フェルマーの最終定理: ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105393014

作品紹介・あらすじ

3以上の自然数nに対してXn+Yn=Znを満たすような自然数X、Y、Zはない。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」。17世紀にフェルマーが残した超難問を、数学者ワイルズが1995年に完全証明した。ピュタゴラスに始まる数論、解決のカギとなった「谷山=志村予想」など、数学をめぐる「歴史ドラマ」を、分かりやすく感動的に描いた傑作。

感想・レビュー・書評

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  • また読みたい。

    最初に惹かれた逸話、素数とセミ。(137ページ)

    ジュウシチネンゼミ(17)とジュウサンネンゼミ(13)、それぞれの年数、地中で暮らし、それから一斉に地上に出て交尾をして2、3週間でそのライフサイクルを終えるらしいのだが、この「17年」、「13年」という素数の周期が、寄生虫と地上に出るタイミングがかち合わないためだという説。

    空飛ぶ鳥の隊列や、海中の小魚の大群、進化の過程をテレビで見るたび、その種の「集団意志」があるのでは、と思いを巡らせてしまう。本題から逸れてしまったが、エピソードが色々興味深い。

    この本、「フェルマーの最終定理」というのは、

    例えば、直角三角形はどんなものでも、斜辺の2乗が、他の二辺それぞれを2乗した和に等しくなるそうだが、それぞれ3乗以上になると、その等式を満たす自然数は存在しないという定理。

    この証明はできたが、生憎、書き残す余白がないといった、17世紀のフェルマー、そして、それを証明してみせたワイルズ。

    この2人が会話したとしたら•••おもしろいだろうな。

    イジワルそうなフェルマーより、今を生きるまっ正直なワイルズを称えたいな。

    100点満点の高校時代の数学テストで、2桁の点数が取れなかった僕に、

    おもしろい‼︎

    と思わせてくれた、サイモン•シンさん(著者)と青木薫さん(訳)、ありがとうございました。

    そして何より、この本に出会わせてくれたフォロワーさん、ありがとうございました。

    今回は10%、次回読むときは20%、この本の概要を理解できるようになっているかな、テヘヘ•••。

  • いずれ読もうと手元に置いて数年。
    毎年楽しみにしている図書館の福袋で、引き当ててしまった…。
    これはもう今が読む時ということだなと、めくるとちらちらよぎる数式に慄きながらも読んだ。
    面白かった!
    原文もとても明解なのだろうし、翻訳もとても良く、するすると入っていけた。
    はるか昔からの数学の流れに、まるで冒険小説を読むようなわくわくで飲み込まれた。
    谷村氏と志村氏のところは泣いてしまったな…。
    証明者ワイルズ氏の章はスリリングで、ハラハラしながら読んだ。
    こんなに感情が揺さぶられるとは!
    ありがとう福袋!

  • 『チ。』でも思ったが、知は累積する。昔人の築いた礎石のうえに加える、固める。
    その繰り返し、気の遠くなるような営為・苦闘の末にいま吾人の認識はある。
    温故知我。学徒として身の引き締まる思いがする。次の石を積もう。

  • 大河ドラマのようでもあり、知的好奇心をくすぐる面白さ。

    数学に強い訳ではないですが、DeNA南場さんオススメなので読んでみました。

    フェルマーの最終定理とは、xのn乗 + yのn乗 = zのn乗
    (nは2以外)の自然数の組合せは存在しない。
    という定理のことで、何世紀にも渡り、何人もの数学者が証明しようとしては、敗れさった数学の難問です。

    最終的にアンドリュー・ワイルズが証明に成功しますが、そこに行き着くまでに、数学の成り立ちや考え方、発展の仕方など、色々なドラマがあったことを教えてくれます。

    面白かったのは、和音の話や宗教も数学と関係があったということ、科学は明日ひっくり返る可能性があるが、数学の証明は絶対ということ。

    それと証明の基礎として、日本人の理論が大きく関わっていること。ちょっと誇らしいですね。

    それはともかく、数学が苦手でわからなくても、人間ドラマや歴史の雑学だけで知的好奇心が満たされます。

    結構、重厚感のある本なので時間は掛かりましたが、翻訳物が苦手な私でも面白く読めたので、かなりオススメです。

    いつもと違うジャンルの本を探している人は是非!

  • 『感想』
    〇この本はフェルマーの最終定理について詳しく説明するのではなく、数論の歴史・進化が語られている。

    〇具体的にどういう証明をされたのかは書かれていないし、そもそもそれを理解できるのは数学者の1割だというから、一般書物としては向いていないだろう。

    〇たぶんかなり簡単な数論証明が載せてあるが、そこすら私には理解できない。

    〇定理は99%正しいと予想されただけではいけなくて、100%完全に証明されなくてはならないとは厳しい。これが文系のように答えはたくさんあると考えられない理系の考え方だ。

    〇数論を証明したところで、いったい私たちの実生活になにが役に立つのだろう。そう思っていたが、そこから生まれるものはあるんだな。具体的にそれが何かまでは語られてはいない気がするが。

