最終目的地 (新潮クレスト・ブックス)

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制作 : Peter Cameron  岩本 正恵 
  • 新潮社 (2009年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900755

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最終目的地 (新潮クレスト・ブックス)の感想・レビュー・書評

  • 新年1冊目に相応しく、美しく繊細な文章に魅了されました。昨年、本書原作の映画を観ていますが、原作の世界観を見事に映画化されていたと再認識しました。本では、登場人物たちの洗練された会話や背景をじっくり味わう事ができました。とりわけ映画では描かれなかった、キャロラインの過去を知ることによって、彼女の本当の苦悩の意味が理解出来ました。ただひとつ難を言えば、邦題が好くない。映画も同じタイトルですが、直訳すぎてエレガントじゃないと思います。「destine」には運命づけるという意味もあるし、もう少し他になかったのか。主人公オマーが伝記を書きたいというきっかけとなった「ゴンドラ」という小説(もちろん実在しないけど)読んでみたいなぁ。

  • 始まりには終わりがつきもの。

    自殺したとある作家の妻、作家の愛人とその娘、作家の兄と恋人の青年。ひっそりと暮らす彼らの元に、作家の伝記を書きたいと主人公である大学院生が訪ねてくる、というのが物語の始まり。

    噛み合わない会話とか、遠まわしな非難とか、時折こぼれおちる倦怠感とか。たぶん何かが終わって何かが始まる変化の瞬間、瞬間を見ていたんだと思う。といっても劇的なものではなくて、むしろ静かであっけなく訪れるから、それが不思議だった。

  • 【Entertainment】最終目的地 / ピータ・キャメロン /20170327/(31/627) <440/73802>

    ◆きっかけ
    ?

    ◆感想
    ・南米ウルグアイの人里離れた邸宅に暮らす、自殺した作家の妻、作家の愛人と小さな娘、作家の兄とその恋人である青年。ナチスの迫害を逃れてきた先代が、ドイツ風の屋敷をたてたこの場所で、人生を断念したかのように静かな暮らしが営まれていた。そこへ突然、作家の伝記を書こうというアメリカの大学院生がやってくる。思いがけない波紋が生じていく。。。
    ・以前一度は図書館から借りた本だが、あまりの分厚さ(440p)に断念した経緯あり。今回、改めて借りたのは少しまとまった時間(連休)が確保でき、かつ他に借りている本等で急ぎ読了すべき本ががなかったからという、この種の分厚い本にはベストのタイミングだった。
    ・ボリュームの割にはあまり重量感がなかったような、スムーズに頭に入り込み、イメージが湧くことのできた訳のおかげか。過去、
    「極北 / マーセル・セロー (村上春樹 翻訳) / 2012.7.17<R>」や、「【Entertainment】海を照らす光/MLステッドマン / 20150629(65/349)<462/14744><R>」に比べると、重くはない。
    ・6人それぞれの心の機微というか、細かな気持ちが、最初はわずかながら、やがて大きく変化していく様はスリリングですらあり、知らず知らずのうちに引き込まれていった。
    ・この本ではおそらく最終目的地はウルグアイのオチョス・リオスを暗に示しているのだろう。また、この人里離れた邸宅に暮らす彼らにとって、精神的なもの、人生そのものも含めて最終目的地なのだろう。しかし、冒頭にあった言葉通り、不幸は長く続かない、これは不幸に限らず、幸せも含めて今の状態が、ということなのだろうと思う。そして実際、各々は自らの人生に決断を下していく。キャロラインはNYへ、オマーもカンザスからウルグアイの邸宅にやってくるし、何よりディアドラを捨てて、アーデンと結婚すること自体が、この話を物語っているだろう。その意味でとても考えさせられる話だった。
    ・読後、ウルグアイの綺麗な風景見たさに、映画化を期待していたところ、実際に映画化されており、しかも2012年にロードショーされていたとは知らなかった。アダムはアンソニー・ホプキンスが適役かなと勝手に想像していたら、まさにその配役だったのには驚いた。いずれ映画も見たい。

