ぼくはスピーチをするために来たのではありません

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105090197

感想・レビュー・書評

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  • ただいま「百年の孤独」連続読書会に参加中なので、これを機会にガボさんを読みます。

    ガボさんが、17歳から80歳までに行った22回の講演をまとめたもの。
    ノーベル文学賞受賞者が22回しかスピーチを行っていないのは少ないと思うのだが、ガボさんの雄弁術は好きじゃないとか、公の場でもスーツは着ないぞとかいう反骨精神を考えればそんなかんじなのかな。
    題名の「ぼくはスピーチをするために来たのではありません」は、高校時代に卒業生への送辞で述べた言葉。すでに洒落が効いていて良い。

    印象的な箇所をいくつか
    ・ラテンアメリカとは、頭のおかしい男たちやその徹底した頑固さ故に伝説化している歴史上の女性たち住む我々の祖国のことです。【ノーベル文学賞スピーチ「ラテンアメリカの孤独」】
    ・それは新しい、圧倒的な力を備えた生命のユートピアです。そこではどういう死に方をするかを他人に決められることもなければ愛が確実なものになり、人が幸福になる可能性が失われることもなく、百年の孤独を運命づけられた一族の者たちがようやく、かつ永遠に地上に二度目の性を営むことのできる機会が与えられる、そのようなユートピアなのです。【ノーベル文学賞スピーチ「ラテンアメリカの孤独」】
    ・意訳。
    世界中の人々は人類の月面着陸のニュースを固唾をのんで見守っていた。だがラテンアメリカの子どもたちは「本当に初めてなの?バカみたい」とがっかりした、彼らにとって一度でも思い浮かんだらそれは現実に起こったことと同じ、宇宙征服なんてなんども想像したのに、実際には初めてだったなんて!【展覧会の開会式「新しい千年への序言」】
    ・スペイン語について。意訳。
    日常生活には詩的発見がある。言語の知性がどこまで感性を表現できるか?
    羊の声、香料の匂いを「灯台みたいだ」「聖金曜日の味がするから料理に使えない」という言語と感性の繋がり。
    <われわれが貢献しようとしているのは言語を縛ることではなく21世紀という新しい時代の中でのびのびと自由に活動できるように言語を鉄の規範から解き放つことなのです。P149>【「言葉の神に捧げるべく海に投げ込まれた瓶」】

  • ガルシアマルケス「ぼくはスピーチをするために来たのではありません」 http://www.shinchosha.co.jp/book/509019/ 読んだ。約40年間のスピーチ20本は雄弁で問題提起に満ちていて、真摯な人柄が垣間見える。小説以外も外伝も知らなかったので暗殺危機や困窮時期を初めて知った(つづく

    本の作りに欲を言えば、各章最後に記載された講演会名や会議名を、最初に判ったうえで読みたかった。どういう場でのスピーチか趣旨を知らずに読んでも、何を言っているのかピンとこない。巻末の訳者あとがきが充実していて、本編のリファレンスと外伝になっている。訳はもちろん木村榮一さん(おわり

  • ノーベル賞作家であるガルシア・マルケスの講演集。ガルシア・マルケスは「百年の孤独」でノーベル賞を受賞した。彼の話を聞きたがる人は多かったが、彼自身は講演が苦手だったようだ。それでもいくつかの節目で講演を行い、ラテンアメリカの発展のために尽力した。彼の講演スタイルは、まず自身のエピソードを紹介し、その日の聴衆に合わせて見解を述べるスタイルだった。これが彼の持ち味で、聴く人に感銘を与えるテクニックだったのだろう。彼は言葉の力を信じていて、言葉に纏わる面白いエピソードがいろいろ紹介されている。
    軍人相手に講演した時の締めの言葉が印象に残った。「あなた方一人ひとりが背嚢に常に本を一冊入れておけば、皆さんの人生はもっといいものになるはずです」
    現代の読書好きには当たり前の習慣だけれど、当時のコロンビアの環境、読書習慣のない人達に対して彼の想いが伝わってくる言葉だと思った。

  • とにかくガルシア・マルケスの文章が面白い。
    彼は生前スピーチ嫌いだったそうだが、鋭いユーモアを誘うところから決してスピーチ嫌いが書くようなものではない。
    おそらく、準備に時間がかかったのかもしれない。

    文章がとてもいい。ガルシア・マルケスの作品をもっと読みたくなった。

ガブリエルガルシア=マルケスの作品

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