シェル・コレクター (新潮クレスト・ブックス)

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制作 : Anthony Doerr  岩本 正恵 
  • 新潮社 (2003年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900359

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シェル・コレクター (新潮クレスト・ブックス)の感想・レビュー・書評

  • ピンク色のわたあめとそのまわりにただよう非日常の高揚感といかがわしさと物悲しさを言葉でで表現できたらなと思ったことが昔あって

    縁日と移動遊園地の違いこそあれ、あの感じをうまく文章で掴んでくれてるな、と思う。

    孤独感や寂寥感を必ずしもネガティヴな感覚とは思ってはいない人たちのための短編集。

  • 貝を集める人 */ハンターの妻 ***/たくさんのチャンス */長いあいだ、これはグリセルダの物語だった **/七月四日 */世話係 **/もつれた糸/ムコンド ***

  • 若い作家なのに、この豊かな表現力はなんだ。
    人間の内面と自然をこんなに繊細に、イマジネーション豊かに
    描き出せる才能に驚嘆し、その世界観に浸った。
    そして、孤独な登場人物たちの心の動きに自分を寄り添わせていた。

  • ドーアは短編の名手だ。「すべての見えない光」より短編のほうが好きだ。アメリカではない様々な国を舞台にしているところ、表題作の貝や盲目の登場人物、叙情的な美しい描写など、ドーアのこだわりはこのデビュー作から今までずっと続いていくわけだ。

    「たくさんのチャンス」「ハンターの妻」あたりが気に入った。

  • この作者は、自然の摂理や人間の所作だけでなく、原子の構造や光の波長まで読み取れるのではないかと思える位に自然情景や人間の深層心理を的確に読み取り、且つそれを端的な言葉で綺麗に表現している。

    そして本作は氏のデビュー作だが、その完成度はとてもそのようには思えない。ましてや本作を上梓した時はまだ20歳代というのは驚いた。

    また本作では、農業、釣りや猟、標本採集、など同じテーマを扱っている作品が多いが、それを差し置いてでも私にはすべてがリンクしているように思えてならない。
    それはあとがきで訳者が解説しているように、自然への賛美と畏怖が全体を通して貫いているからだと私も思う。

    更には、それぞれのテーマや題材は異なっているのに、全体的には一つの中編小説に見えてくるものを、私はこれまで読んだことがない。

    自分で言うのの何だが、氏は間違いなく将来のノーベル賞作家になると思う。

  • 世界への見方。
    美しい自然描写とひとひねりあるストーリーで、デビュー作とは考えられない力作。最新長編の「すべての見えない光」も購入したので楽しみに読みたい。

  • みずみずしく細かな雪が風に煽られる時、きらきらとまたたくことがある。


    人の手や、ましてや科学の力でさえ絶対に及ばないもの。

    届かないもの。


    自然が生み出す一瞬を、Anthony Doerrは巧みに言葉で捉えている。


    ある人間たちの生き方を、時に厳しくそびえる山々から眺め、或いはぎりぎりのユーモアで風刺画さながらに描き、さらには思春期特有の痛みや危うさをもって愛や生命の意味を問う。

  • いろいろな国の自然の力強さと美しさを背景に、それを超えるかのような神秘的な作品が多かった。

  • 美しく静かな文章で、読後は少し切ない。
    短編で語られた人生の一節は、どれもきらりと光っている。誰の人生も、一部を切取られると輝きを放って見えるのだろうか。それとも、すべての人生はほのかにでもあれ、特殊な鉱石のように光を放っているのだろうか。アンソニードーアに書かれたこれらの物語は、凄惨な内容も含まれるが、静かで美しい文章により、心に染み入ってくる。

    裏表紙には『時間が止まる。息を詰め、そっと吐く。』と書かれている。まさに静かに時が流れ、心が揺れる読書体験が得られる。

  • この作者を知ったのは『すべての見えない光』でした。新しい著作から年代を遡って読んでいき、この作品に辿り着きました。どの短編もこの先どうなるのだろうという不安と期待が入り混じった状態で結末を迎えるのが私には心地よかったです。特に、「世話係」が素敵でした。