    ◆引用
    ・われわが不幸なのは、不幸がどのような終わり方をするか知らないからだ。だが、じつは、われわれが真にわかってないのは、不幸はいつまでも続きはしないということだ。なぜなら、同じ状況が続くことさえ、いずれは気分の変化をもたらすからだ。同じ理由から、幸福もいつまでも続きはしない。ウィリアム・ジャーハーディ(必滅の愛について)
    ・ここが最終目的地だと思っていても、いつまだ新しい旅がはじまるかもしれない。だれでも、いくつになっても、新たな目的地が見つかる可能性は常にある。かたくなな心を開いてその可能性に飛び込むのは、生きることを楽しむのと同義だーそんな希望と祝福に満ちたメッセージがこの題名には隠されているように思えます。
    ・どんな時だって、シャンパンが失敗なんてことは無いのよ

  • 自殺した作家の妻と、一緒に住む作家の愛人とその子供。作家の兄とその恋人。彼らの暮らすウルグアイでの非現実的な日常に、作家の伝記を書こうとアメリカから大学院生が訪ねて来る。
    登場人物たちの会話が多く、それでそれぞれの揺れる細やかな心情がはっきり浮かび上がってくる。

    でも最後の爽やか過ぎる展開について行けなかった。

  • ジェームズ・アイヴォリーの映画を見て、「うまい小説のようだ」と思った。後に原作小説があると知り、手に取ったのが本書だったが、映画から連想するほどうまくなかった。映画>原作というのは珍しいが、監督と俳優の邂逅でたまにそういうことが起きる。最近では「サラの鍵」があった。
    アンソニー・ホプキンス、ローラ・リニー、シャルロット・ゲンズブールを配したキャスティングが絶妙だと改めて思う。イメージを壊さないというか原作以上。ピートはイメージが違うが、映画だと、大人の色気があり停滞する屋敷に生・陽を漂わせる真田博之だが、小説だと若い男妾上がりで存在感が薄い。アダムとオマーの会話でハーフェズを引くような場面は絶対原作由来だと思ったのに、映画のみ。ゴンドラの使い方からのラストの余韻も映画の方がむしろ文学的。おっと、映画のレビューになってしまった。

  • 人の行き来も殆どなく、時間さえも停滞しているような、ウルグアイの田舎で暮らす、今は亡き作家の兄、妻と愛人。彼らの生活は、気だるい物憂さに包まれている。激動の過去を経て、この先には何もないと諦めているよう…そこに、博士号と研究費を取得するために作家の伝記を書きたいという男が現れ、それぞれに変化が起こる。
    とても読みやすい文章で、馴染みのないウルグアイという国の田園風景が、美しく想像できた。
    色々な国籍・背景・過去を持つ登場人物達が、何からも遠い異国の辺鄙な地で、失っていた自分を取り戻していく様が繊細に描かれていて、じんわり心に染みた。静かに希望で満たされていくような、心に残る一作だった。

  • 真田さん出演映画の原作。

    先に映画を見てしまったので、登場人物がなんの違和感もなく
    映画の役者さんに変換された。

    ナイスキャストだったんだと思う。

    原作も、ゆっくりとたんたんと。

    みんな、それぞれの「最終目的地」へ。

    ちょっぴりウルグアイの生活に憧れる。

    しかし、ディアドラって・・・(苦笑)こういう人、いるよね。
    好きにはなれないけど、可哀相。

  • 死んだ作家の妻と、愛人とその子供と、兄とその恋人の青年が、田舎のお屋敷に住んでおり、そこに作家の伝記を書こうと一人の若者が訪ねる。
    アメリカの大学院生の若者が、作家の伝記を書きたい意志を伝えるのだが、妻と愛人の承認を得られず説得していく話。
    とくに波も無く淡々と進んでいき、楽しい訳でもないが不愉快ではない感じが心地よい。
    結末も想像がついたが想像を裏切らないところがこの作品に関してはよかった。
    不思議な話である。