    〇ワイルズがフェルマーの最終定理の証明をした時、小さな問題点があり、それを乗り越えて完全な証明ができたところにドラマがある。またこの功績はワイルズのみにあるのではなく、そこに至るまでの色々な人の努力があって、その土台のもとに完成された。この時代を超えて繋がっていくところがいいね。

    〇本の題名からこれは数学が得意な人でないと読めないとか思わないでほしい。ただ数学的知識がある方が深く意味を感じられるかもしれない。

    『フレーズ』
    ・ある理論が正しいかどうかは、人の意見には左右されないのである。それに代わって、数学の論理的構造が審理の審判者となった。(略)われわれは誤りをまぬがれない人間存在の判断を超えて、心理を見出す方法を手に入れたのである。(p.54)

    ・人は誰しも、自分にとって大きな何かに本気で取り組むことができれば、想像を絶する収穫を手にすることができるのではないでしょうか。(p.369)

  • 一人が説いたわけでなく、長年、一人一人が一歩ずつ続けてそれを元に最後に解けたところが

    とても良かったです。

  • 恥ずかしながら、私、この本を読むまで、数学=計算 かと思ってた。数学って論理、なんだ。もちろん計算やそのテクニックも含まれますが、そのテクニックを生み出すための思考の整理や論理なんだ、と知った。
    数学は意見交換によって、新しいアイデアを得たり、自分の間違いに気づいたりと、交流が主流な中、ワイルズは、フェルマーの最終定理解明までは、引きこもりを決めた、そして発表後、論理矛盾を指摘され、それを再追求して行く過程のワイルズの精神はいかほどだろうと、こちらも緊張した。邪魔されない環境、手柄を横取りされないと言う目的と、交流によって得られるアイデア。その両天秤でどちらを取っても、得るもの失うものがあるわけで、これは、自身が何を掴みたいか、その決断なのだ。
    あと、どの偉人に共通するのは、それに興味を持って絶えずそれを考えている事、諦めない事。何かで成し遂げられる人は、この精神力に尽きる。
    また、日本人数学者、女性数学者が登場し、その描かれ方が好意的なのも、日本人女性読者として嬉しい。あとがきにある、著者と志村先生の対面があったから、この著はイギリス人によって書かれているが、内容が現代日本史の一部に触れるように、身近に感じられたのはそのおかげだろう。
    数学が苦手な私には、数論や一部計算方法でついて行けないところもありましたが、数学というより、数学史と捉えて読めばいい。出て来る数式まで理解したら、心底膝を打って「面白い!」と言えたでしょうが、そうならなかったので星4。

  • 節目節目で日本人や女性が非常に大切な役割を果たしており、胸が震えます。青木薫さんの訳が素晴らしいと思うのです。青木さんが訳された別の本までド文系でちんぷんかんぷんながら読んでしまいました。美しい日本語の使い手でありながら理系な理解力もあり、語学も堪能だなんて凄い方ですね。

    • アリーさん
      如月さんのレビューを拝見し、この本を購入しました。
      想像より分厚かったので、少し怯んでしまったのですが…(笑)

      わたしも文系人間で、数学は...
      如月さんのレビューを拝見し、この本を購入しました。
      想像より分厚かったので、少し怯んでしまったのですが…(笑)

      わたしも文系人間で、数学は学生時代敵だったのですが、だから憧れもあって。
      買う勇気を下さって、ありがとうございます。
      2013/06/15
    • 如月さん
      コメントありがとうございます。
      これはそちらにお邪魔して書くべきなのかしら?私もど文系のちんぷんかんぷんです。読破できましたか?面白くなか...
      コメントありがとうございます。
      これはそちらにお邪魔して書くべきなのかしら?私もど文系のちんぷんかんぷんです。読破できましたか?面白くなかったらすみません。憧れというのが本当にピタリとくる表現で親近感を覚えましたw
      2014/07/04
  • 数学というのは美しいものなのであるなぁ.私が高校生くらいだった頃、父は高校で習うのは数学じゃなくて算数だ、と言ったことばを思い出した.高校で習うのは、すでに定理となったもの.数学とはまだ解かれていない問題に挑む営みなのだ.

  • フェwwwwルwwwwwwwマーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

    「フェルマーの最終定理」がどんだけすごい物なのか、一応把握しておこうかと読み出したら数学にまつわる大体の歴史にふれたでござる。

    フェルマーさんの性格の悪さが他人ごとに思えないwww大好きwwww

    ピタゴラス「整数・分数美しい…これぞ真理」
    弟子「無理数オモシロwww√2カワユスwww」
    ピタゴラ「む、無理数なんて認めないんだからぁ!!!あんた死刑!!溺れ死ね!!!><」
    弟子「(´・ω・`)Oh...」

    数学の代償に若くして片目を失ったオイラーさんがかっこいいなと思いました。

    本の装丁も本文も、そして描かれる歴史もすべてが美しい一冊でした。
    表紙はフェルマー氏のイラストの上に試験管?が何本か置かれ、そこに光が差す―というセンスのいいものです。表紙だけでも観る価値があると思います。

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著者プロフィール

イラストレーター

「2021年 『世界じゅうの女の子のための日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

サイモン・シンの作品

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