ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)

  • 259人登録
  • 3.64評価
    • (19)
    • (35)
    • (45)
    • (6)
    • (0)
  • 50レビュー
制作 : Philippe Grimbert  野崎 歓 
  • 新潮社 (2005年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900519

ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)の感想・レビュー・書評

  • 2017.09.15 図書館

  • 戦時下のフランス。ユダヤ人の迫害。
    残された家族の秘密。

  • 抑制された静かな語り口が、家族に起こった悲劇的な秘密を「ある出来事」として冷静に綴っている。

  • 家族の秘密を知ることで、その背景にある戦争、ユダヤ人への迫害という歴史的事実にも向き合うこととなる少年(著者自身)の物語。
    両親側から物語を考えてみるのも面白い。彼が精神科医になったように、過去が未来に連鎖しているのだと思う。
    この本が、また新たな未来の連鎖のきっかけになっていることを願う。

  • 親の理想に近づけない主人公。主人公には、想像上の兄がいた。でも、その想像上の兄は実際に存在していた。家族の秘密として。

    魅力的な親戚の義姉に惹かれる主人公の父に対して、母はなすすべもなく、父が一番大切にしているものを壊してしまう。

    人の復讐って、一番大切なものを壊すこと。そこに悲劇が生まれるのだけれども、復讐心は子供への愛情に勝るのだろうか?きっと、無理心中なども一緒なんだろうけど、そこに自分なりの論理を引っ付けて、正当化するのだと思う。

    最後の方で、主人公は親と対峙するのだけれど、自分も知っているという秘密を明かすことで、主人公はより成長していくことになる。

    秘密はわだかまりになる。わだかまりは、互いに共有し、解消しなければ成長しないのだろうと思った。

  • 罪悪感が何重にも重なって、秘密になっていく。子どものささやかな想像に過ぎなかったものが実体となり、知らずにいた過去が紐解かれる。
    秘密は、家族のものだけではなく、フランスの秘密でもあるのでは。

  • 中高の図書館で見つけた。カウンターでの当番中、夢中になって読み進めた思い出深い本。主人公フランソワと対照的な理想の兄が、シモンという名前をもって存在していたということは静かな衝撃だった。大人たちの関係は、単純に善悪で二分できない。秘密を探るというのは、時として非常に重々しい気分だけを残していってしまうと思った。

  • 戦禍を記憶する世代(少なくても先進国で)が減っていくのは、時間が流れる以上、避けられないのかもしれないけど。
    その風化を止める役割を担う小説が絶えず出てくるという事実が、同世代の作家への信頼につながっている気がする。
    戦下でも、私たちと同じように日々の感情を持って生きた人たちがいることを伝えてくれるお話でした。

  • 物語が重すぎて何度も中断しながら読みました。安全地帯まであと一歩という所でアンナがとった自暴自棄としか思えない行動が、頭を離れません。

    著者が生きることを後ろめたく感じてしまうほど、衝撃的だった両親の秘密。隠された過去を引きずり出して一冊の本を書き上げるまでには、相当な勇気と覚悟が必要だったのではないかと思います。思春期に秘密を知った後も萎縮せず、本書を発表するに至った著者の心の強さに感動しました。

  • ・読み終わってから表紙の写真をみなおすと、何とも切ない。
    ・写真は一瞬『楽園への歩み』かと思った。
    ・描かれる恋愛にいまひとつ寄り添うことができない。『あ・うん』のような忍ぶ恋の方が読んでいて面白いと思う…というのは本書のテーマと全く関係ないところにある感想。

  • 淡々と進んでいく。

    生きてても惨めだとおもったのかなぁ。子どもも道連れにしたのは、子どもまで奪われるのが嫌だったからか。後悔しなかったんだろうか、怖かったろうに。

  • ひ弱な少年は想像上の兄と遊んでいた。
    そんなある日、何かをずっと隠していると感じていた両親の秘密、
    実は本物の兄がいることを知る・・・

    たんたんとした語りで少年が知り、紡いでいく両親の物語。
    それは少年を強くし、成長させ、大人にしていく。

    そして最後。
    物語を完成させた少年と両親のラストシーンは
    心の琴線に優しく触れることでしょう。

  • 「秘密」はほとんど最後まで明かされず、そして最後に衝撃を受けました。

  • 2004年にフランスで「高校生の選ぶゴンクール賞」に選ばれた作品なのだが、フランス高校生の読書力・目のつけどころの良さに脱帽する。日本の高校生もこんな作品読んだりするのかしら? まるで教科書をなぞるだけのように感じていた歴史の一部分が、実は自分の歴史の一部でもある。

  • 『読書教育』の読後からずっと読みたいと思っていた一冊。
    フランスの高校生が選ぶゴンクール賞受賞。

    主人公は、やせっぽちで顔色が病人のように青白い男の子。
    鍛えられた父親マキシムと飛び込みをするスポーツウーマンの母タニヤから生まれたとは思えない。
    父が自分をみるまなざしの中に、失望の影を感じ取り、心の支えとして想像上の兄を作り上げる。
    しかし、兄はほんとうにいたのだ。

    父と母の思い出話は作り上げられたもので、15歳になったある日、事情をよく知るルイーズからすべてを聞かされる。
    そこにあったのはユダヤ人迫害によって運命が変えられた家族たちの秘密。

    文章が淡々としていてぶっきらぼうのようだが、フランス映画を思い出した。
    独特の世界観がユダヤ迫害と不倫の事実をいっそう悲劇的に表している。この世界を高校生が理解しているのだとしたら、フランス人の高校生の文学理解には脱帽。


