ナンバー9ドリーム (新潮クレスト・ブックス)

  • 新潮社
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本棚登録 : 135
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (558ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900595

感想・レビュー・書評

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  • 女性のマイナーなパーツに対する偏愛とか悪役二人組とか初期ハルキ・ムラカミにもほどがあるだろうとあきれてしまったのだが、本書には80年代的洗練はなくよく言えばエネルギッシュで悪く言えばがさがさと騒々しい。だったらハルキ・ムラカミを読みますね、という気持ちになったのはわたしが古い村上春樹読者だからであり、そこが気にならなければ面白いかもしれない。力作なのかもしれないけれども「書いてみました」に付き合っている余裕がこちらになかった。

    主人公が少年ジャンプの主人公のように異様にまっとうなので、では少年ジャンプで描いてはどうかというね... 感情移入読みをしたらおもしろいのかもしれない。

  • 何かの折にハードカバーで購入し、そのままずっと10年以上、本棚の隅に放置していた本。長いこと手を出さなかった理由はただ一つ、分厚い。最終章まで550ページある。「さぁ読むぞ」という気合がないと、なかなか1ページ目を繰ることができない。
    厚さそのものから言えば京極夏彦ほどではないが、京極夏彦は「妖怪」という確たるテーマがあり、そのうえ会話のやり取りで展開する場所が多いので、読んでてそこまで負荷は感じない。
    一方で、この作品は9章それぞれに違うストーリーが展開していて、ごく普通(に見える)小説もあればSFのような話もあり、急にミステリになったかと思えば、数章前のミステリ調のストーリーの時に出てきた登場人物を使って今度は暴力と殺人をテーマにした章が始まる、という感じで、ストーリーとしての一貫性がない。ただ、読み終えてみると「この一貫性の無さが、この著者の強みであり、この著者がこの作品で出したかったストーリーなんだな」というのが分かる。

    なので、端的に言うと「小説家が縦横無尽に張り巡らした妄想と言葉遊びによる混沌とした作品世界」を楽しみたい、そういうジャンルの作品を楽しめる、という人には向いているし、そういう雲を掴むような架空の中の虚構の世界を読んでると頭が痛くなる、という人は読まない方がいい、という作品。自分は後者なので、この本は合わなかった。

  • 詠爾は島を出た。東京の混沌に、まだ見ぬ父を探すため。新宿の高層ビル群に惑い、たぐり寄せては切れる細い糸に絶望し、ふとした出会いに心ときめかせる―。饒舌にして錯綜した彼の語りの果てに明かされるのは双子の姉の死、心を病む母の存在。果たして詠爾は、父と巡りあえるのか?イギリス若手作家ベスト20選出、ブッカー賞連続最終候補の気鋭が放つ、疾走と裏切り、思慕と夢幻の物語。哀切なるこの世界に捧げる鎮魂の歌。

  • 図書館で。
    面白くないわけではなさそうなんだけど…
    ものすごい時間があるときに、ゆっくり贅沢に読みたい感じのお話だな~と思いました。一回に数ページとかそういう速度で。

  • 『詠爾は島を出た。東京の混沌にまだ見ぬ父を捜すため。やがて明らかになる双子の姉の死、心を病む母の存在-。ハルキ・ムラカミやジョン・レノンへのオマージュに溢れた、疾走と喪失、そして再生の物語。』

  • ハルキ・ムラカミのオマージュ的作品らしいが、感じることが出来なかった。
    むしろドラゴンっぽい荒々しさ。読み方が悪いのか。
    というか、訳者の方が比較に出されてる「ノルウェイの森」の記憶が薄い…。
    久しぶりに読み返すべきか。あまり好きくないのやけど。
    そして裏表紙には「ねじまき鳥クロニクル」の文字が。そっちは好き。
    そもそも「クラウド・アトラス」が読みたいのだった。

  • とりあえず構造が凝ってて楽しい。本筋とは別の筋が交互に挿入されてて、9つに分かれた章がそれぞれ別の物語とクロスしてる。妄想、過去、仮想現実、夢などなどバラエティー豊かなお話が、本筋から違和感なく突入していったりするので、たまに騙されたりしつつも、次はどんな感じで来るのかが楽しみになったりする。

    もう一つ特徴的なのが、文が短いこと。短い文で情景と心情を交えつつテンポ良く語られてるので、ぐいぐい読めてずんずん引き込まれる。引き込まれたあげくに物語的には何も進まなかったりするけど、残りのページはどんどん減ってく。舞台が日本なので情景を理解しやすいってのもある。

    そんなスタイリッシュな形式の中で語られるのは、父ちゃん探しっていう凄くシンプルな話。目的はシンプルだけど、あまりにも普通じゃない難問が次々と襲いかかってきたりして、あまりにも普通ので頼りない少年が、それをほとんど偶然に乗りこえていったりする。

    世の中、複雑なように見えて実はシンプルで、何かいろいろ大変だったりするけど最終的に何とかなるじゃんって感じ。最後の章だけはちょっと何とかならないかもだけど。色んな意味で。

  • 見かけたら皆さん即買いレベルの厨2病的な怪書。
    カズオ・イシグロと村上春樹とハーラン・エリスンを捏ねて固めたらこんなんなりました的な感じ。

  • 90年代が好きな人へ/1章終わったあとのやられた感

  • 久しぶりに改行の無いページがある本を読みました。
    最近ライトノベルが続いていたので
    刺激が強すぎました。

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著者プロフィール

1969年イギリス生まれ。英語圏で最も注目されている作家の一人。本作のほか、おもな長篇に『ナンバー9ドリーム』『ブラック・スワン・グリーン』『ヤコブ・デ・ゾートの千の秋』など。

「2015年 『出島の千の秋 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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