LAヴァイス (Thomas Pynchon Complete Collection)

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制作 : Thomas Pynchon  栩木 玲子  佐藤 良明 
  • 新潮社 (2012年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (542ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105372118

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LAヴァイス (Thomas Pynchon Complete Collection)の感想・レビュー・書評

  • こんな切ないピンチョン知らない。山積みのガジェットの様に溢れた固有名詞とモクモクと立ち込める煙の向こう側に浮かび上がるのは過ぎ去った文化への追悼であり、高度化すればするほど個人の感情や繋がりがシステムへと回収されてしまう社会への抵抗の証だった。内在する欠陥とはマンソン、そしてニクソンを生んだLA文化そのものに他ならない。警官にはヒッピー崩れと罵られ、仲間からは刑事の小間使いと揶揄される―そんな探偵ドッグが無数の人々の一人として生きながら、誰も否定しようとしない奴なのって最高にグルーヴィだと思わないかい?

  • 久々のピンチョン。最も読みやすい長編と言われているだけあって、筋もあり、ハードボイルド調なのも面白い。だが舞台は70年代の西海岸。ポップな音楽への造詣は目を見張るが、僕らの時代のイーグルスはまだ出てこない。ビーチボーイズ全盛のアメリカってどうだったのだろう、と思いながら読んだ。

  • 500ページ超えの厚さにみあわない、気の抜けたギャグ満載のふわっとした探偵小説。何もかもが巨大組織の陰謀であるかのような妄想的な世界観に呆れつつ、優しくて遠回りなドックのふるまいに心なぐさめられた。元カレがあそこまで奮闘してくれるって、シャスタの立場で読むとたいへん気分がよい。

    ドックがじたばたしていた時代にはヒッピーカルチャーは過去の夢になりつつあって、そのさびしさも物語全体に漂っていたように思う。読み終わってみれば、70年のアメリカ(西海岸)についての小説だった。感傷的すぎるかもしれないけれど、助け合ってゆっくりと生きていくイメージが浮かぶエンディングがとてもよかった。

  • このデカさの本は通勤の満員電車(主な読書時間)で読むことができないのが非常にツラい。読み終わるまでが長かった。

    ピンチョンは2~3年前、小説を再び読み始めた頃に、文庫版「スローラーナー」を買って何度かチャレンジしたものの、どうにも目が滑って文章が全然頭に入って来ず断念した事があり、自分の手には負えないと避けていたという経緯が。海外小説を読むなら一冊くらいは読まないと……とずっと思っていたので、よかった最後まで読み終えることができて!こんなに……登場人物の多い……。人の名前を病的に憶えられないおかげでしばしば話が分からなくなりながらも、主人公ドックの魅力が私を引っ張っていってくれた。最初は「え?こんなにチャラいのってありなの?」とびっくりしたけれど、どんどん好きになっちゃってね。ラヴ&ピース。祭りの後みたいな終わり方も好き。今度は訳者の佐藤良明さんによる新訳「スローラーナー」を試してみようか……。

    恥ずかしながら音楽の知識が全然無いから、雰囲気が掴めなくて残念。そこはP.T.アンダーソンの映画に期待しようかな。

  • 以前、ピンチョンブームだったときには学生だった。『V.』がドラマ化されて「ようわからんなー」と言い、『重力の虹』の邦訳が出て、さらに「ようわからんなー」と言いつつも、それらに「触れた」という実績がカッコよくみえたような気がする。これはそういった思い出話とは別に、アメコミ調の表紙が気に入ったのと、都甲幸治さん『21世紀の世界文学30冊を読む』で、あまりにも面白そうな解説を読み、夏の読書用に買ったもの。原題は“Inherent Vice”と、テクニカルタームがらみ。なかなか訳しにくくてこの邦題になったと思われるけど、『マイアミ・バイス』っぽくて、まあいいでしょう!