    「人の話をきくのがあんなに得意だったルイーズの存在が、扉を開いてくれたおかげで、ぼくは幻を消散させ、自分の物語を取り戻すことができたのだ。自分の立場がぼくにはわかっていた。両肩にのしかかっていた重荷から解放されたことで、ぼくは新たな力を得た。それと同じことを、じぶんのもとにやってくる人たちにしてあげよう。その最初の相手が父さんいなるとは、当時はまだ知らなかったのだけれども。P139」

  • ひとりっ子だった病弱の「ぼく」には、空想上の「兄」がいた。
    やがて「ぼく」は知ることになる。「兄」が実際にかつてはこの世に「いた」ことを。

    1950年代のパリを舞台に、密やかに語られる、静かな物語である。美しいが、どこか硬質で、手が届きそうで届かない。モノクローナルの写真を思い出させる。

    頑健な身体を持つ両親に比べ、ひ弱である自分に引け目があった「ぼく」は、幼い頃からずっと、両親の、特に父の心の中に、自分以外の存在があることを感じていた。
    ある日、学校で起きたある事件をきっかけに、少年の「ぼく」は、「兄」にまつわる両親の「秘密」を知っていくことになる。両親自身の口からでなく、ごく近しいつきあいの女性の語りによって。
    そして「ぼく」は若き日の両親が辿った道を見据え、再構成していく。戦争の巨悪と分かちがたく絡み合った両親の「秘密」を。
    それはつらく、しかし少年がこの先の人生を確たる足取りで歩くために必要な道でもあった。
    著者の自伝的小説である。

    タイトルは”Un secret”と単数形の「秘密」なのだが、実際には、多くの秘密が入り交じっているようでもある。両親が一番秘密にしておきたかったのは何なのだろうか。改姓なのか。背徳なのか。葬り去られた命なのか。巨悪が命を奪うことをどこかでわかっていながら止められなかった後ろめたさか。
    それらすべてが混じり合う、大きくぼんやりした輪郭を持つ、「罪悪感」なのか。

    物語は終始、「ぼく」の目から語られ、両親の直接の証言はない。
    個人的には、そこがこの物語の強さでもあり、弱さでもあるように思う。
    本作は、「高校生が選ぶゴンクール賞」を受賞している(ゴンクール賞は1903年に創設されたフランスの権威ある文学賞だが、1988年、その高校生バージョンが作られた)。
    ある意味、この物語は両親の庇護から抜けて自立していこうとする思春期の少年の物語でもあるわけで、若い人に支持されたのはさもありなんという感じがする。
    だが、父親が最後に取った悲劇的な選択を知るにつけ、両親が語る物語はまた違ったものになりえたのではないかとも思うのだ。たとえそれが、心の傷の深さから容易に語りえないものであったとしても。
    子どもを持つ身からすると、少年が再構成した物語とは微妙に違うであろう視点の物語もまた聞きたかったと思う。

    原文も美しいのだろうが、訳文の美しさにもまた敬意を表したい。

  • フランスにおけるユダヤ人迫害を知らされずに育った作者の自叙伝。「サラの鍵」あわせて読みたい一冊。

  •  読み終えた。
     素晴らしかった。自分の物語を取り戻して、少年は成長する。全篇きんと冴え渡っていて、作者の言葉がクリアに響いてくる。「残ったのは骨の部分だけでした。結局、それだけが必要だったのです」

  • 序盤はかなり面白かったんだけど、短文を並べてるかんじなので、なかなか流れに乗れなかった。後半はアウシュビッツなどの話になって、空想より事実が多くなって物足りなかった。

  • 過不足ないというのが読み終わった印象。
    アメリカの想像力旺盛な小説ばっかり読んでると、こういうのにたまにやられてしまう。たんたんとした語り口にのせられて、リアルさはかなりのものがある。ピークに達する。個人的なもの、ユダヤ系の話を超えて、普遍性があった。これは僕らの物語でもあるということです。

  • 兄弟ほしい人は兄弟いる人の感情をわからず。
    兄弟いる人は兄弟ほしい人の感情をわからず。

  • ユダヤ人迫害をテーマにした本や映画は色々あるけど、
    それぞれの作品に違った内容が描かれていて、
    初めて知るようなことも多くて勉強になるなー、と感じた。

  • ML 2011.4.30-20115.7

  • 人の心にさざなみが立つとき、それは静かに、そして次第に大きくなる。そして、その人自身がそのうねっていく大きな波にもまれていくことに気がつく。そして気がついたときには波に呑まれていることもある。語らないこと、秘密であることは、自分が生きていかなければならないとき、必要なこと。その一方で、知らなければならない、という必然もそこにはある。

  • 人の心にさざなみが立つとき、それは静かに、そして次第に大きくなる。そして、その人自身がそのうねっていく大きな波にもまれていくことに気がつく。そして気がついたときには波に呑まれていることもある。語らないこと、秘密であることは、自分が生きていかなければならないとき、必要なこと。その一方で、知らなければならない、という必然もそこにはある。

全50件中 1 - 25件を表示

ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)に関連する談話室の質問

ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)に関連するまとめ

ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)を本棚に「積読」で登録しているひと

ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)の作品紹介

父さんと母さんは何か隠してる…。ひとりっ子で病弱なぼくは、想像上の兄を作って遊んでいたが、ある日、屋根裏部屋で、かつて本当の兄が存在していた形跡を見つける。1950年代のパリを舞台にした自伝的長篇。

ツイートする