黙祷の時間 (Shinchosha CREST BOOKS)

著者 : ジークフリート・レンツ 松永美穂

• 新潮社 (2010年8月31日発売)

感想・レビュー・書評

[ぶどうさんの感想 · 2023年1月24日]

とても静かで美しい小説だった。18歳の少年のひと夏の歳上の女性との思い出。美しくないわけがない。何も語られないことも多く、その空白がこの小説の秘密めいた雰囲気をさらに増している。読んで良かった。

[横溝ルパンさんの感想 · 2014年6月15日]

少年と美しい女教師との淡い恋と、その終わりを描いたとても美しい作品です。物語は主人公の少年が、亡くなった先生のことを回想する形で進みます。この描写が絶妙で、まるで美しい絵画や映画を見ているような気分になりました。

[ヴェロニクさんの感想 · 2017年11月18日]

表紙のような暖かい海と砂浜がずっと広がっているような素敵な雰囲気。
ドイツのものとかほとんど読んだこと無かったので、他のも読んでみよっと。

[betchyさんの感想 · 2015年5月13日]

男子高校生が恋をしたのは年上の英語教師。
海沿いの町の夏。「ついこの間のことを回想する」形で語られるのは、輝く思い出とまだ鮮度を失っていない感情。

爽やかな潮風が、ひんやりとした哀しみを含みつつ、全編を通して吹き渡る、そんな恋愛小説です。

[slkyさんの感想 · 2010年11月15日]

十代の少年が、先生と恋愛関係になる。現代ならスキャンダルだろう。この本の良いところは、その当時、少年が判っていたことだけが書かれているところだと思う。余計な書き込みが無い分、鮮やかで薄汚れていない印象となった。作者は80代の巨匠なのに、少年のようだ。

[macochiさんの感想 · 2010年10月25日]

レンツの本は、遺失物管理所に続いて二冊目。作者の年で書かれたとはとても思えない表現力とせつない話で、人は幾つになっても恋心を忘れずに居続けられるんだなぁと感心させられた一冊でした。