極北の動物誌

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105235017

感想・レビュー・書評

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  • 星野道夫が「生物学の本というより、アラスカの自然を詩のように書き上げた名作であり、宝物のように大切にしていた。」という本。たしかに詩的な情感に満ちた作品で、各章が重層的に極北の生態系の自然淘汰と食物連鎖の物語を奏でる。原題は"Wild Harmony -Animals of the North" なんだけど、まさに自然のハーモニー。旅する木、トウヒの物語にはじまり、アカリス、ハタネズミ、ノウサギ、オオヤマネコ、オオカミ、カリブー、ムース、アサバスカ族、チペワイアン族、白人…と、極北のタイガとツンドラを舞台に生きる生き物たちの営みと関わりを淡々と記しつつ、しかし、最後にはその豊かな極北の生態系が破壊されていく未来への警告がある。生態系はすべて独立した物語ではなく、お互いに作用し、関わり合う。この本が書かれてから更にその破壊は進んでいるんだろうけど、保護の動きも広がっているといいな…と心から願う。厳しいけど、豊かな自然。この夏、アラスカでその一端に触れるのを本当に楽しみにしている。

  • 命は巡る、ただ淡々と。

    生態系単位での持続可能性というものは、本来それぞれの有機体の本能レベルに書き込まれた必然。おそらく人間は、地球上で初めてその枠組みをはみ出した生き物。右肩上がり、経済成長、今日よりもきっとよい明日?それが果たして当たり前なのだろうか。そういうことを改めて考えさせてくれる。

    本当はこの世界で、人間だけが“廻っていない”のではないか?

  • 動物学者であるプルーイット氏であるが、その文章は非常に詩的であり、極寒の地に逞しく生きる野生の営みを想起させてくれる。読み進むうちその世界観に引き込まれ、こっそりと彼らの生活を覗き見ているような錯覚に陥る。それは彼が学者としての興味や欲ではなく、彼らを心から愛し綴った文章だからではないだろうか。自然好き・動物好き・極北好きにはたまらない珠玉の一冊。

  • 星野さんの影響で買った本。
    野生動物の生物学的なことが詩のように、物語のように書かれている。
    この本の凄さは読んでみないとわからない。

  • 星野道夫をアラスカに引き寄せた本。たしかに、読んでいると私の心は原野に飛んでいってしまう...。あれこれ説明するのが似合わない本。

  • 凄い臨場感、動物誌とは思えない。本当に、まるで自分がムースやアカリスになったような感覚さえします。珠玉の作品。

  • 詩(うた)のような文章、読んでいるとその場の映像が手に取るように思い浮かんでくる。旅する木

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