遺失物管理所 (新潮クレスト・ブックス)

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制作 : 松永 美穂 
  • 新潮社 (2005年1月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900441

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遺失物管理所 (新潮クレスト・ブックス)の感想・レビュー・書評

  • 初レンツ本です。クレスト・ブックスで翻訳が独文の松永さんといえば、もうそれだけで信頼してしまいます(笑)。装丁も素敵で、ただ飾っておくだけでもいい(笑)。

    鉄道会社の遺失物管理所(「忘れ物センター」よりもごつくていい響きです)に仕事を得たヘンリーと、その同僚たちの物語です。題名からは窓際職場の重い空気の作品を想像したりもしましたが、ぱらぱらっとめくった他のレンツ作品よりも軽やかな作品だと思います。主人公のヘンリーは天然キャラの、明るい雰囲気を持った青年。自分の将来などはあんまり深刻に考えていないようでもあるけれど、日々きちんと仕事をこなしています。でも、それは他の同僚の「きちんとやる」とはちょっと外れたところなんですけど…軽やかに楽しそうです。ダンナがいる同僚の女性(もちろん年上だ)に「好きです」とか直球で言ってみたり。私の中のゲルマン民族とはちょっと遠いキャラクター造形のラブリーさで、思わずくすくす笑ってしまいます。

    もう一人、遺失物のつながりでヘンリーと友人づきあいをするようになるフェードルという数学者が登場しますが、彼のエピソードはきらきらしているようで幕切れがなんだか切ないです。隠れた悪意が表に出る瞬間の鋭さを感じてしまいます。

    とらえどころのない群像劇のように話が進むので、ストロングな作風を好まれるかたにはいまひとつかもしれませんが、私はこの軽やかで、静けさを感じさせる作風も嫌いではないのでこの☆の数です。

  • 題名がいい。新潮のクレストブックはどれも装丁がいいよなあ。その名の通り鉄道での忘れ物を管理している所で働いている青年が主人公。ちょっと予想してたのとは違った話だったけど、これはこれでよい。遺失物をめぐるミステリーみたいな感じかと思っていたのだが。どちらかというと人間関係、どう関わりあっていくかってとこか。丁寧な数学者の「刺さった矢は抜けるけど、言葉は永遠に突き刺さったままだ」という言葉が印象的。そんな言葉を二度と使わずにいられたらいいのだけれど。

  • ドイツ鉄道のターミナル駅の遺失物管理所が舞台ということで、人間模様が交錯する様子がとても面白い。
    ただし、物語全体としては面白かったけれど、主人公のヘンリーの無邪気すぎるがゆえの邪悪さに、神経を逆なでされるようだった。自分の周りにはいて欲しくない。

  • ドイツの鉄道の遺失物保管所では、大切なものを無くした人が飛び込んできたり、自分のだと証明するために一苦労したり、モノと人とが交錯する。
    最初は苛立ったくらいに子どもっぽい主人公のヘンリーは楽しみながらいろんな課題を解いて行く。彼はどうしようもなく考えなしで子どもっぽく、残酷なほど大人の常識を踏み倒す。けれど、大人の常識として、猜疑、差別などを飲み込むことができない。「大切な友人」だと思っていた人を傷つけられて、今まで自分ごとだったので放っておいたことに、爆発的な怒り、理不尽な大人の矛盾に盾を突く。けれど、彼はヒーローになりたいわけでも義憤にかられたわけでもなく、ただ、許せなかっただけで、彼は何一つとして変わらない。

    個人的には、白人同士の差別というのが新鮮で、同時に気分が悪くなりました。

  • 北ドイツの大きな駅の遺失物管理所に派遣された青年。様々な人間が様々な置物、忘れ物を訪ねにやってくる。街の有力者と縁続きのこの青年は生来のお坊っちゃんで、職務規定や服務規程を正しく理解せずに、訪ねてくる人達と常識はずれのかけあいをやらかす。口答えせず上司や同僚の言うこと聞けよ!と思いつつ、こういう幼いところ、自分にもまだ残っていて嫌になる。駅員さんの物語ではなく、遺失物管理所という設定がミソ。持ち主を特定するために、お客に対して唯一強い態度に出られる場所だから。そんな処にいたら、謙虚さなんて育たないよ。

  • 鉄道の遺失物管理所にやってきた一人のやる気のない青年を巡る話。
    ゆるい話。
    悪事を見ても、通報しないで、様子を見ているゆるい青年。
    青年の姉、客として知り合った外国人教授、年老いた同僚、結婚していても気になる女性同僚とせまい範囲で物語が進む、外国の本にありがちな淡々とした話。
    人それぞれ、大切に思うものが違うということを伝えたいのかな?