    開いてみると、もういろいろコテコテで、元ネタがわからなくても半笑いになってしまう。本筋は王道ミステリをなぞって(いると思う)おり、思ったところで「出た!」と、お約束の展開やモチーフに出会う。物語全体が、ディテクティブ・ストーリーへのオマージュというか、パスティーシュというか、パロディというか…まあ、とにかくそんな感じ。

    謎解きがイカしてるかどうかは別として、ヒッピーな探偵とセクスィーな女友達、スクエアな仕事仲間、葉っぱ友達、腹に一物ある野郎どもとの会話が大半で進み、しかも軽妙におバカで愉しい。しかも、探偵のヘアスタイルがアレで、探偵事務所の名前がコレで、元カノの乗ったクルマがソレ、ドラマに音楽…と、50~60年代アメリカ西海岸カルチャーてんこ盛り。リアルタイムでこの時代を経験し、今でもストライクゾーンのかたは多いだろうし、リバイバルとして知っている世代にも、トリビア満載で面白いかも。翻訳のためのリサーチが大変だったろうとは拝察いたしますが。

    私自身、リアルタイムでこの時代を知らないからいえることかもしれないけれど、物語の本筋よりも、小ネタの物量作戦に軸足を置いて楽しむ小説だと思う。訳者お二人による解説も緻密で、ピンチョン作品へのガイドとしては、少々のネタバレ感に目をつぶれば、ダレ気味になってきたときにつまみ食いしながら読める構成かも。

    『ディスコ探偵水曜日』や『敵は海賊』の軽快なかけ合いがお好きなら、このポップな仕立ての物語はきっと楽しめるだろう。個人的には、時代がちょっと下るけど、『マイアミ・バイス』や『ビバリーヒルズ・コップ』の会話も思い出した。乾いた感じは『私立探偵 濱マイク』だったり、軽やかさに『うぬぼれ刑事』を感じる。それだけ、こういった探偵ものにインスパイアされた作家さんは多いということだと思う。うーん、でも、この感じに近いのは、やっぱり『探偵物語』とか『俺たちは天使だ!』かなあ。「運が悪けりゃ死ぬだけさ」ってのは、いかにもドック・スポーテッロが言いそうな、グルーヴィーなセリフだし。

  • まずはグルービー!と叫んで見る。初ピンチョン。

    主人公の探偵ドグと地元刑事ビッグフットとの言葉の掛け合いが面白い。ドグは減らず口というかへこたれないというか、諧謔を弄してイカしてます。まるでルパン三世と銭型警部の様。そういえばこのLAヴァイスの時代背景は70年台。ルパン三世も60年台後半に初稿。

    ヒッピー文化とラヴ&ピース。どこか軽く明るい雰囲気はこの時代の探偵物の流行なのかもしれない。反逆のアメリカン・ニューシネマの時代だ。

    ドグはスパイ兼エージェントのコーイを助ける。ネイティブアネリカンの諺で「人を助けたらその人を最後まで面倒を見なければならない」というのがあり、面倒をみることに・・・アメリカはベトナムの面倒を最後までみれなかったが・

    原題は「インヒアレント・ヴァイス」直訳すると「内在する欠陥」。

    初ピンチョンであったが、根明の探偵物語と70年代のドラッグ漬けの若者像を通して、実は題名の如く、腐敗している警察とカリフォルニアの政界、しいてはアメリカのベトナム戦争への懐疑性が見え隠れする作者の作風は流石と思った。

  • 映画を見たので初ピンチョンチャレンジ。映画を見ていなかったらくじけていたかもしれないが、Apple Musicでサントラを聞きながらだとすんなり読めて、よくわからないなりに面白かった。失われてしまうものを強くかんじて、なんかどうしようもなく切ない気持ちになったな。