  • 「最終目的地」ピーターキャメロン 読んだ、in奈良。雨上がりの緑のようなすがすがしい読後感。斜陽の中で澱みたいに時間が止まったまま暮らしていた人達が、「伝記」をきっかけにそれまで気付かないふりをしていた自分の気持ちに向き合い、新しい生活へ一歩踏み出す。(つづく)

    それぞれが長い旅の最終目的地を見い出す。キャロラインの章がよかった。それまで内省に逃げていた目がNYのアパートで次第に外へ向いていく。グレースケリーが唐突に出てくる1.5行が最高。


    (つづき)オマーは諦めと周囲との折り合いに終始する生活から、初めて揺るぎない確信を持って、アーデンに伝える。口説き文句として、こんなのは反則だー。 滋味たっぷりの本

  • 予想していた内容とは全然違ったけれど、後味のよい素敵な作品でした。
    人生とは何処からどうころがっていくかまったく分からないものだとあらためて思った。

    冒頭の引用文

    われわれが不幸なのは、不幸がどのような終わりかたをするか知らないからだ。だが、じつは、われわれが真にわかっていないのは、不幸はいつまでも続きはしないということだ。なぜなら、同じ状況が続くことでさえ、いずれは気分の変化をもたらすからだ。同じ理由から、幸福もいつまでも続きはしない。
    ーーウィリアム・ジャーハーディ
    『必滅の愛について』


    何度読んでも味わい深い文章。

  • 舞台は南米のウルグアイ。そこに住み着いたユダヤ系の有閑階級を取り巻く話。
    自殺した作家の兄とその愛人の若者(!)、作家の妻、作家の愛人とその娘。これがウルグアイの住人です。そこにU.S.A.のカンザスからやってきたアジア系の大学院生とその恋人。主な登場人物は以上です。7人ですね。男3人と女が4人。男女7人ウルグアイ物語です。男女というか男男もあるのでちょっと複雑なように見えますが、話の中身はそんなに複雑ではないので楽に読めます。
    主人公がカンザスの大学院生で、そのお相手が作家の愛人です。いろいろ悩み多き人々ですが、私に言わせると能天気な連中でお気楽ですね。慎ましく暮らしているようなのに、シャンパンなんかがすぐ出てくる、このギャップ。そして、まともに働いている人間が一人もいない。お金の苦労がまるで見えない。主人公は貧乏学生ですが、彼も結局親のすねをかじりやがった。

  • 映画が良かったので、原作も読みたいなーと思っていたら、偶然図書館で見つけました。これはもう、運命。

    期待以上の面白さでした。映画はオマーがウルグアイへ着いたところから始まるけれど、原作ではその前段階があって、色々納得しました。後日談についても、納得。

    複雑な(でも案外シンプルかもしれない)人間関係の描き方が、絶妙です。
    会話が面白い。どこがどう面白い、と言葉にするのは難しくてもどかしいけれど、とても面白い。
    訳し方もうまいと思う。日本語的な表現がさらりと出てきて違和感がないと申しますか。原文はどうなっているのかしら、と興味を抱いたところもあるけれど、あまりに自然で読み流してしまったところも、あったかも。

    安易に感想を述べるのをためらってしまうくらい(というより、言葉にできない)、好みな本でした。

  • ジェームズ・アイボリー監督でアンソニー・ホプキンスで真田広之が出て…という映画の原作ということで読んでみました。
    面白かったです。
    あらすじだけ聞けば、なんということもないお話だし、まあラブストーリーといえばそうなんですが、淡々とした語り口がなぜか魅力的な小説でした。
    それぞれの登場人物の「最終目的地」とは?移動した人、移動しなかった人それぞれの人生はどのような結末を迎えるのか。なんとなく実在している人のように思えるほどでした。
    南米ウルグアイ、ニューヨーク、カンザスシティなどの風景もよかったです。

  • 英語版も読みたい!

