- Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105415037
作品紹介・あらすじ
経済学者たちは命がけで考え、戦い、恋をした――。なぜ貧困や格差が生まれ、なぜ恐慌や戦争が起こるのか――文明社会の存亡を握るこの大難題に挑んだ天才たちがいた。マルクス、マーシャル、シュンペーター、ケインズ、ハイエク、セン……偉大な経済学者たちの理論と破天荒な人生を鮮やかに描く、世界的ヒット『ビューティフル・マインド』の著者による歴史ノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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全体としては、1840年から20世紀末までの経済理論の流れについて、イギリス・オーストリア・アメリカを中心に紹介する内容。第一次大戦の処理から第二次大戦後の時代におけるケインズの活躍から、シュンペーター・ハイエクらの活動を見て行く。こらまで実地調査や鋭い考察で知られるベアトリスが70歳代には、ソ連の・スターリンの茶番に対して節穴だった点については老害について考えさせる。同じ女性で活躍したジョーン・ロビンソンの個性の強さも印象的。戦中・戦後のアメリカ要人に多数(ホワイトやカリーなど)ソ連のスパイ要員がいたのは知らなかった。しかもスターリンの目指す方向性を知らない状態で共産主義イデオロギーに憧れるとは時代を反映している。 最後の章にベンガル出身の経済学の良心/アマルティア・センを選んだのも良かった。戦後アメリカの重要人物サミュエルソンのエピソードも霞んでしまうほどに他の人物が色濃い。
宗家19代目の徳川家広なる人物が翻訳を担当しているが、ぜひ後書き残してほしかった・・詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
☆学者の人生に焦点を当てているのはおもしろいが、結論は、方法論は異なるものの、経済は制御できる。
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経済の失敗が二度の世界大戦を引き起こす。戦後の回復のために苦闘する、経済学者の活躍を描く。
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上巻に続き、経済学者の思想の背景を、彼らが生きた時代の状況と合わせて解説するもの。フリードマン、シュンペーター、ハイエク、サミュエルソン、ジョーン・ロビンソン、アマルティア・セン。感想としては、経済学というのは単に社会・経済の状況の統計・分析を行うだけもののではなく、平和な世界の前提条件を考えるものであること。景気循環は発展をもたらすものであるから、不況が起こるのは自然であり、むしろ健全とも言えること。経済の自由の侵害はやがて政治的自由の侵害へつながること。
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経済学の思想史という側面もあるが、一般的に理論の系譜を振り返るというより、経済学が政策や政治を動かす力をどのようにして得ていったかということを振り返る書物だった。
上巻では、経済理論、特に計量モデルを使った経済学が現実社会を説明することができるということを、経済学者が徐々に社会に説得していったプロセスが描かれていると感じた。
そして下巻では、ケインズを中心に、現実の政策、そして政治の中で活躍の場を広げていく経済学者の姿を描いている。
もちろん、ハイエクのように経済政策の役割に限定的な位置づけを与える理論家もいるし、計量経済学のモデルが実際の社会を予測しきることができているのかについて、現在でも懐疑的な意見は多くある。
しかし、過去を振り返ってみると、経済学自体が今のように重要な位置を政策や政治の中で与えられるにいたるまでには、非常に長いプロセスがあったのだということは、意外であった。
経済学のない社会は現在ではとても想像できないが、この本を読むことで経済学が今の社会に果たしている役割とその限界について新しい視点から考えることができるように感じた。 -
160312 中央図書館
ケインズ、シュンペーターから、センまで。 -
第2部 恐怖
第3部 自信 -
経済学大河ドラマの後半の主人公は、シュンペーター、ケインズ、ハイエクか。3人の天才の距離感が移ろいながら第二次世界大戦を挟んで経済学が世界の関係を作るプラットフォームになっていきます。激動の時代、それぞれの業績だけではなく、それぞれの資産形成の浮き沈みが描かれているところがこの物語にエンターテインを与えています。やっぱりどんな人生を歩むかが思想形成に影響するんですよね。お金だけじゃなくて同性愛あり、不倫三角関係あり、この生々しさが、やっぱり経済学って数学であると同時に人間の学問であることを伝えていると思います。ところで本書の最終章はアマルティア・センに当てられています。上下巻通じて舞台はずっと欧米でしたが、この終わり方が、著者のこれまでの経済学の総括と、これからの経済学への期待になっているのかな?と考えたりしました。
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