あの川のほとりで〈下〉

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制作 : John Irving  小竹 由美子 
  • 新潮社 (2011年12月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105191146

あの川のほとりで〈下〉の感想・レビュー・書評

  • 最後まで読んで、モヤモヤが取れた。
    もしかすると、映像化した方がうまく伝わるかもなぁと思った。
    料理の描写がアメリカ小説としては最高(笑)

  • 久々に堪能した米国純文学で、「タマをぶっ違いにしない」で読み切りました。
    総じては父子の物語であることに尽きます。
    下巻では3組の父子の別れがメインになっていて、ラストで、作者のトリックにまんまと引っかかっている自分に気づかれました。
    (それほど老樵ケッチャムの存在感は圧倒的ですから)
    また、これほど一文、一語を徹底して追及している作家は、最近の日本では高村薫、村上春樹が思いつきますが、だからこそ、自分も真摯に文と対面したいと思います。
    訳者の不慣れな点が散見されて、若干読みにくいでしたが、満足しました。

  • 不慮の事故を発端に逃亡する父子。父子は名を変え、子は小説家へ。月日の流れの中で様々な回想が父子と友人の結び付きを明確にしていく。常に追われる父子の日常にはさらなる悲劇を予感。圧倒的なエンディングと仕掛けに唸る。

  • これだけ長い物語なのだから不満が全くないと言えば嘘になる。馴染みのない食材名の並ぶ料理の記述、あるいはニューメキシコからカナダへ続く土地の描写はいささか読みづらさがある。

    しかし、それは文章の欠点ではない。それは単に自分の距離との齟齬であるだけだ。知らない国の映画を見る際のぎこちなさのように、世界観が完全に確立されているからこそのズレなのだ。

    物語は澱むことなく流れ続ける。誤って殺してしまった息子を連れて逃げる父親、追いかける保安官。本流のストーリーと並走する複数のレストラン、ケッチャムと狂った妻にテロ。ケネディファーザー。人々の人生に絡まる大きな歴史。何処にけちをつけることが出来るだろう?

    父親の死やケッチャムの苦悩に涙をすることはそうであるが重要なのは全てなのだ。言葉によって世界が生まれ、そこに起こる出来事を体験することができる。そんな事を可能にできる作家をなぜ尊敬せずにいられるのか。

  • 初めて読む「巨匠」ジョン・アーヴィングの作品でした。そもそも祖母からの贈り物。本の帯通り、父と息子の逃避行物語です。新鮮だったのは主人公が従軍はしていないが、ベトナム戦争の時代を生き、また9.11のテロの時代も生き、その当時の主人公の主観が本に描かれていること。いままでのアメリカ文学にはなかった視点だと思いました。
    なかなか辛い人生を歩む主人公ですが、必ず誰かが主人公を支えていて、それは自分にもきっと当てはまるのだろうなと自然と思えてしまう、そんな素敵な作品でした。

  • 面白いとは思うんですが、長いなあと言う印象を持ちました。詳細すぎる地理の説明には閉口します。

  • 人生の旅を描いた物語。登場人物のそれぞれの想いがひしひしと伝わり、長さを感じなかった。読後感も良く、さまざまな想いをもって本を閉じることができた。

  • アーヴィングの作品は3冊め。
    とんでもない悲劇が起こって、いろいろ損なわれる事があっても、人生が決定的にダメになる訳じゃない。必ず誰かが支えになってくれる。
    あと、作者本人と思しき主人公。
    何を読んでも結局同じかな~なんて思いつつ、どっぷりはまって読んでしまう。流れの早い曲がりくねった川に翻弄されるような読書でした。

  • やっと読み終わった!
    J.アービングらしく、相変わらず長いんだけど、それゆえに登場人物に親近感が湧いてくる。
    家族の一員的な視点で読んでる。
    父子の長い物語。

  • ダニーの逃避行の後半生。
    上巻の最後に、いよいよカウボーイがやってくると思わせておいて、またここからが長い。 しかし、一つひとつのエピソードが厚みがあって面白い。作家の自伝ではないそうだが、この圧倒的なリアリティは何なんだろう。アメリカ反骨精神の魂柱のようなケッチャム、逞しい女達。アメリカ北東部からカナダにかけての自然のイメージと共に堪能した。
    歳をとっても枯れない登場人物達に喝采。

