化を追い続けた幅広い内容。
特にトーキングドラムでの情報伝達は聞き間違いがないように敢えて冗長な内容、まるで昔の電報(朝日のア、富士山のフ…)のような調子を皆がそれぞれに音色に持たせながら相手に伝えていたというのが、導入部の印象として強く残る。
単語の伝達から文字の伝達へ、文字から記号へ、そして記号が二進法になって、情報の量が計測可能な物理的な量になったところから人間の意志が介在しなくても世界中を駆け巡るようになった。
グリックのカバーしようとする範囲が広過ぎてとても全体の理解はできないが、情報をこういう捉え方で議論しようとするその視点が心に残る。 -
『遺伝子 上』p25「†」