V. (下) (Thomas Pynchon Complete Collection)
- 新潮社 (2011年3月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105372088
感想・レビュー・書評
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2度読み、3度読みしないと判らないという文を見るけれど、むしろ何度も読み返したくなる本だと思う。
アフリカで繰り広げられるホッテントット族への人間性の欠片もない振る舞い。ギリシャのマルタに振る爆弾の下の死と隣り合わせの日常。働きもせずダラダラと日々を送るプロフェイン。全てが等価に語られる。
エピローグでビクトリア=レンが再び登場。
上巻でも整形手術が繰り返させるエピソードがあった。マルタで時計仕掛けの義眼などを子供たちに漁られて、解体されて死んでいった女神父。
肉体改造の通奏低音ということか。他にも繰り返される暴動や革命騒ぎとか、繰り返されるイメージはあったんだろうな。死を身近にした水兵たちのバカ騒ぎとか。
例えば、ドストエフスキーはホントの主題を離れた無駄話が多くて、しかもそれが面白い。でも、この本は主題が図らないし、話はバラバラで纏まりがない。
だから、散文的な印象しか書けないけれど、とんでもない面白いものを読んだと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
謎の女性という雰囲気は良い。
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話がでかくてついていけなくなる。
でも再読したくなる。
とりあえずほかの作品も読んでみたい。 -
背徳と退廃と混沌。
あとがきでエントロピーの話が書かれているが、
様々な形で彩られた物語はそれぞれが複雑であり、エントロピーは増大してゆく。
まともに読むと数年かかるであろうこの本に相対するにはそれこそ世の中を俯瞰で見る視点が必要だろう。 -
既刊分一巡してから新訳で2周目ということで。
最初読んだ時よりだいぶ読み易かったです。新訳だから?ピンチョンがどういうものかおぼろげながら解ったから?
とりあえず、ピンチョンは最初っからピンチョンだったんだということがよくわかりました。「V」は大きく2本のお話を軸として進みます。一つはプロフェインの話。一つはステンシルの話。プロフェインの話はピンチョンのホーボーサイド。ステンシルの話は何が真実かわからないサイド。どちらもピンチョン作品のキモです。