停電の夜に (新潮クレスト・ブックス)

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制作 : Jhumpa Lahiri  小川 高義 
  • 新潮社 (2000年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900199

停電の夜に (新潮クレスト・ブックス)の感想・レビュー・書評

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  • インドとイギリスやアメリカの距離に相似するようにして、家族間、夫婦間の心の距離が丁寧に描写されている。言葉の端々から感じる、作者自身の、その距離へのいとしさ。読後感が格別に良い。暗闇の中でさぐる境界線と、知ってはならなかったなにかの存在を、泣き笑いともつかない表情で見つめている登場人物たち。読者もきっと同じ表情をして、人間という存在をいつくしんでいくのではなかろうか。
    原題がA Temporary Matterである表題作には、特に心をつかまれた。決して”一時的”では済まないようなバウンダリーの危機の描かれ方、こまごまとした風景のひとつひとつが作り出す世界の調和が素晴らしいし、何より題名の語の選択がにくい。『ピルサダさんが食事に来たころ』に登場するキャンディーの少女の淡い記憶、『神の恵みの家』で発掘されるキリスト像、『病気の通訳』で交わされる、丁度良い距離感での会話に、飛んでゆく紙切れ。そんな、言葉にされない些細でどきどきする秘密が、短編全体に流れる寄せては返す人との距離を象徴しているように思う。
    ハッピーエンドと言えるエンディングは少ない。しかしなにか読者に慰みとなるような光の粒が、見ず知らずの土地の空気にちらつくのが、見える。それが幸せなのだ。
    無性にこの本を読んだだれかと、暗闇の中で語り明かしたくなった。見えないけれどおんなじ顔をして、ふっと溜息をつきながら。

  • 今年のマイベスト小説

    人間はこんなにも悲しみと切なさに満ちあふれているんだな、としみじみ思いました。

    切り取られた場面は、どれも何気ない日常なのに。

    それでいて、読み終わった後
    自分の周りの景色が少し変わったような気がします。

    既婚者におすすめ

  • いわゆる「叢書」という括りでみたときに新潮クレスト・ブックスは飛びぬけてイカス。センスの良さ、嗅覚の良さが他と比較にならない。本当に本が大好きで大好きでしょうがないという語学堪能な人間をバイヤーとして世界中に飛ばしているのだろうか、、。短編集では個人的にサリンジャーのナインストーリーズより優れていると思う。エスプリでも負けていない。よく出来たシチューのように一つ一つの素材が全体の調和を作っているし、全体が個を殺していない。文字で物事を表現する上で99.99%の人間が決して越えられない壁をあっさりと越えてしまう才能が稀にあるが、ここにそれが、ある。翻訳を通してさえそれがうかがえる。訳者の力量も相当なものだけど。暖かく、やさしく、やわらか。世に蔓延する意味のわからない「癒し」というカルチャーが本当にあるとするのならばこういうものを指して言うべきだ。

  • インド人の両親を持ちロンドン生まれアメリカ育ちの女性作家の短編集。良かった! 新人にしてピュリツァー賞を取ったり他にも色んな賞を取っていて、読む前はちょっと構えてしまってたんだけど。というのは、最近物々しい「受賞作」でわたし的には大外れってのが多かったもんで; でもこれは額面通りに良かったなぁ。単調な日常を淡々と描写する、というどっちかというとわたしの苦手なストーリー立てなんだけど、文章の肌触りがなんとはなしに気持ちよくて、ちょっとほろ苦くて、、訳文でなくて原著が読めたらもっといいんだろなぁ、と久し振りに思いました。余韻。。。

  • インドの人々をやさしくあたたかくコミカルに描いた、
    不思議な魅力のある短編集。
    洋書も購入。さっそく読んでいるところです。

  •  +++
     ろうそくの灯されたキッチンで、停電の夜ごと、
     秘密を打ちあけあう若い夫婦。
     病院での通訳を本業とするタクシー運転手の、ささやかな「意訳」。
     ボストンとカルカッタ、はるかな二都を舞台に、
     遠近法どおりにはゆかないひとの心を、細密画さながらの筆致で描きだす。
     ピュリツァー賞、O・ヘンリー賞、PEN/ヘミングウェイ賞ほか独占。
     インド系新人作家の鮮烈なデビュー短編集。
                         (単行本見返しより)
    +++

     「言えなかったこと。
     言ってはいけないこと。」

    と、裏表紙にはある。
    近しい関係にあっても遠く感じること、言えないこと、言わなかったこと、言ってはいけないこと、言わなければいけなかったことは、おそらく誰にでもあるだろう。
    ラヒリの描く世界は、インド系の移民であるということを脇においては語れない事々だと思う。そして同時に、どこの国でも、どんな境遇の人々にも当てはまることでもあるのだ。
    生きていくということは、予想通りになることや、理想的であることとは対極にあって、哀しみや苦しみ、不条理に溢れているが、そんな中にあっても、胸を熱くすることに囲まれてもいるのだ、という想いがじんわりと染みてくるようだ。

  • ごちゃ混ぜのスパイスとかのにおい。
    短編集。
    異国の風景と、変わっていく関係性とか、
    私の中にはあまりないものが多かった。
    読むのに時間がかかった。
    そのわり、あんまり読めたと思わない。
    まだ早かったかな、読むの・・・。
    ツアーガイドの話、最後の話(老女に部屋を借りる話)、良かった。

  • 久々に手に取りました。
    インド系、女性等々、色んな意味でのアウトサイダーの視点から残酷でもあり、優しくもある話が本当に小声で語られるよう。文章が上手いんだろうな、きっと。
    他の作品も読んでみたくなったなぁ、この作家の。

  • デビュー短編集。
    停電の夜に
    ピルザダさんが食事に来たころ
    病気の通訳
    本物の門番
    セクシー
    セン夫人の家
    神の恵みの家
    ビビ・ハルダーの治療
    三度目で最後の大陸

  • インドが中心の短編集
    ゆったりとした普通の日々が書かれている。
    全編を通してどこかせつない。
    一番好きなのは「三度目で最後の大陸」。これが一番最後でよかったと思う。
    気持ちが鎮まるお話。

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