- Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105415020
作品紹介・あらすじ
経済学者たちは命がけで考え、戦い、恋をした――。なぜ貧困や格差が生まれ、なぜ恐慌や戦争が起こるのか――文明社会の存亡を握るこの大難題に挑んだ天才たちがいた。マルクス、マーシャル、シュンペーター、ケインズ、ハイエク、セン……偉大な経済学者たちの理論と破天荒な人生を鮮やかに描く、世界的ヒット『ビューティフル・マインド』の著者による歴史ノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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産業革命が社会に与えた影響は絶大で、政策や経済モデルを巡って多数の人々が議論を巡らせた、近代の黎明期に活躍した人物たちを伝記調で紹介。生い立ちや育った環境まで紹介するのでヒューマンドラマも面白い。 知らなかった歴史的事実が多数読めて勉強になった。
マルサス、アダム・スミスのみならず、ディケンズなどの作家やメイヒュー記者なども引用して当時の社会をうまく想像することができた。 各章でエンゲルス、マルクス、一部でJSミル、アルフレッド・マーシャル、ベアトリス、アーヴィング・フィッシャー、シュンペーターを中心に時系列でまとめられているが、ジョゼフ・チェンバレン、ウィンストン・チャーチルなどの政治家に直接影響を与えた点も紹介。 エジプト加熱投資のケースから、日本のバブルも含めて現代の経済でも学ぶべきことがたくさんあるのでは・・と思った。 グローバル化で経済的な結びつきが高ければ戦争は起こりえないと当時の人々も考えていた点に注目したい詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
☆学者の人生に焦点を当てているのはおもしろいが、結論は、方法論は異なるものの、経済は制御できる。
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学校で経済学史を習ったときは、経済学者というのは、勉強ばかりしている世間知らずみたいなイメージを勝手に抱いていたが、この本に出てくる、マルクスやマーシャルやフィッシャーやシュンペータは、みんなそれぞれの時代を巧みに生きた冒険家のようだ。だらしないマルクスのや、派手好きなシュンペーターは、経済学者=堅物と思い込んでいた既成概念を壊してくれ、それだけで十分楽しめる。
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単に経済学の解説をするものではなく、経済学の大家と言われる方々が、どのようにしてその理論を生み出したのか、その時代背景はどんなものだったのかがよくわかる。実は極めて裕福だったエンゲルス、女好きで妻の召使いをも妊娠させてしまうマルクス、筋は通っているものの手段を選ばないシュンペーター、女性として初めて経済学者と認められたウェッブ夫人などなど。家庭や社会状況、歴史的経緯によって理論は構築されるということがよくわかる。経済学が生まれたことと深く結びついていることとして印象的だったのは、「人間が生きて行く道は不変ではなく、自らの意思によって人生を作り出すことが可能であるということを発見した」こと。それまでは神様の思し召しによって身分が固定していたわけで、これは人類史上最も貴重な発見かもしれない。
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160312 中央図書館
イギリスで資本主義は生まれた。マルクス、マーシャルからスタート。 -
第1部 希望
第2部 恐怖 -
たまたまなんだけど「経営戦略全史」「量子革命」と立て続けにアラウンド20世紀の知の巨人たちの群像ストーリーを読んでいます。たぶん量子力学にしても経済学にしても、この100年で急激に進化した学問であり、科学主義にしても資本主義にしても、今、現在のこの世界を成り立たせている2大骨格であり、そして、テクノロジーにしてもグローバルにしても目標ではなく、日常になった時代のこれからを考える時に、ちょっと振り返って、今、我々が立っているこの場所に至る歴史を確認してみる気分が、こういった著作のシンクロニシティを生み出しているのかも。マルクス、マーシャル、ベアトリス・ウェッブ、フィッシャー、シュンペーター、ちょっとエクストリームな個人が時代に翻弄されながら、極めて人間臭く、経済学の輪郭を描いて行く上巻は、まはや学問大河ドラマ。下巻へもワクワク。