ボート (新潮クレスト・ブックス)

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著者 : ナム・リー
制作 : Nam Le  小川 高義 
  • 新潮社 (2010年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900809

ボート (新潮クレスト・ブックス)の感想・レビュー・書評

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  • 7作が収録されていますが、1人の作家が書いたとは思えないほど、多彩で空気が異なることに驚きました。
    その中では、「カルタヘナ」「ヒロシマ」「ボート」の3作が、特によかったです。
    著者の作品は、この1作しか邦訳されていないようですが、その他の作品も読んでみたいと思いました。

  • 原書と同時並行で読んだ。流石はプロの翻訳者と、つくづく感心させられた。

  • アイオワ、テヘラン、ヒロシマと。
    なんなんだろうこの人は。
    怖くないのかしら。これはこの土地の文学でない、と否定されることを。それを創作料理と訳者が言いますが納得。ヒロシマは広島でない。でも、この地域性の虚構を恐れずに創作することの強さが、良い。
    でも、やっぱり出自を元にしたベトナム色の強い作品、つまり最初と最後の作品の出来の方が良いと思う。そこはどうしても。

  • 代官山蔦谷書店のコンシェルジュみたいな人がテレビで薦めていた「移民小説」。4冊紹介されてた中で装丁デザインが美しいのをチョイス。

    ベトナム人作家のデビュー作らしい。表題作含めた7つの短編で構成。それぞれまったく異なる国と時代が舞台だが、どれも不思議と同じ世界観があって、特に極限状態におかれた人間の心の動きようや、行動の描写がハンパない。一人称の語りがさらに拍車をかけている。

    やや唐突な感じのする各ストーリーのラストもいい。想像力がオープンになって、読後もジワジワ残る。

    ナム・リー、いいじゃない。訳者の手腕もあるんだろうね。 次回作も間違いなく買う。

  • 村上春樹じゃないけど、翻訳という作業には創作の基本があるのだろうと思う。そして、日本語に訳された海外の小説は、日本語に訳された海外の小説という枠を意識しながら読んでいるような気がする。それは、原文で読むjohn irvingとはちょっと違う。そして、ナムリーの小説や、ジュンパ・ラヒリの小説に於いては、その翻訳の過程が何重にも繰り返される。上質のラップのサンプリングのようでもあるし、バッハのようでもある。日本語訳としてまずこの小説を読んだことは正解だった。

    meeting eliseがぐっときた。全編、亡くなった土田世紀だとか、村上龍などが描いた昭和歌謡的なかっこよさを感じる。

    きれいな女の人に貸してもらった小説がとても面白かったってのは、人生における最上の喜びの一つだよね。

  • ベトナム生まれ。生後三カ月でボートピープルとして両親とオーストラリアに渡ったナム・リーの第一短編集。

    ベトナムを色濃くモチーフとする表題作「ボート」と、「カルタヘナ」の他の作品は、舞台も人も、まったくベトナムを選んでいない。
    どころか、それはテヘランであり、ニューヨークであり、オーストラリアの田舎町であり、しかも「その地の人間」が物語を生きている。
    日本人ではない著者が綴る「ヒロシマ」でも、マヤコやササキ先生は、「ごくごく自然に」登場する。
    人としての物語は普遍なのだと、ストンと納得するしかないほどに。

    どの一品も、ゼリーや豆腐のようには流しこめない。
    砂が混じり、小骨が混じり、用心しながら十分に噛まなければならない料理…

    飲み下す直前に、奇跡のように現れる一節が、美しい映画を観たあとのような余韻を残すものが半数。
    しかしもう半数は、「ごくごく自然である」巧さゆえに、どこか嘘臭く息苦しい。。。

  • 国や人種を超え、様々な生き様を切り取って並べられたような短編集(7篇)。どの作品もざわざわと不穏な気持ちをかき立てられるような感じがします。読んでいて苦しくなりました。特に表題作の極限状態は醒めない悪夢に置かれたような苦しさです。ちょっと荒削り感もありますが、読ませます。

  • まるで世界中を旅するようだ.
    夫々の国籍、性、年齢、は違うけれど、
    作者は奥深く夫々に潜んでいる.
    愚かしく、救いのない世界が広がっていく

  • 著者は、生後 3 か月でボートピープルとして、
    両親と共にベトナムからオーストラリアへ。
    メルボルン大学卒業、法律事務所勤務を経て渡米。
    アイオワ大学で小説について学ぶ。

    7 つの作品からなるデビュー短編集。
    場所、状況の異なった物語、
    バラエティーに富んだ良作品が並ぶ。
    心に不安や恐れを抱くも、
    もがきながら今を生きる人を描いている。
    そのリアルな様がヒシヒシと伝わってくる。
    著者の力量に魅せられた。
    次回作も期待だし、勝負だと思う。

  • 東南アジアとオーストラリアの距離感を感じる。

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ボート (新潮クレスト・ブックス)の作品紹介

作家修業中のベトナム系青年。戦争中、少年だった父はその目で何を見たのか。多くを語らずに生きてきた父と、書きあぐねながら、出自は題材にすまいとする息子(「愛と名誉と憐れみと誇りと同情と犠牲」)。初老の画家がカーネギーホールに向かおうとしている。妻とともにロシアに去った娘が、天才少女チェリストとして凱旋したのだ。いそいそと支度をする男の待望の一夜(「エリーゼに会う」)。そして、ベトナムから難民ボートに一人乗り込んだ少女の極限の12日間を描く表題作「ボート」など、すべて異なる土地を舞台とした全7篇。生後3カ月で両親とともにベトナムからオーストラリアへ渡った作家が、持てるすべてを注ぎ込んだ清新なデビュー短篇集。プッシュカート賞、ディラン・トマス賞ほか多数受賞。

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