ボディ・アーティスト

  • 新潮社
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本棚登録 : 92
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105418038

作品紹介・あらすじ

パフォーマンス・アーティスト=ボディ・アーティストであるローレンは、夫の自殺に直面し、言語とアイデンティティーの危機に晒される。そして、彼女の前に出現する奇妙な青年。いつの間にか彼女が住む別荘の上階に住みついていた彼は、時間の概念もなく、因果関係もわからないままローレンと交流を重ねていく-。現代アメリカ文学の巨人が、アメリカの裏面史を壮大なスケールで語った前作『アンダーワールド』から一転、ひとりの女性が変わりゆく姿を緊密に、詩のように美しい文体で描く極小かつ極上の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 難解な作品。
    ローレンの夫レイは何故自死を選んだのか?青年は何者か?等分からない部分も多いが…ストーリーよりも、訳者あとがきにあるように「言語」表現を追求する事を選んだ作品なのかな、と。特に第一章のローレンとレイの日常。
    ありふれた風景が一つ一つ語られる事によって世界の「変容」、空気の流動まで見えてくる…。読みながら舞踊家の田中泯氏の「踊り」を思い出す。或いは作中にも出てきた「能」の動作。
    難解で、理解出来ているとは言いきれないが…個人的には好みの作品

  • なんだかすごく大事なことをすごく抽象的に書かれているような気がするのだが、それが何なのだか上手く捉え切れなかった。たぶん、ここで言わんとしていること自体がそう簡単に感得することをできる類のものではないことすらも含めて語っているのだと思う。神経を研ぎ澄ますトレーニングが必要ということか。贅肉を削ぎ落とした透明な文章からは、ただ読んでいるだけで心地よい刺激を受けた。

  • 遠い夢の中を漂っているみたいな気分になりました。
    とてもきれいな透明な世界。
    生命のにおいのしない不思議な人たち。
    詩のような抽象的かつ美しい文章。
    一人で雨の日なんかにぽつりぽつりと読みたい小説だなぁと思いました。
    また、読もうっと。

  • デリーロを読んだのは、初。
    他の著書のあらすじを見る限り、政治的テーマというか、メディアでとりあげられる社会的問題と人間との間の関係性を扱ったテーマが多いみたいなので、人間の中の中の、奥底に焦点をあてたこの作品はおそらく異色なのだろう。主人公は、結婚してまもない夫の突然の自殺をうけた、その三番目の妻のローレンで、その彼女の心の内部に起こる変化を、いつのまにか家に住み込んでいた奇妙なな一人の青年との交流を通じて描いている。この物語の中で起こる出来事や人物設定は突飛というか非日常的な部分が多いのだけれど、そこ隠された心髄は人間だれしも共通する、普遍的で身近なものだと思う。

    ただ残念なのが、読んでいて最後まで強烈に物語の中に引きづられて行く感覚がなかったところ。ただの傍観者にしかなりえなかった。抽象的な表現も多く、すんなり想像できない部分も多かったし、そうすると頭の中で出来かけていた物語がそこで切断されるというか。。。それでも読み終わった時に一つの情景が余韻として頭の中に残ったので、とてもいい作品なんだとは思う。いずれ丸一日誰の邪魔も入らない日に、腰を据えてじっくり読み直してみよう。そうすれば、今度はもっと理解できるはず。

    と信じたい。

  •  現実との境目が曖昧な、いや、そんなこと気にしてはいけないお話。

  • ひとつひとつの文章がとても美しく、読んでいて心地良かった。
    内容はよく覚えていないが、数年前に読み終わった時の感触だけは不思議と思い出せる。

  • 抽象的な表現が多すぎて私には良く解らなかった
    イメージをすると
    私の頭の中にはとても綺麗な絵が浮かぶけれど
    その中で何が起きているのかが
    いまいち掴めなかった

  • 根気のない人間がデリーロを読もうとしたらこれからになってしまうのは仕方がない。たとえこれが異色作であったとしても。・・・えーと勇気を出して言えば意味不明。しかし、こんなにも一字一句にひきつけられてじっくり読まされたのは久しぶりかもしれない。例えば最近読んだ「たったひとつの冴えたやり方」は筋だけを追うような斜め読みをしてたけど、この本はどの言葉を無駄にできないというように読んだ。意味不明な本ってのは結構一生懸命読んでしまうものだけど、それだけじゃなくて、一文一文に力こめて書いている感じがする(訳文読んでこんなこと言ってしかたないが)。こんな文章を書かれると、リブラとかアンダーワールドを読みたくなってしまうなあ。

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著者プロフィール

1936年、ニューヨークに生まれる。アメリカ合衆国を代表する小説家、劇作家の一人。1971年、『アメリカーナ』で小説家デビュー。代表作に、本書『ホワイトノイズ』(1985年)の他、『リブラ――時の秤』(1988年/邦訳=文藝春秋、1991年)、『マオⅡ』(1991年/邦訳=本の友社、2000年)、『アンダーワールド』(1997年/邦訳=新潮社、2002年)、『堕ちてゆく男』(2007年/邦訳=新潮社、2009年)、『ポイント・オメガ』(2010年/邦訳=水声社、2019年)、『ゼロ・K』(2016年)、『沈黙』(2020年/邦訳=水声社、2021年)などがある。

「2022年 『ホワイト・ノイズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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