  • 読み始め早い時点で、敬愛する映画「2001年」のHALの文字で上がる。
    読んでる間、ドックの独特な鑑賞眼とともに映画三昧、60年代グラストンベリーさながらロックフェス。新しく世界が開けてサイケデリックな読書ジャーニー。知らないことだらけ、常にググりながら読んだ。
    何だか自分がゼロにされてしまうような、そんな、女なら一度はそうされたい扱いを受けたような。

    シンプルでファニーでヒップ。賑やかなノワール。素っ頓狂にファーラウトに突き抜けてる。いつも、何があってもグルーヴィーなのがドックの信条。ドックは、子供っぽさと子供らしさの違いが分かってはる。
    そう、軽い方が陳腐な深みを装うよりずっとずっといい。

    始まりこそは、オフィスにいる探偵のもとに、美人の元カノがSOSって依頼する。ベタな探偵ものだが、ありえない設定の連続、なのにリアルでジンと来る。
    吸血鬼を仄めかし、狼男だ、ゾンビだと始まり、そして、何かこう精神性なものが底にある。

    とにかく非合法性カオスなのだが、何が良いって、本物の愛の本質も見つけている。ジャンルの崩しっぷりこそピンチョンらしさ。
    「君がいなかったら僕はどうなっていただろう」
    グルーヴィー。野暮な説明はなしにどうぞなテクスト。

  • たしかにピンチョンの他の小説に比べたら読みやすいとは思うんだけど、それでも途中からほとんど内容分かんなかった・・・。でもポップな文体や世界観はむっちゃ好き!

  • 映画をみて原作を読みました。映画は原作を忠実になぞったんだなと確認。映画のほうが断然よかったと思いました。
    ヒッピー仲間だったか助手なのか、デニスってキャラが薄すぎて、最後までちょくちょくでてくるんだけど、どんな人物なのかよくわからなかった。そんな人物がいっぱいいてくせのある小説であった。映画見てなかったら内容についていけなかった。自分語りのシーンなんかは、日本のライトノベルと変わんないなと印象を持った。これがノーベル文学賞候補とかウソだろ?と思う。

  • 面白くないわけではないのに、非常に読むのに時間がかかった。
    様々な象徴的な要素が散りばめられているけれど私にはほとんどわからず。
    わかって読めばもっと面白かったかも。

  • 今月の猫町課題図書。ピンチョンとは思えないくだけたストーリーで、読み易いは読み易いのだが、それでも登場人物の多さには苦労する。また、70年代の米国風俗(音楽、TV番組、事件など)を知らないと判らないネタが満載で、訳者の解説が付いてはいるものの、なかなか面白みは伝わらない。

    ちょっと一回読んだだけでは、ごく普通のハードボイルド小説といった感じで、ピンチョンらしい面白さはない。得意のパラノイアックな「秘密組織」ネタは登場はするのだが、スケールも小さいし、割と現実的だし、そっちが本線ではないようだ。

  • 舞台は1970年のLA。マリファナ常習者の探偵の元彼女の不倫相手の失踪を巡る探偵小説。ピンチョン特有の膨大な引用、リアリテイを追求した時代考証をは健在。ピンチョン小説としては読みやすい。P.T.アンダーソン監督による映画も見たい。

  • 1960年代が過ぎたLA。しがない探偵ドックは昔の恋人から頼みごとをされて・・・。

     女に目のないドックは肝心なところでトリップして気を失ってトラブルをこじらせるような全く頼りにならない人物だが、どころなく憎めないユーモラスな主人公。ロックや1960~70年代アメリカ文化に親しんだ当ブログ主には馴染み深い道具立てで、ちょっとユーモア風味のカラフルなポップ小説として読むことが出来る。しかし基本的にはユーモアハードボイルドのフォーマットを踏襲しつつも、ちりばめられた要素は夥しい数に及び、歴史なども含めた西海岸を中心とするアメリカという国が浮き彫りにされる小説でもある。解説は素晴らしく、そうした要素について詳しく解きほぐしてくれる。一読では十分に把握できないけど。
     解説によるとピンチョンの著作はそれぞれ絡み合ってるんだねえ。他も読まないとなあ。

