- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105900137
感想・レビュー・書評
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いつまでたってもモンスーンがやってこない暑い夏に、最初の雷雨とともに生まれた赤ん坊。長じて郵便局員になった彼は、仕事もいやだし生活もうんざり……。舞台はインド。人の手紙を開封しては、見知らぬ土地に夢を馳せる毎日。なぜだか郵便局長の娘の結婚式で尻丸出しで踊ってクビ。あげく突然グアヴァの樹に登る。なんの因果か聖者様と崇められて、とりまく信者に珍妙なる警句、これまたなぜだか起こる家族スパイ警察軍隊猿まで巻き込む大騒ぎの顛末は……?饒舌な語り。繊細な観察力。奔放な想像力。マサラな香りを漂わせる異色の文学の収穫。98年度ベティー・トラスク賞受賞。
原題:Hullabaloo in the guava orchard
(1998年)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
グァヴァ園は大騒ぎ キラン・デサイ
インドが舞台の話。
木に登ったきり降りてこず、聖人のように崇められるサンパト。
サンパトで金儲けを企む父。
アイスクリームやと駆け落ちを企てる妹。
食べ物のことが頭から離れない母。←この母はちょっとオカシイことで有名。
比較的普通のおばあちゃん。
とあるサイトに
僕のスーツは日本製、僕のランチは中華風、
トラーラーラ ぶらぶらしてるように見えるかもしれないけど
トラーラーラ 心配ないよ ママとパパ
僕はこの国が好きなんだ
おお、この国が好きなんだ
この部分が抜粋されて紹介されていて。
どこか唐突なこの詩がずーっと気になっていたんだけど
「インド」って所に不安を感じ。
インドといえば「汚い」とか「発展途上」とか(インドの人にごめんなさい)というイメージがあって、まして「グァヴァ園」って想像力が付いていかない気がしたのね。
さらに、意を決して図書館で借りてみたら後ろの書評に
「ことばがおびただしく羅列につぐ羅列で、過剰で、獰猛で、めくるめくようでした」
って言うのがあって、「こりゃ失敗したかもな…」
と思った次第。
しかし。
読んでみて驚いた。
これは全然難しくない。
むしろ面白い。
うまく言えないけど何かキラキラしたものが隠れてるような予感。
何度も読み直したら見つかるかも。
最後サンパトってグァヴァの実になったのかなぁ。
最近ミステリーとか小難しい本ばかり読んできたせいか、とてもすっきりした。
木に登った主人公って言うのは物語の話だけかと思ってたら、インドは実際そういう人が多いんだってさー。 -
今年ブッカー賞を受賞したキラン・デサイのデビュー作。
内容は現代インドを舞台にしたユーモラスな寓話という感じ。かなり独特な調子で突拍子もなくストーリーが展開するけど、一度この雰囲気に慣れてしまえばサクサクと楽しく読める。キランのユーモアのセンスが光っていて、私は結構気に入った。どちらかというとアクの強い小説なので、好き嫌いがはっきり分かれそう。