ウォーターランド (新潮クレスト・ブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900298

感想・レビュー・書評

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  • 梨木香歩のエッセイ『水辺にて』で触れられていたので読んでみた。治水、土地の歴史と家族の歴史、集団と個人、人はどこから来るのか――といったテーマが、梨木香歩作品と共通していて、とくに『沼地のある森を抜けて』の謎が少し解けて収穫が多かった。『百年の孤独』にも似たものを感じる。幽霊も魔女も、噂話としてしか出てこないのに、どこか幻想的でおとぎ話めいている。単純な因果関係を指摘するだけの物語ではないけれど、やっぱり各世代に表出した狂気は、自然との戦い(干拓)や戦争と無関係ではなく、アトキンソン家やクリック家に限られたものではないように思う。色々な視点から読むことができそうな、奥の深い作品。絶版になっているのが残念。

  • ディックのディックの父さんの。
    セアラ・アトキンソンの。
    ブライスの。
    メアリの。
    ウーズ川の。
    ヘンリー・クリックの。

    物語はほんとの物語として私の前に立ち現れてきたきがしました。
    沼沢地帯の真ん中の物語。
    ディックはほんとうは誰のこどもだったのか。
    真実はわからないかも。

  • この本を読むきっかけになったのは、『ノーラン・ヴァリエーションズ クリストファー・ノーランの映画術』でノーラン監督がこの本を読んでいたため、興味を持ったから(他にもたくさんの映画や本について出てくる)。

    ノーラン監督の『メメント』
    あの映画も結果が先にきて、ややこしかったな。
    こういった本の影響があるらしい。
    『テネット』もややこしかったし…



    この小説は映画にもなっている(もちろん、ノーラン監督ではない)けど、配信はなし。残念(『秘密』というタイトルで、イーサン・ホークが出演している)


    歴史の教師トム・クリックが、自分の妻や両親、祖父母、水郷、ビール、青春、事件などを過去の複数の地点を行ったり来たり前後しながら話が進む。

    最初から、事件の真相はわからないため、この話は関連があるのかな?とややイライラする。
    無関係な話を聞かされている気分だ。

    でも、読み進めていくうちにちょっとずつ繋がっていく。
    バラバラの過去を並び替えていくことになる。

    「なんで、こうなったの?」という欲求。
    いつまで遡れば 、原因が出てくるのか。

    トムの妻メアリーが赤ちゃんを誘拐したわけは?
    そこに至るまでには、過去へ過去へと遡る。



    どんな話だったっけ?とならないように、いくつかの断片だけ記録しておこう。
    間違ってるところもあるかも。
    斜め読みもしたから。




    メアリーは若い頃に妊娠、おろし、不妊に。
    精神がおかしくなって赤ちゃんを誘拐。

    トムの兄ディックは、あまり頭が良くない。
    手先は器用でバイクのメンテが好き。
    母親と祖父の近親相姦でできた子。(それをわからせたのはトム)
    それを知ったディックはラストで自殺。

    トムの祖先は、住んでいた地域が低地のため、水の氾濫の多い地域で、防波堤、水を逃す仕組みなどを作り反映してきた。

    ビールも反映した。ビールは禁止になり下降。

    火事で全焼したり、殴られてぼんやり長生きしたセアラの亡霊とか。

    最初は2つの金持ちと使用人、別々の家族の話に思えたけど、その2つの流れはトムの両親によって一つになる。

  • 長編小説「ウォーターランド」という名の箱に入り、その箱の中を跳ね返り跳弾するボールの軌道を読む。
    初めはその不規則な動きに翻弄され、足元はヘドロが溜まり身動きするのも困難である。
    しかし、ある所でそのボールの軌道を理解すると、そのボールが箱の大きさを計る役目を果たす事を知る。いつの間にかヘドロは排出され、その流れが海へと続く川の流れと変わり、その中へ深く潜っていく。

  • 解決すればいい、ってものじゃないのよ、の見本みたいなお話です。一族のルーツ、みたいな話、個人的に好き、ってのが大きいんだと思いますが。
    かなり厚めの本ですが、新潮クレスト・ブックス、軽いんで助かった。

  • あまりに長いので、実は何度か挫折しかけたが、
    会社の先輩の勧めということもあり、読み進めると、
    半分すぎたあたりから吸い込まれた。

    というより、私の生活、人生に絡まり始めたのだ。

    一家の何代にもわたる歴史が綴られているだけあってか、
    読んでいる間に私自身の環境にも変化があったり色々なことが起きていき、複雑に絡まり合う。

    沼のある湿地が舞台というのがすごくいい。

    沼のもつ得体のしれない不気味さが背景にちらついて、
    ストーリーの本筋ではないサスペンス要素も濃厚になる。


    外から見えている事実、明らかな事実がたしかにあったとしても、
    そこにいる人それぞれにとっての真実はまったく違う、ということが実はけっこうあるんじゃないかな。

  • 【すべてはお話、ただのお話…… (p322 l12)】<BR>
    [05.11.26]<t市

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