  • 2014/12末読了
    twitterでワンちゃんに勧められたことによる。

    話の進み方が軽々としていて独特。
    登場人物が多く、また行動パターンが普通じゃないので中々馴染めない。

    巻末の解説を読むとそこまで読み込めるのか、と思わされる我同時にそこまで読む必要あるの?とも。

  • 私立探偵ドッグ。元恋人の依頼。愛人を助けて。愛人ウルフマンの失踪、その部下の死。もうひとつの依頼。死んだサックス奏者ー生きている?FBI、ヒッピー、マフィア。敵は?ー黄金の牙。

  • 映画パルプフィクションは三文小説からきているという話を聞いたことがあるが、これはB級映画からの三文小説化ということになるのだろうか。それをまたさらにポールトーマスアンダーソンが映画化、となれば事態はややこしくなる。
    小説については、映画に期待。としか言えない。少なくともこれはもう悪意でしかないような気がしている。

  • あははは!なんだかピンチョンがとても身近。そしてこれ映画化するらしいのだが。本当に?これを読んで、ピンチョンて実は同世代じゃなかろうかとか思ってしまうくらい、私の友人たちのような人々がたくさん出てくる。面白かったけれど、楽しかったけれど、ピンチョンにしては普通。でもガッカリ感は全くない!

  • ピンチョンやノワール作品にあまり慣れ親しんでない自分には
    読み進めることが非常に辛く、途中でギブアップして
    最後の解説を読んだら色々合点。

    訳者あとがきにある 原題:Inherent Vice を『LAヴァイス』と
    した理由について、ピンチョンやノワールあたりの方々には
    きっと納得されるのだろう。しかしちょっと私の様な一般人には
    うやうやしいまま“そもそものありようである悪ないし欠陥”みたいな
    タイトルであったほうが、ちょっと構えてからこの本を手にとる
    ことができたかもしれない。あまりにも無防備に読み始めたので
    途中で読み進める気力を失ってしまった。

    でもこんなのあくまでも一般人の感想です。その道の皆さんには
    きっと面白いのでしょう。私は本文後の、時代背景や登場する
    映画・楽曲・人物の解説のほうが100万倍楽しめました。
    解説読んだあとに本文読めば、また違うかも。

    3年後くらいにまた図書館で借りてこようと思います。

  • 普通に読めるからこそ物足りない。

  • 登場人物がめちゃくちゃ多いのと、みんなチャラくて適当な感じなのと、きっかけが忘れた頃に花開いたりするのとで、誰が何をしたいんだかよく分かんなくなってくる。断片的な挿話とか台詞とかはいい感じで、ぐっとくる瞬間はたびたびある。

  • 探偵モノだし、ピンチョンの作品にしてはすんなり読める。とても面白い。

  • レイモンド・チャンドラーの世界だ。でもピンチョンの西海岸はスモッグで煙ってて、ドラッグがいっぱいで、女性が強くて情熱的でいいことを言う。最初は翻訳の軽口が空すべりしてるような気がして読んでて苦しかったけど、ドックのシャスタへのセンチメンタルな感情にホロリとしつつ、小説の世界にどんどんひきこまれていった。

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LAヴァイス (Thomas Pynchon Complete Collection)の作品紹介

目覚めればそこに死体。LAPDの警官の群れ。顔見知りの刑事。んで-おいおいオレが逮捕なの?60年代も終わった直後、街にサーフ・ロックが鳴り響くなか、ロスのラリッ放し私立探偵ドックが巻き込まれた殺人事件。かつて愛した女の面影を胸に、調査を進めるドックが彷徨うは怪しげな土地開発の闇に拉致とドラッグ、洗脳の影。しかも、えーと、"黄金の牙"って?なに?ドックが辿り着いた真実とは-。

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