  • ピーター・キャメロンの描く世界には、いつも独特な空気が漂っている。ちょうど良い水分、清潔な匂い。
    映画をはやく観たい。

  • 「最終目的地」ピーターキャメロン 読んだ、in奈良。雨上がりの緑のようなすがすがしい読後感。斜陽の中で澱みたいに時間が止まったまま暮らしていた人達が、「伝記」をきっかけにそれまで気付かないふりをしていた自分の気持ちに向き合い、新しい生活へ一歩踏み出す。(つづく)

    それぞれが長い旅の最終目的地を見い出す。キャロラインの章がよかった。それまで内省に逃げていた目がNYのアパートで次第に外へ向いていく。グレースケリーが唐突に出てくる1.5行が最高。


    (つづき)オマーは諦めと周囲との折り合いに終始する生活から、初めて揺るぎない確信を持って、アーデンに伝える。口説き文句として、こんなのは反則だー。 滋味たっぷりの本

  • 振り返りたくない過去。葛藤。過去の別れ。

    一つ間違えばメロドラマ。でも、そうならない。

    ニューヨーク。ウルグアイ。

    気がつくと、それぞれの「最終目的地」に立っている。

  • 作家ユルスグントのたった一冊の作品、ゴンドラに大変感化された青年オマーは大学での研究奨励金や常勤教授への道を目指すため彼の伝記を書こうと決意する。しかしそれには三人の遺言執行人の許可を得なければならない。手紙を送ってみるものの断られたオマーは強気なガールフレンドのディアドラにおされて彼らの住むウルグアイへと向うのだった。
    弱気なオマーはこれまで自分のはっきりとした考えを持つ青年ではなかった。自分の欲望をとことん突き詰めるディアドラとは反対にどこまでも成り行きで物事を決めてしまうのだ。しかし三人を説得しようとするにあたって、オマーはだんだんとそれを自覚し始める。彼はなぜ伝記を書くのが重要であるか、三人をきちんとした理由で説得することが出来なかった。しかしウルグアイでの突然の三人との暮らしの中で彼は尊敬するユルスグントの住んでいた場所や事実を知り、次第に自分が何がしたいのかを理解し始める。様々に複雑した過去を持ち、それが交錯した三人の思いをオマーとの出会いはそれを紐解くように彼らの生活を徐々に変えて行くのだった。

  • 「しっかりしろ!」と思わず肩を揺さぶってやりたくなるようなオマー君がすっかりたくましくなっていき何だかほっとしました。ウルグアイの静かすぎる屋敷を通過点にして、登場人物たちがそれぞれの最終目的地へと羽ばたいていきます。クレストブックスにしては入り込みやすい作品でした。
    犬2匹がユーモラスで作品にいい味わいを与えています。作者は犬好きかも。

  • 原題「The city of your final destination」
    アンソニーホプキンスと真田広之で映画化されてるのに、一向に国内にくる気配がないので

  • [ 内容 ]
    南米ウルグアイの人里離れた邸宅に暮らす、自殺した作家の妻、作家の愛人と小さな娘、作家の兄とその恋人である青年。
    ナチスの迫害を逃れてきた先代が、ドイツ風の屋敷をたてたこの場所で、人生を断念したかのように静かな暮らしが営まれていた。
    そこへ突然、作家の伝記を書こうというアメリカの大学院生がやってくる。
    思いがけない波紋がよびさます、封印した記憶、あきらめたはずの愛―。
    全篇にちりばめられたユーモアと陰翳に富む人物像、それぞれの人生を肯定する作者のまなざしが、深く暖かな読後感をもたらす。
    英国古典小説の味わいをもつ、アメリカの傑作小説。

    [ 目次 ]


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    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
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    [ 参考となる書評 ]

