初夜 (新潮クレスト・ブックス)

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制作 : 村松 潔 
  • 新潮社 (2009年11月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900793

初夜 (新潮クレスト・ブックス)の感想・レビュー・書評

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  • 再読。
    読み終わってからもずっと、波音と共に余韻が残る。
    あらすじをまとめれば、時代背景はあるにしてもありがちな成り行きなのだけど、極上の読み物に仕立て上げるマキューアンの手腕は見事。
    一度捕まえ損ねた波は、二度と打ち寄せることはないのだ。

  • 僕は、イアン・マキューアンの作品を、完璧な作品である、と言ったことがある。
    そして、本作の読了時においても、その感想は変わることはなかった。
    本作は、主題・プロット・構成・描写・文体、小説を構築する要素のいずれをとっても何らの新規性や事件性があるわけではなく、どちらかと言えば古めかしい主題を古めかしい手法で、王道に忠実に描き切った作品と言える。
    だけど、読み始めてすぐに、魅力的な小説が総じてそうであるように、「首根っこを掴まれて物語に放り込まれ、離れることができなくなった」かのような、暴力的とも言える小説の魔力に憑かれてしまった。
    これは一体なんなのか。
    帯にあるタイムズ紙の評では、「マキューアンの長編小説が交響曲であるとすれば、この作品は室内楽曲である。より親密で、繊細で、しかし緻密さと精巧さにかけては、交響曲と同等か、むしろそれ以上である」という賛辞の言葉が並べ立てられている。
    交響曲には交響曲の完璧な演奏が、室内楽曲には室内楽曲の完璧な演奏が存在する。
    マキューアンはその両方を実現し、我々に聴かせることのできる、稀有な演奏家である。
    読み始めてすぐに、それらの言葉は決して言い過ぎではないことに、我々は気づく。
    いや、ほんと巧すぎる。

  • とっても好き。

    ほんの少しのボタンの掛け違いが大きな隔たりを生む。人間関係はなんて難しいんだろう。男女の機微を繊細に繊細に描いていて面白かった。

  • 結婚したばかりの若い二人を、繊細で美しく描き出す。
    しかし、真摯な夫婦のすれ違いが真剣で切な過ぎるほど、皮肉めいた滑稽なものを感じてしまう。

  • マキューアン初読みです。そのものずばり、結婚式を挙げたエドワードとフローレンスの初夜の話、とはいっても官能的な表現は薄く、仄かな甘さの中に不穏な空気が漂っている感じ。僅か数時間の出来事ながら過去の回想を織り交ぜることで、人物と物語に厚みが出て、二人の勘違いっぷりが浮き彫りに。作中の決定的な場面を想像すると、滑稽で、稚拙で、書き方次第ではコメディにもなり得そうなところを、繊細で格調高い物語になっているという不思議な味わいがありました。この作家さんの他の作品も読んでみたい。

  • なんて美しく残酷な愛の結末,もう一歩の思いやりの欠如から,あったかもしれない未来が失われてしまった.一夜の初夜の出来事が過去を巻き込みながら,怖いぐらいに詳細に描かれている.丁寧な心理描写で綴られたこの文体,訳者の素晴らしさに負うところも大きいのだろう.

  •  友人が「文体が美しく、これぞイギリス文学の王道」「図書館で読んでいたにも関わらず、ラストシーンで悲鳴をあげた」と絶賛していたので、その友人から借りて読んでみた。

     結論から述べさせていただくと、この小説は非常に面白かった。これを薦めてくれた友人には最大限の感謝の言葉を送りたくなったし、私自身も沢山の知人に薦めたくなった。
     普段恋愛小説及び海外文学を読んでいるわけではない私でも非常に楽しむことが出来たので、ブッカー賞受賞作家という肩書きや表紙の可愛さ(?)に臆することなく読んでもらいたい。

    ・内容について
     深くは語らないが、確かにラストで悲鳴を上げたという友人の言も分からいではないと思われた(私は悲鳴をあげなかったが)。
     確かに、ラストに行くに従って、ページを繰る手が止められなくなったし、読み終えた後に何とも言えない感情が私を襲って、何時間もこの小説の内容について考え込んでしまった。本当に素晴らしい小説だ。
     セックスという極めてキャッチーなテーマからこんなにも人の感情を揺さぶることができるものなのかと感嘆させられた。

    ・文体について
     文体については、イマイチ良さが分からなかった。良さが分からなかったどころか、良くないとさえ思った。そう、悪かった。
     というのも、翻訳の文章がいかにも"英文を和訳しました!"的な文章で、非常に読みにくく、小説に没頭しづらかった。翻訳であることを差し引いて、文体を鑑賞できる程、小説の事の分からない私にはその美しいと評判の文体(友人の中だけでなくネットでも評判なのだ)も、イギリス文学っぽい文体も、感じることは出来なかった。残念である。

     しかし、翻訳の悪さを勘案したとしても、この小説が名著であることには変わりはない。恐らく万人受けするだろうと思われる内容であるし、是非とも皆さんには読んでいただきたい一冊だと私は思う。

  • 「マキューアン好きそう」と言われるのだが、なんとなく素直に好きとは言いがたい。なんというかこのムズムズする感じ。引っ張れるだけ引っ張られる緊張感の中、最終的に突き飛ばされるような結末と、その影でヒヤリとするような著者のシニカルな笑みがかいま見えるような、そういう居心地の悪さ。

  • 性の解放が叫ばれる直前1960年代初頭のイギリスという時代設定が絶妙。新婚の二人の戸惑いとすれ違いがグロテスクなほど生々しく滑稽に描かれる。悲しい結末だけどこれぞ青春における喜劇だと思う。

  • ほんの少しのすれ違いで、人が永遠に遠ざかってしまったり、もう二度と戻れなかったり、そういう事がある。そういう事を考えさせる、すごいありありと感じさせる小説。それが"初夜"っつうのがまたいいよね。

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初夜 (新潮クレスト・ブックス)の作品紹介

歴史学者を目指すエドワードと若きバイオリニストのフローレンスは、結婚式をつつがなく終え、風光明媚なチェジル・ビーチ沿いのホテルにチェックインする。初夜の興奮と歓喜。そしてこみ上げる不安-。二人の運命を決定的に変えた一夜の一部始終を、細密画のような鮮明さで描き出す、優美で残酷な、異色の恋愛小説。

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