- Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105900861
感想・レビュー・書評
-
現代ドイツ文学を代表する作家である著者が、2008年に82歳で発表した沈痛なラブ・ストーリー。18歳の男子高校生のひと夏の恋を、回想形式で瑞々しく描き出している。年齢を感じさせない著者の感受性と創作力に恐れ入る。舞台は著者の住むハンブルグ近郊と思われる北ドイツの海辺の町。今しもその町の高校の講堂で、亡くなった教師の追悼式が行われんとしている所から話が始まる。正面に飾られている英語教師だったベーターゼン先生の美しい遺影を前に、生徒だったクリスティアンの脳裏をさまざまな思い出がよぎっていく、、、
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
老境にあってもリリカルな詩は詠える
憧憬を込めたのではなく
まさに著者の現在を綴ったものである筈だ -
十代の少年が、先生と恋愛関係になる。現代ならスキャンダルだろう。この本の良いところは、その当時、少年が判っていたことだけが書かれているところだと思う。余計な書き込みが無い分、鮮やかで薄汚れていない印象となった。作者は80代の巨匠なのに、少年のようだ。
-
ギムナジウムの女性英語教師と生徒のひと夏の恋愛と別離。
淡々と描かれていたけれど、もどかしさや嫉妬を感じる
少年の心がみずみずしくて素晴らしいと思った。
とても静かで上質な物語。装丁も美しい。
ちょっと『朗読者』を思い出した。 -
レンツの本は、遺失物管理所に続いて二冊目。作者の年で書かれたとはとても思えない表現力とせつない話で、人は幾つになっても恋心を忘れずに居続けられるんだなぁと感心させられた一冊でした。