ガラスの街

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105217136

感想・レビュー・書評

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  • ニューヨークの本質とでも言えばいいんでしょうか。そんな印象の話です。
    不可解な話に不可解な話が重なり、すべてはあの街の路と公園で形になる。そしてあの街の中で自分が消えていくと感じる。
    私はあの街に暮らしたことはないけれど、仕事ではそれなりに長い時間を過ごした。ひとりであの街で過ごしているとすごく無力だと感じる。どれだけきちんと仕事をしたところで外国人の私にあの街は詰まるところ無口だったなと思った。この本を読んで思い出したのはそういうこと。無力なのではなく、存在すらあやしいのだ。

  • 『私たちの言葉はもはや世界に対応していません。

    物たちがまだ損なわれていなかったころは、言葉によって物たちを言いあらわせるものと人間も自信を持っていました。

    ところが少しずつ、物は壊れ、砕け、崩壊して混沌へ墜ちていきました。にもかかわらず、私たちの言葉は以前と変わっていません。』

    こうして第1作目にやっと辿り着いた。長かったなぁ〜。

    2006年8月20日に『リヴァイアサン』を読んでから10年経ってるんだな。あの頃は一時期はまってたな。かなり間が空いてしまったが、やっと一通り読んだ感がするなぁ。

  • ポール・オースターのニューヨーク三部作のひとつ。書店で探しても見つからなくて読むことを諦めていたら図書館の書棚にて発見。あー面白かった!一応分類としては探偵小説になるのかな。柴田元幸の翻訳は読みやすくて美しい。よくわからないし、頭が混乱しそうになるけどこの感じが好き。ニューヨークという世界の都会の真ん中で自分という存在がわからなくなっていくこの感じ。『幽霊たち』と同じくらい良かった。文庫になったら絶対買う。2012/671

  • 探偵小説かと思いきや、そうでなく。
    推理小説でもないし、ミステリーでもない。
    なんだか、狂人の書き方が凄い。
    何が起こって何が終わったのかよくわからないけど、一人の男が狂っていったのは確実。

  • 小説家と小説、小説と小説に登場する人物。小説と世界。ポール•オースターってこういう小説を書く人だったのか。

    夢「言語のない物、物の無い言語の世界」

  • 探偵と間違われた一本の電話から始まる物語。
    ポール・オースターは世界と真面目にかかわることを一切、ほんの少しもあきらめてはいないんじゃないかと思える。
    「最後の物たちの国で」とこれを読んで思った。
    柴田元幸さんの新訳です。

  • オースターの作品は一言でいうと"自己探求"に尽きると思う。作中の、名前による自己意識の変化は興味深い。

  • ポール・オースターは『幻影の書』しか読んだことがなかった。文章がぎっしりとつまっていてすこし難しかったから、ちょっと敬遠して、その後ほかの作品を読む機会がなかった。

    でもこの『ガラスの街』はすごく好き!

    言葉や小説、アメリカという国、主体…などいろいろな問題に目を向けているようだけれども、

    物語性があって読みやすく、感情も添わせることのできる小説でした。

    ピーター・スティルマンの独白が一種のきらめきのような。

    バベルの塔やコロンブスの卵、

    ハンプティ・ダンプティやドン・キホーテについて

    語られているのがおもしろかった。

    それからいちばん読むべきは語り手の位置かな。

    語りの在りようがもっとも虚構だったから。

    時間ができたらもう一度読む。

  • 「シティ・オブ・グラス」の待望の柴田元幸さん訳!
    やっぱりオースターは柴田訳が最高です。

  • もともと角川文庫から既訳が出版されていることを知らずに、柴田元幸氏の訳であるということで(本当は文庫か新書サイズが良かったのに)迷わず購入した、この本。ペーパーバックとオーディオブックを読んだ後、どうしても日本語でも味わってみたかった。本文以上に、「訳者あとがき」がまた感慨深い。原作の面白さを訳者と共有する感覚が味わえます。それに「訳者あとがき」にある注釈(訳者によって厳選された)。これを読んでいなかったら、原作の内容を理解できないまま、放置するところでした。

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