アンダーワールド 下

  • 新潮社
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本棚登録 : 84
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (611ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105418021

感想・レビュー・書評

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  • 2015/1/31購入

  • 10年ぶりに再読。

  • 現代アメリカ社会の病的な部分を描き出す独特の筆致は凄まじい。さらにそれを日本語の表現に置き換えた翻訳者の力量にも脱帽。日本人が読むにはやや長いか。

  • 上巻参照

  • (上からつづく)
    すべてが繋がっているなら、WTCの瓦礫と報復攻撃を受けて炎上するアフガニスタンの名もない村もどこかで繋がっているはず。
    しかし「ものが大きくなればなるほど、そいつを隠すのは容易になる」のです。わかりやすい答えに飛びついてしまったとしたら、誤っている可能性が高い。そしてそれは時がたつほどに明らかになりました。預言の多くは霊能力の類いではなく、冷徹な洞察力によって導き出されます。作品の最後の単語は“平和(peace)”、どんな大きなつながりも、きっかけは小さなかけら(piece)からはじまることを、見抜いていかなければなりません。

  • 現代を描いているのに、日常の俗っぽいにおいとは切り離されている。
    それは物語が、大きく、機械的な客観性に(まるで人工衛星だ)よって
    支えられているからだと思う。
    もちろん僕がアメリカ人でないことも関係しているのだろうけど。

  • なんせ重たい本である。質量として重たい。しかも上下巻に分かれていて、それぞれ六百ページ。その上、読みにくい。二ヶ月かかったのは当然だろう。もっとも世の中の速読技術をお持ちの方には関係ないだろう。とはいえ、そういう読み方ではきっと何も残らない本だろう。筋を分断する手練があまりに巧妙なのだ。
    ずしんと腹に来る。何がなんだかよく判らないが、ずしんと来る。これが現代の本質なんだよ、といきなり突き付けられたような不快感。リアルなんてどうでもよくなり、想像力の世界で見る今がここに描かれているという恐怖に似た感情。なんせ、読み終わって、不快なのだ。しかも、それはそのまま今生きている現実に対する不快感なのだ。
    それも、暮らしの中のものではなく、メディアと呼ばれるものの総体に対する不快感なのだろう。今、人間として生きている限り、この網の中にいる。それを否が応にも感じさせられ、先を読まずにはいられなくさせる。そんな本だ。
    世界貿易センタービルに対する記述など、確かにあのテロを彷佛させるシーンが存在する。明らかに時代を見据えて書かれた本である。ちょっと途方に暮れるくらい。
    村上春樹の「アンダーグラウンド」はとてつもない文章だけれど、この本はそれに匹敵し、しかもフィクションである。この本はすごい。

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著者プロフィール

1936年、ニューヨークに生まれる。アメリカ合衆国を代表する小説家、劇作家の一人。1971年、『アメリカーナ』で小説家デビュー。代表作に、本書『ホワイトノイズ』(1985年)の他、『リブラ――時の秤』(1988年/邦訳=文藝春秋、1991年)、『マオⅡ』(1991年/邦訳=本の友社、2000年)、『アンダーワールド』(1997年/邦訳=新潮社、2002年)、『堕ちてゆく男』(2007年/邦訳=新潮社、2009年)、『ポイント・オメガ』(2010年/邦訳=水声社、2019年)、『ゼロ・K』(2016年)、『沈黙』(2020年/邦訳=水声社、2021年)などがある。

「2022年 『ホワイト・ノイズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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