  • 毎日新聞の書評にもありましたが、とても読後感の良い本でしたよ。

  • カンザスの大学で作家の伝記を書こうとしている青年オマー・ラザギ。
    大学の助成金を受け取るには、遺族の公認がいるため、一度は断れたものの、諦めきれずにというかしっかり者の恋人ディアドラにせっつかれて南米ウルグアイまではるばる出かけることにする。
    作家ユルス・グントが暮らしていたウルグアイという珍しい国が主な舞台。
    といっても、そこで暮らしているのはドイツ系やアメリカ人。
    ユルスの両親はナチスの手を逃れて移住し、何千本ものマツやトウヒなどの木を植え、ドイツ風の邸宅を建てたのだ。
    人工の湖にはゴンドラまで浮かべられるという。
    自殺した作家の妻だったキャロラインは最上階に暮らし、アトリエで絵の模写をしている。50代だがアナイス・ニンのように美しい。
    作家の愛人だったアーデンとその娘ポーシャが階下に、通りの少し先にはユルスの兄でゲイのアダムが東洋系の恋人ピートと共に住む。
    さらりと描かれていながら目に浮かぶような美しい光景。
    伝記を巡るそれぞれの思惑と微妙な緊張。
    かっての三角関係を清算したのかしないのか、人生を断念したかのように一見穏やかに、人里離れた邸宅が最終目的地のように静かに暮らしている遺族たち。
    若く不器用だが人の良いオマーの登場で、しだいに事態は動き始める…
    作家の研究といったことも絡むので、難しい内容かと思ったらそんなことはありませんでした。
    切ない恋心…美しい映画になるでしょう。ジェイムズ・アイヴォリーが映画化しています。
    著者は1959年アメリカ生まれ、少年時代をイギリスで過ごす。
    2002年発表、2009年翻訳発行。

  • ’あらゆるものから遠く離れた’南米ウルグアイの田舎に、自殺した作家の妻、作家の愛人とその娘、作家の兄とその愛人である青年がひっそりと暮らしている。それぞれの生活の仕方を(表向きは?)尊重しつつ、やり場のない不満を薄布にくるんで見えないようにおしやって、危うげな均衡を保って。
    自殺という暴挙は、残されたものたちを身動きできなくさせてしまう。それまで営まれていた生活はなんだったのか?理解してあげることは、救うことはできなかったのか?至らなさをどう補えば、繕えばよかったのか?どんな疑問も虚しく宙に漂うばかり。きっと彼らはそのウルグアイの地でひっそりと暮らすことだけが残された生き方だと思い込んでいた(あきらめていた)に違いない。
    そこに突然作家の伝記を書くためにアメリカから一人の青年がやってくる。揺らぎ始める均衡。ふつふつと蘇ってくる昔の記憶、それぞれの葛藤、封印したはずの”愛するということ”。そして―。

    あきらめることなんてないんだ。眠ったふりなんて馬鹿げている。ちょっとしたきっかけでそのことに気づけば、思いがけない道が拓けているかもしれない。

    『怖れを感じることは恥ずかしいことではない。だが怖れを理由に行動しないのは馬鹿だ・・』
    (そんな感じの科白だったかと・・本は図書館に返却してしまったので・・)
    シニカルで理屈っぽくて、気取り屋のアダム(作家の兄)が、アメリカから来た青年を叱咤するためにいったことばだが、前進しようとしない自分たちにこそ言ってやりたくて、でも言えなかったことばだったのかもしれない。

    いくつになったとしても、今いる場所が最終目的地とはかぎらない。あるときはうっとりするほど美しい、あるときは寒々しく慈悲もない、叙情的な田舎の風景の中で綴られるウイットにとんだ会話、交錯する感情、生き方・・。あ〜人生悪くないなぁと思わせる読後感。


    ストーリー展開的には★4つ、でも交わされる会話の内容が粋で、心に残ることばが本当にたくさんあったので★5つ!!
    岩本 正恵さんの訳も見事です!!!


  • 2008年8月10日購入

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