  • アーヴィング「あの川のほとりで」下巻読んだ、よかった!http://tinyurl.com/8xps6kn 表記が変わる呼び名、前後する時間と断片的なエピソードのせいでとぼとぼと下巻に入ったけど、半分過ぎにダムが決壊、頁が止まらない。同時に涙も。結局大泣きで読了(<バカ (つづく


    ダニエルが寝室で父親の頭を抱くシーンは唐突が故に効果が半端無い。喪失と暴力と慈しみの物語。登場人物はみな心身に傷を負っていて他者の苦しみに敏感だ。ぶっきらぼうだけど温かい人たち。特にケッチャムがすばらしい。無教養で粗野だけど彼は常に本質を突いていく。そしてヒーロー!<犬 (つづく


    全編を覆う死と暴力、全てを暴力で解決(しようと)する様子はアメリカそのもの。同時に自国批判も凄まじい。ベトナム、9.11、アフガン、イラク、ブッシュの再選、共和党。この本は作家と創作物との関係についても述べている。この本を自伝的と謳った宣伝担当よ、ちゃんと読んだかい?(終わり

  • 翻訳があまり上手でなかったので、読みにくかった。けど、ストーリーは素晴らしかった。英語で読めたらもっと楽しめたんだろうなと。
    「ときとして、人は我々の人生のなかにいとも簡単に落っこちてくるーまるで空から降ってくるかのように、あるいは天国から地上への直行便があるかのようにー同じようにとつぜんに、我々は人を失う、常に自分の人生の一部だと思っていた人を」
    この一説がこの小説のテーマでした。
    それからラスト。ネタバレになるかな?もう一回最初から読み直したくなるラストです。

  • 田舎の小さな町で暮らすコックと息子に起きた事件。そしてそこから始まった逃避行のおはなし。
    場所を変え、職業を変え、名前を変えて逃げる親子。
    そしてそれゆえに生まれる悲劇と人間模様。

    相変わらず、翻訳本どくとくの言い回しや表現に慣れるのには時間がかかったな。やっと読み終わった・・・と思っちゃった。

    冒頭から死と悲劇のニオイがぷんぷんで、途中ちょっと滅入ったりもしたけれど、それでも、逃避行の合間にある親子の幸せを思いうかべながら読み終えました。

    たくさんの登場人物の中で、一番心に残ったのはケッチャムかな。
    ずっと2人と「家族」であろうとしたケッチャム。
    なんとなく、あったかかった。

  • やはりアーヴィングは面白い。ニューヨークタイムズ紙のミチコ・カクタニが「この作品はアーヴィングの特徴のショーケースである」と言っているように、これまでのアーヴィング作品を思い出しながら、面白く読めた。後半、時系列に沿わなくなってからもアーヴィングらしい周到さで話が見えなくなることはなかった。また時間をかけて少しずつ詠んだが、アーヴィングは詳細に書き込む作家だから、時間がたっても細かい部分を忘れることもなかった。登場人物が死んだと書かずに過去形で語るところなどは、スタインベックの書き方を彷彿とさせる。物語を組み立てていく描写は、アーヴィングもこんな風に書いていくのだろうかと興味深く読んだ。

  • ジョン・アーヴィングの本を読むのは初めて。
    上巻の最初、読み始めはなかなか物語の世界に入り込めなかったけれど、3分の1を過ぎたくらいからページを繰るてが速くなった。
    驚くほど人が死ぬ。
    でも本当は死はありふれたもの。
    大切な人を失った喪失感が見事に描写され、胸に迫る。
    失ったときの衝撃。そのあとに続く日々。
    埋めることできない悲しみを抱えながらも、新しい人と出会い、希望をつないでいく。
    もっと早くこの作家の本を読んでおけばよかった。
    自伝的な要素を含んでいるみたいて、今までの作品を読んでいたほうが楽しめるように思った。
    他の作品を読んでから、もう一度読み返したい。