  • 貝を収集して暮らす、老いた学者の話。
    かつて厳しい自然のなかでともに暮らした妻と再会する話。
    生き別れていた姉がサーカス劇団で働いていた話。

    登場人物たちの心までは深く踏み込んでは描かれないけれど、その代わり、1冊を通して、自然の豊かさと厳しさ、それに翻弄される人間・家族の姿を、丁寧な筆致で描いています。
    筆者への自然への深い尊敬が感じられました。

    ーーーーーーーーーーー

    「二人とも自分ではどうすることもできない力にとらわれて生きていた・・・11月の風、地球の自転。」

    「力は弱さの中心に隠れていること、果てしなく深い穴の底に押し込まれていることを彼女は学びつつあった」

    「夢と覚醒、生者と死者は、ごく細い線で隔てられているだけ・・・」

    「美と喪失は同じものであり、それが世界を秩序づけていると妻はいった」

    「男は何から何まで違っており、謎めいた底なしの魅力があった。彼女は彼の外見の下に深く隠された何かを見抜いたにちがいない。他の僕らには、そこまで鋭く感じられない何かを」

    「・・・ささやかでも幸せになれることを探し続けた。なぜなら彼らはアメリカ人であり、そのように教えられて育ったからだ」

    「秩序、運、定め。自分が今ここにいる理由など、何の関係があるだろう。星はその星座で燃える。海の中では無数の生命が一刻一刻を生きている」

    「母さんの菜園はもっと・・・秩序があった」

    「彼の中には、もはや門はなく、もはや仕切りはない。これまでの人生で行ったことすべてが、体内で一つの水たまりになり、鈍く揺れてへりに打ち付けているように感じる」

    「あの日、道で目撃した彼女の野性が、どんなに彼を興奮させ、どんなに怖れさせたか、それを言葉にすることはできなかった」

    「だが、長く過ごすに連れて、彼女は博物館に苛立ちを感じるようになった。そこには成長しているものも、生きているものもなかった」

    「すでに彼は違う人間になっていた・・・発情した雄鹿のよう二、荒い息を吐き、沸き立つ生命に震えていた男ではなかった」

    「あの平原を繰り返し疾走し、生きる術を永遠に若い世代に伝えてきた動物にとって、100年など一瞬に過ぎないではないか」

  • 美しい。こういう作品に惹きつけられる感受性は保ちたい。

  • 日本で映画化したようで、観る前に読んでみました。
    他の作品も読んでみようと。

  • 貝類学者。短編集。O・ヘンリ賞。0906A

  • 貝殻を収集するという紀元前からの趣味を持つ私としては、シェル・コレクターという題名だけで本屋に注文してしまった。
    そうです。中身は知るよしもありませんでしたね。
    この装丁、書棚に並べるだけでもいいもんです。

    実はこの本は短編集で表題の小説も割合読みやすいです。
    アフリカの小島に暮らす年老いた貝類学者のストーリーです。
    マニアックな貝がたくさん出てくるので収集家はそれだけで満足してしまうでしょう。
    私もそうでした。
    この本は最初のシェル・コレクターだけ読んでも価値があります。
    読み進めながら夢想にふけり、主人公になった気分でした。
    星は5つ与えます。
    でも、貝に興味の無い方なら星は3つくらいかな???

  • たまには海外作家の作品でも読んで自分の知らない世界を見たい。
    そんな動機で手にした私にとって、この本は正解だった。
    アメリカ国内だけでも色々な土地が描かれるし、ケニア、リベリア、タンザニアなど様々な国を舞台に小説は書かれていた。
    自然の厳しさと大きさに気づかされる。
    登場人物は自然や運命に翻弄されるけれど、後味の悪くないラスト。

  • うまく言えないけれど、とてもいい短編集だった。

    なかでも、
    「ハンターの妻」、お姉さんと妹の話(タイトル喪失)、「ムコンド」は特に心に残った。

    どれも女性がたくましく、己の道を生きている。
    ステキだが、悲しく、強い。
    もしこんな女性がいたら、きっと強く惹かれるに違いない。

  • 新潮クレストブックス。

    自然との関わり合いを通じ、孤独や苦難から救いを見出していく短篇八篇。
    ‘たくさんのチャンス’に表題作、‘長いあいだ、これはグリセルダの物語だった’もよいけれど、
    フェイバレットは‘世話係’。

