いちばんここに似合う人 (Shinchosha CREST BOOKS)

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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900854

感想・レビュー・書評

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  • 精神世界の描写が独特だが、切実である。
    誰もが内に持つ執着性、妄想、残酷さを潔く描く。
    こういう内面の動きを表現することは、映画などにはできないだろう。

  • 例えばその人が職場の同僚だとしたら、同僚としてそれなりに接しつつも何となく遠巻きに見てしまうだろう。結果その人は仲間はずれとまではいかなくとも何となく浮いた存在となる。この短編集に登場するのはそんな人物ばかりだ。
    そして読み進めるうちに気づく。ああ、この人は自分なのだと。誰の中にも多かれ少なかれ「イタさ」はある。そのイタさに気づいていないから孤独なのか。気づいてしまったから孤独なのか。
    孤独を描いてはいるが、主人公たちは寂しさを訴えてきたりはしない。著者が描いているのは「わたしの孤独」ではなく「わたしたちの孤独」なのだ。

  • 不思議な感じが、短編ごとに切り替わり
    落ち着かない気持ちにされたり、寂しくなったり
    色々な気持ちになりながらも、
    あっという間に読むことができました

  •  人間の孤独が鋭く、痛々しく描かれています。主人公たちの行動が度をすぎて滑稽になっていく様子に笑いながらも深く共感してしまう作品でした。映画監督でもある作者だからかそれぞれの場面が映像のように鮮やかに浮かんできました。訳者が岸本佐知子さんなのもいいですね。エッセイから推察されるお人柄だと、彼女も主人公たちにずいぶん共感しながら翻訳されたのではないかと・・・勝手に思っています。

  • 素晴らしかった。
    後から振り返ってみると「なぜあんなことをしたのだろう」と後悔するような行動は、その時の自分にとっては必要なことであり、間違っていないのだろう。
    しかし、その時の正解は振り返った時に不正解になることもある。
    この本ではその行動がきっかけで、大切な何かが失われたり、認めたくない事実を受け入れたりする。どのような状況でも、息を吸ってご飯を食べて、目の前の現実に向きあっていかなくちゃいけない。
    その時の正解、後からの不正解。それらがもたらす喪失感。とても気持ちいい。

  • 【「あなた、ひりつくくらい孤独だってことに、何で知らんふりをするの?」
    映像作家であり、パフォーマンスアーティストでもあるミランダ・ジュライという若手女性作家によって綴られたこの短篇集は、
    繰り返し、人の孤独を、人と繋がりたいという欲の深さを問い詰めてくる。切なく優しい物語。】


    16の短編の中に登場する主人公たちは、とてつもなく奇妙な役割を務めています。

    ある女性は、プールのない砂漠の街で、一度も泳いだことのない老人たちに、洗面器ひとつで水泳を教えます。

    家から二十七歩より遠くへ行けなくなった女性は、名前も知らない近所の子供との触れ合いに救いを求めようとします。

    殺人鬼がゆっくりと階段を登ってくる絶体絶命の状況で、主人公が考えるのは恋人との行き詰まりについて…。


    いったい何が彼女たちを奇行に走らせるのか。

    語り手たちの言葉には、こんなセリフが含まれています。

    「できることなら自分を包んでいるウザさを取り払って、一からやり直したい」
    「思ったほどには愛し合っていない自分たちを、二人は暗黙のうちに互いに許し合った」


    彼らの言葉の多くから漂ってくるのは、強烈な孤独。

    みな、現在の生活に、しっくりこない気持ちを抱えている。

    そして突拍子のないおかしな行動は、そんな孤独の支配から抜け出そうともがいているところに起因するのです。


    恋人と別れた女性は知らない街で、老人たちに洗面器で水泳を教えます。

    そんなことはバカバカしいと思われます。
    でもちょっと待って。
    人と繋がりたいという欲や行動というのは、
    きっとそれくらい滑稽なものなのでは?

    不器用な魂たちがうみだした、
    人と人とのほんの一瞬の繋がりは、
    震えるほど美しい。


    この本の残酷なところは、アッサリとまた主人公たちを孤独の底に叩きおとすところなのですが、
    一瞬の繋がりの光をみた彼らは、
    最初の孤独とは、ほんの少し違う見え方のする場所へ導かれます。


    きっと多くの人が思うでしょう。
    この孤独な主人公は、私自身だと。




    この小説から学んだことは以下。

    人は誰しも孤独だということ。
    だから怖がらず声をかけてみるべきだということ。
    人と人との繋がりには失意を伴うことの方が多いということ。

  • 6/8目白図書館
    少しずれた世界で生きる人達を描いた短編集。ずれたと言ったってみんなどこかしらはみだしてるもので、ベン図みたいに重なってる部分があるだけで、そこが常識を作ってる

  • ぐらぐらくる。

  • 情けない人物ばかり出てきて、苦い結末ばかりだったけど、描写がとてもきめ細やかなので、読んでいる自分自身の情けなさや不幸が文字されて、鬱屈していた心から解放されるような気分になった。流行ってるからという理由で読んでみたけど面白かった。

  • タワレコでおしゃれじゃーん、で買ったけど、おしゃれすぎるのかよさがわからなかった
    30ページくらいで読み進めるのをやめました

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著者プロフィール

ミランダ・ジュライ(Miranda July)
1974年、バーモント州バリー生まれのアーティスト、作家、女優、映画監督。本名はミランダ・ジェニファー・グロッシンガー。
バークレーで育ち、16歳から舞台の脚本、監督を務めている。カリフォルニア大学サンタクルーズ校に入学するが2年目に中退、ポートランドに引越してパフォーマンス・アートを始める。1996年に短編映画集製作のプロジェクトを始め、2005年に映画「君とボクの虹色の世界」を監督・主演。非常に高い評価を得る。
2005年から小説の執筆を始めている。代表作に『いちばんここに似合う人』。ほか、『あなたを選んでくれるもの』『最初の悪い男』など。

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