あの川のほとりで 下

  • 新潮社
4.19
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本棚登録 : 217
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105191146

感想・レビュー・書評

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  • 久々に堪能した米国純文学で、「タマをぶっ違いにしない」で読み切りました。
    総じては父子の物語であることに尽きます。
    下巻では3組の父子の別れがメインになっていて、ラストで、作者のトリックにまんまと引っかかっている自分に気づかれました。
    (それほど老樵ケッチャムの存在感は圧倒的ですから)
    また、これほど一文、一語を徹底して追及している作家は、最近の日本では高村薫、村上春樹が思いつきますが、だからこそ、自分も真摯に文と対面したいと思います。
    訳者の不慣れな点が散見されて、若干読みにくいでしたが、満足しました。

  • 古い林業と製材業の町の話し。筏流し師が出てくる話しだ。

  • これだけ長い物語なのだから不満が全くないと言えば嘘になる。馴染みのない食材名の並ぶ料理の記述、あるいはニューメキシコからカナダへ続く土地の描写はいささか読みづらさがある。

    しかし、それは文章の欠点ではない。それは単に自分の距離との齟齬であるだけだ。知らない国の映画を見る際のぎこちなさのように、世界観が完全に確立されているからこそのズレなのだ。

    物語は澱むことなく流れ続ける。誤って殺してしまった息子を連れて逃げる父親、追いかける保安官。本流のストーリーと並走する複数のレストラン、ケッチャムと狂った妻にテロ。ケネディファーザー。人々の人生に絡まる大きな歴史。何処にけちをつけることが出来るだろう?

    父親の死やケッチャムの苦悩に涙をすることはそうであるが重要なのは全てなのだ。言葉によって世界が生まれ、そこに起こる出来事を体験することができる。そんな事を可能にできる作家をなぜ尊敬せずにいられるのか。

  • 人生の旅を描いた物語。登場人物のそれぞれの想いがひしひしと伝わり、長さを感じなかった。読後感も良く、さまざまな想いをもって本を閉じることができた。

  • ダニーの逃避行の後半生。
    上巻の最後に、いよいよカウボーイがやってくると思わせておいて、またここからが長い。 しかし、一つひとつのエピソードが厚みがあって面白い。作家の自伝ではないそうだが、この圧倒的なリアリティは何なんだろう。アメリカ反骨精神の魂柱のようなケッチャム、逞しい女達。アメリカ北東部からカナダにかけての自然のイメージと共に堪能した。
    歳をとっても枯れない登場人物達に喝采。

  • やはりアーヴィングは面白い。ニューヨークタイムズ紙のミチコ・カクタニが「この作品はアーヴィングの特徴のショーケースである」と言っているように、これまでのアーヴィング作品を思い出しながら、面白く読めた。後半、時系列に沿わなくなってからもアーヴィングらしい周到さで話が見えなくなることはなかった。また時間をかけて少しずつ詠んだが、アーヴィングは詳細に書き込む作家だから、時間がたっても細かい部分を忘れることもなかった。登場人物が死んだと書かずに過去形で語るところなどは、スタインベックの書き方を彷彿とさせる。物語を組み立てていく描写は、アーヴィングもこんな風に書いていくのだろうかと興味深く読んだ。

  • 私がいま1番、新作を楽しみにしている作家。この本もいつものようにおもしろかったけど、前作ほどではなかった。

  • 久しぶりにいい物語を読ませていただきました。歳をとるのも悪くないなと思える小説だった。数ヶ月したら再読したい。

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