    光へ向かって歩んでいく。

  • 表題のシェルコレクターを始め、自然の中でおこる幻想的な出来事、といったテーマの短編が多かったが、なんとなく波長が合わなくて読書中に断念。

  • アメリカだけではなく、世界の様々な場所が舞台になっていて、そこにある自然の描写も非常に優れたもので、読んでいて吸い込まれていくようです。色の表現の豊かさにも驚かされます。
    登場人物は、変わった生い立ち(不運だったり、不幸だったり)や特殊な才能の持ち主が多く、どの人物も魅力的に描かれており、しかもそれにプラスして、私にとっては意想外な物語の展開の仕方なので、どの作品も本当に心地良く楽しむことができました。どの作品も、思うようにいかない人生を描いているのですが、救いがないわけでもない。これらの物語の主人公たちに私が惹かれる理由はそこにあるのだと思います。

  • 短編集。「世話係」はここ数年初読の短編の中で一番美しい短編かもしれない。

  • ムコンド が良かった。

  • 面白い海外小説が読みたいなと思ったら新潮クレスト。外れなし。
    表題になってる「貝を集める人」はもちろんよかったけど、ほかもどれも素晴らしかった。
    共通するのは自然と人間の関係を描いていること。人が人の力の及ばない何かと調和したときの喜びと切なさ。
    短く、潔いんだ、文章が。「マリガンの胸で熱く血がたぎる。リールが悲鳴をあげる。魚は跳ねる。」みたいな。

    訳者あとがきより。
    「ケニアの海の輝きや、冬眠するクマのにおいまで感じられる簡潔で美しい文章、二転三転する意外な展開--どの作品にも短編小説の喜びが凝縮され、読み終えたあとも、幸せな驚きがいつまでも心に残ります。
    いずれの作品も完成度が高く、まるで熟練作家のような印象さえ受けますが、驚いたことに、じつはまだ20代の新人作家が書いたmのです。
    作品の舞台は世界各地にわたり、主人公も14歳の少女から、60歳を過ぎた学者までさまざまです。まるで神話のような超自然的な力に支配されている作品もあれば、楽しいほら話もあります。
    このように多彩な作品が収められていますが、すべてに共通しているのは、自然への畏怖の念です。自然には人間の理性がおよばない巨大な力と美しさがあり、そのなかでは人間は小さく無力な存在でしかないという認識が全体を貫いています。」

  • 見方によると寂しい、孤独を感じる物語だけど
    最後には開放感やすがすがしさがあって、その空気感は心地いいと思う。

  • すばらしい読書体験(トリップ)だった! 珠玉の短編集
    静かで控えめではあるが、詩情豊かで透明感のある文章に、呼吸をぴったり合わせていくと、みるみるうちに五感が刺激されて、目の前にその世界が立ち上がってくる。

    リアリスティックなのに幻想的な描写。
    繊細で静かに展開する、衝撃的でダイナミックなストーリー。
    そのバランスにクラクラするも、力を抜いて身をまかせてみる。

    まるで体感しているような、鳥肌が立つような、幸せな読書でした。

    一篇を読み終えると、じんわりとその余韻に浸っているのが気持ちよく、次のストーリーを読み始めるのがもったいない。
    でも、また早く次のストーリーでトリップしたい、早る気持ちもあるのです。
    全てのストーリーを読み終えてしまうのがもったいなくて、大事に大事に読みました。

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シェル・コレクター (新潮クレスト・ブックス)の作品紹介

ケニア沖の孤島でひとり貝を拾い、静かに暮らす盲目の老貝類学者。だが、迷い込んできた女性の病を偶然貝で癒してしまったために、人々が島に押し寄せて…。死者の甘美な記憶を、生者へと媒介する能力を持つ女性を妻としたハンター。引っ越しした海辺の町で、二度と会うことのない少年に出会った少女…。淡々とした筆致で、美しい自然と、孤独ではあっても希望と可能性を忘れない人間の姿を鮮やかに切り取った「心に沁みいる」全八篇。「ハンターの妻」でO・ヘンリー賞を受賞するなど、各賞を受賞した新鋭によるデビュー短篇集。

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