  • 私がいま1番、新作を楽しみにしている作家。この本もいつものようにおもしろかったけど、前作ほどではなかった。

  • 相変わらず登場人物はあっさり死ぬのだが,それぞれにちゃんと意味がある書き方,死に方をしている.アーヴィング節全開なのだが,強いてあげれば「未亡人の一年」が一番近いテイストかも.自伝的小説と銘打っているだけあり,恩師のカート・ヴォネガットが登場したり,アーヴィングの小説執筆のやり方(らしきもの)まで公開する出血大サービス.確かにこの方法でなければアーヴィングの小説は書けないと思うし,執筆に時間がかかるのもやむを得ない.
    しかし,アーヴィングが枯れてきているのが感じられる.「サーカスの息子」みたいな素っ頓狂な話もまた読みたいなあ.
    それからカバーを外すと,表紙には作中の登場地名を記した地図が載っているので,コレを見ながら読み進めると,話について行きやすくなると思いますよ.

  • 久しぶりにいい物語を読ませていただきました。歳をとるのも悪くないなと思える小説だった。数ヶ月したら再読したい。

  • アーヴィングにとって、非常にパーソナルな小説という印象。それにしてもたかい。しかし書店ではあまり在庫がなかったから、アーヴィングは根強いファンがいるんだね。「未亡人の一年」の後は、今ひとつかな。

  • 下巻ではドミニクの息子ダニーを中心に物語が進む。

    ジョーが二歳のときに道路の真ん中で死にそうになったことを題材に小説を書いていると、すでに成人になったジョーが恋人と雪崩事故に巻き込まれて死んでしまう。

    自分の体験をもとに物語を紡いでいくことは「事故の起こりがちな世の中」にとってすごく危険だと思う。

    ケッチャムの手が『第四の手』のエピソードを思い出したり、ジョーの死に方が『ガープの世界』に似ていたり、アーヴィング独特な世界観が盛りだくさんだった。

    解説でアーヴィングが癌で手術をし、再発率が30%だと書かれている。すごく心配。次作も来春に決定していて『In one person』というらしい。楽しみ♪

  • 下巻は上巻に続く第三章の途中、新たなドラマが展開する場面から始められる。

    ここから先は、特に時代を前後する回想シーンが多く挿入され、過去の出来事の整理に加え、作家となったコックの息子ダニエルの作品内容と共に、今後の展開への予感が強く示唆されていく。

    「事故が起こりがちな世の中だ」とコックのドミニクが呟くシーンがあるが、まさにそのとおり。1983年にヴァーモント州を離れ、故国アメリカを離れカナダのトロントへと向かうコックの父子。

    そして、物語の舞台はオンタリオ州の湖に浮かぶ小島を経て、元のニューハンプシャー州の山奥、コーアス郡へと向かう。

    最後に明かされていく、いくつかの真実と人の生死。最後まで読み手の心をとらえながらドラマを展開させていく手腕はさすが。物語を陰で動かしていくケッチャムという人物の存在が重要なモチーフとなっている。

    何よりもこの自伝的な作品の中で、アーヴィング自身が自身の創作手法を明かしているところが興味深い。作中の主人公の一人、アーヴィングの分身と思われる作家・ダニエルを通して、事実をフィクション化する方法について詳細に語っているのだ。

    メモの作り方、作中エピソードを書きとめる方法や、最終章の一文(結末)を見通してから物語を作り込んでいき、第一章にたどり着いていくといういったところなど創作秘話満載だ。昔からのアーヴィング・ファンにとっても、生い立ちからその女性遍歴、あるいは政治姿勢など、ゴシップ満載の内容で楽しめること請け合い。

  • この人の小説は、読み終えるといつも、ああたどり着いて本当によかったあ〜と、「物語を読む至福」を感じる。長ければ長いほど。
    今回も、最後の1行にたどり着いた時、ああ、ここまでこれて本当によかったあ〜と、つくづく思ったのだった。

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あの川のほとりで〈下〉の作品紹介

追っ手を逃れてニューハンプシャーからボストンへ、そしてヴァーモントへ移り住んだ料理人とその息子。成人した息子は作家として成功し、父親となるが、やがて愛する者たちを次々に失ってしまう。運命に導かれるように、気づけば彼は故郷の町の川のほとりに辿り着き、かつて自分を守ってくれた樵の物語を書き始める-。ハートフルで壮大、待望の最新長篇。

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