  • 鉄道の遺失物管理所を舞台にした物語。

    乗客が忘れた色々なものが届けられるのはどこの国でもいっしょ。

    ただせっかくの面白い題材なのにあまり盛り上がらない。残念。

  • ヘンリーとフェードルの友情が良かった。いい場面、なごむ場面が多い。

  • 序盤の僧服の短いくだりでヘンリーに苦手意識を持ってしまいました。
    クリスチャンではないのですが、人の生活と宗教は密接に関係していると日頃から考えています。キリスト教信者は仏教徒、とりわけ日本人とは違って毎週教会に通うほど熱心な人が多いということも聞いたことがあります。
    だからでしょうか、ああも笑いのタネにしてもいいのだろうかと思ってしまったのです。物語りだからとは思います。もしかしたら、ドイツ人渾身のギャグかもとも考えましたが、どうしても納得ができない。
    モヤモヤとしたものを抱えながら読み進めていったが、やはり最後までヘンリーに抱いてしまった軽薄な人間という印象は消えずに読み終わってしまった。
    はたして私は神経質なのでしょうかね。

  • タイトルと、その設定がいいね。
    遺失物管理所…
    惹かれるじゃない。

    にしては、遺失物管理所としての仕事が主に進んでいくでもなく、そこで関わる人達との物語が中心なのかな。小さい出来事や事件がポンポンと、次から次ぎへと起こって、それが、けっこうあっさり次から次ぎへと流れていった印象。
    登場人物も、わりかし交換が持てたし、面白かったと思うけど、なんとなくあっさりし過ぎてたかな、と思った。

  • ワークショップ「記憶を探る」:“本日の一冊”本

  • ドイツ連邦鉄道の忘れもの管理所。そこに新しく配属された
    青年ヘンリーと彼の友人・同僚たちの物語。

    劇的なストーリーはないけれど、忘れ物は様々な物語を生み出す。

  • くどくど説明されたわけでもなく、登場人物一人一人の良さがちゃんとわかって情がうつる。雰囲気も好きだし、空回りしている主人公もうっとうしいんだけど、愛せる。
    けれど、大きな話の軸があるわけじゃないから、すこし物足りなかった。

  • 装丁はすてき.人生を物語化しなくてもそれなりに幸せにやっていけますよ,という楽観性をたたえたストーリー.多くの人間にとって物語化は理不尽な人生に意味を見出すための悲痛な試みなんじゃないか.それを簡単に無目的にやってても大丈夫と安請け合いされてもいらいらするところはある.またそういくことを言うなら,徘徊する老人を世話しながら自身も卒中に倒れてしまう同僚や,いわれない差別に心を痛めるバシュキール人の数学者にこそ,もっと描写を尽くすべきではないのか.特に同僚の扱いはかなりぞんざいだと思う.卒中になってめでたしめでたしみたいなひどい扱い.ただ,77歳になってこの楽観性に至るのであれば長生きしてみようという気にはなる.

  • 遺失物管理所という、一種の窓際族があつまるような場所で、楽しそうに働くヘンリーは、実は大財閥の御曹司・・・。なんか風来坊だけど実は将軍様というような構図にもみえて心温まるストーリーだけど驚きはなかったな。

  • [ 内容 ]
    婚約指輪を列車のなかに忘れた若い女性があれば、大道芸に使うナイフを忘れた旅芸人がいる。
    入れ歯が、僧服が、そして現金を縫い込まれた不審な人形が見つかる。
    舞台は北ドイツの大きな駅の遺失物管理所。
    巨匠レンツが、温かく繊細な筆致で数々の人間ドラマを描き出す、待望の新作長篇。

    [ 目次 ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ドイツの鉄道遺失物管理所に配属されたヘンリー。
    軽いが仲間思いの彼が繰り広げる日々。

    海外の作品で感じる文化のズレを強く感じた。
    何故ここで満足の笑みを浮かべたのか?
    何故怒り、どこに好感を持ったのか?
    解らないことが多すぎた。
    私にはまだ早かった?
    その中において、ヘンリーとラグーティンには好感を抱いたし、アルベルトのいたわりに心が温かくなった。
    でも、総合的には消化不良です。

  • 電車での忘れ物を預かる部署の悲喜怒こもごも。
    主人公の行動言動、少々鼻につく。
    解説によればこの作家にしてはユーモアがあるらしいんだが、暗い。

  • 主人公ヘンリー・ネフの造形が見事。

  • 主人公のヘンリーとラグーティンの姉を挟んだ関係、そして時折見えるドイツの姿がよかった。

  • ラジオドラマの雰囲気が好きで読んでみたんだけど、うーん…私には合わなかったな…珍しく挫折しました。

  • タイトルと表紙に魅かれて読んだが、想像していた話と違った。
    もっと物にまつわる話を期待していたんだけど・・・。

  • 「自己実現」や「自分探し」などという言葉の対極にあるような主人公の生き方が微笑ましい。遺失物に込められたエピソードも必見。

  • とってもとってもあったかい

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婚約指輪を列車のなかに忘れた若い女性があれば、大道芸に使うナイフを忘れた旅芸人がいる。入れ歯が、僧服が、そして現金を縫い込まれた不審な人形が見つかる。舞台は北ドイツの大きな駅の遺失物管理所。巨匠レンツが、温かく繊細な筆致で数々の人間ドラマを描き出す、待望の新作長篇。

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