ぼくの哲学

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105368012

作品紹介・あらすじ

マリリン・モンローから毛沢東まで、ミッキーマウスからキャンベルスープ缶まで、現代文明の「聖像」を大胆にサンプリングしてPOP革命を起こした天才アーティストが明かす美、愛、死、成功、ライフスタイルe.t.cの「哲学」。

感想・レビュー・書評

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  •  キング・オブ・ポップがマイケル・ジャクソンなら、アンディ・ウォーホルは、マスター・オブ・ポップアートでしょうか。その芸術は、彼がよく口にしていたという「芸術家はHEROではなくてZEROだ」という言葉に表されているのだと思いました。
     
     アメリカ移民の子として生まれ育ち、思春期に悩みを打ち明け合う親友がいなかったことが、どれだけ作品に影響していたのか分からないけど、商業的芸術家として大成功して取り巻きたちと過ごす日々になってからも、アンディは虚しさを感じていたのではないか。(HEROではなく。)

     本書を読んで、そんな印象を受けました。
     
     ところどころに挟み込まれた格言に、はっとすることがありました。

     例えば、「ほしがらなくなったとたん手に入る。これは絶対に正しい格言だと思う。」とか、
    「空想の恋の方が実際の恋よりずっといい。やらない方がずっと興奮する。1番強い引力は、絶対にやらない2人の間にある。」とか、
    「おかまは映画女優の理想を地でいった歩くアーカイヴだ。」とか、
    「(ヒッピーの時代には、)”金は悪だ”とか”働くのは悪だ”とか言っていたけど金を作るのは技術だし、働くのも技術だし、うまくいってる商売は1番最高の芸術(アート)だと思う。」といったことです。
     
     なにか非常に深い格言というよりかは、いまの時代をすでに見抜いていたかのような軽やかな言葉の数々に驚かされました。全てはアンディの想像通りに進んでいるかのような。(全てはZEROだ。)

     アンディ・ウォーホルは1928年生。同じ生まれには、チェ・ゲバラやノーム・チョムスキー、手塚治虫などがいます。一度銃撃事件があった生涯でしたが、本書は原著が1975年に書かれていて、その銃撃についても言及されていました。

     インタビューに応えるような書き方で、愛や死、経済や人生について語った本です。60年代からのアメリカのカルチャーシーンがうかがえて、面白かったです。

  • 【オンライン読書会開催!】
    読書会コミュニティ「猫町倶楽部」の課題作品です

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  • アンディの中身を覗けたようでのぞけてないみたいな、そんな作品だった。家にテレビがあるだけで幸せになれる彼はとても単純だと思った。それと同時に面白いやつだとも思った。彼は毎日が楽しくて、私もそれを想像して楽しめた。翻訳で、ニュアンスが完璧にくずれないようにとは難しいことだが、実際に本に書いてあるとおりのアンディであることを願っている。

  • ウォーホルの頭の中が少しわかった気になる本です。
    彼の物の見方(視点や角度)や、捉え方に核心をつかれる事も多かったが、理解し難い事柄も多く、冒頭部分で1回読むのをやめました。
    読み進めていくうちに、共感できる事もいくつかあり、「それでいいんだ」と思わせてくるような気持ちになりました。

  • アンディ・ウォーホルの自伝的な要素もあるエッセイ。
    感性に従って気まぐれに綴ってゆく語り口で、「○○、いとおかし」と並べ立てる清少納言の書物のようなもの。もっとも、ウォーホルに清少納言のような他者への意地悪さはなく、この世界観は明るくユーモアに満ちている。
    その雰囲気では、カート・ヴォネガット・Jr.とか亜流の末裔村上春樹といったユーモラスだがどこか引きこもり型のモノローグ文学に近い。しかし決定的に彼らと異なるのは、この画家は、生の無意味さ、そして「無」そのものに親しんでいる点であり、この部分は作曲家ジョン・ケージに近い。
    以前から、なんとなくジョン・ケージ(1912-1992)とアンディ・ウォーホル(1928-1987)両者の存在感が似ているように自分は感じていた。無論仕事の内容は全く異なるし、世代も一回り違うのだが、この「無」への親近感において、そしてそこから生み出されるものが現代芸術において大きな転換点として意味を持ったことにおいて、似ているということかもしれない。「無=死」への近接という連関でついでに言うと、深沢七郎の文学世界にも通じていると言えるかもしれない。
    ケージは東洋思想との接近において「無」の体得を大切なものとしてとらえたが、ウォーホルの方は恐らく、消費資本主義やマス・メディア(特にテレビ)の世界の意味論的な薄っぺらさ(華やかな空虚さ)を通して身にまとったのではないか。
    音楽と異なって現代美術が「社会」なるものと真っ正面から対峙し、問い尽くす流れが生じたことにとても興味がある。

  • 脳がビンビン刺激される。

  • 【資料ID: 1117001001】 723.53-W 38
    http://opac.lib.saga-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA37536544

  • 「ぼくの生涯で人と群れといたと感じていた時は誰も来ず、もう孤独でいいやと思ったとたん取り巻きが出来るようになった。
    欲しがらなくなったとたん手に入る。これは絶対に正しい格言だと思う。」

  • “目が覚めるとすぐBに電話する“アンディによる哲学書。

    とりあえず読むことをおすすめします。


    【神戸市外国語大学 図書館蔵書検索システム(所蔵詳細)へ】
    https://www.lib.city.kobe.jp/opac/opacs/find_detailbook?kobeid=CT%3A7200183228&mode=one_line&pvolid=PV%3A6000183013&type=CtlgBook

  • ウォーホルの論理は単純明快、欲望に忠実、まったく嘘がない。それがNY金融市場の虚飾と欺瞞に充ちた投資家心理をあっさりと全肯定して、彼自身を産業としてのアートの代弁者とならしめた。

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著者プロフィール

20世紀を代表するポップ・アーティスト。1928年-1987年。

「2017年 『アンディ・ウォーホルのヘビのおはなし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アンディ・ウォーホルの作品

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