小説のように (新潮クレスト・ブックス)

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制作 : Alice Munro  小竹 由美子 
  • 新潮社 (2010年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900885

小説のように (新潮クレスト・ブックス)の感想・レビュー・書評

  • う、う、う、おもしろかった・・・
    なんだかもうすっかりこの人のファンです。

    「林檎の木の下で」もすごく好きだったけど、そっちは読む人を選びそうなので、人に薦めるなら断然こっちかな。

    どの作品も始めは、お菓子などをぽりぽりかじりながらお気楽に読み始めるんですが、途中でギョッとさせられる。
    気の抜ける作品がひとつもない!
    でも、それでいて奇抜なストーリーで読ませるタイプの作家ではなくて、じんわり、しみじみ、一文一文を味わって読める、というか、そういう風にじっくり読んでしまう作品たちです。

    「林檎の木の下で」もそうでしたが、自分の心の中の奥の方に、名前も分からないまましまいこんでいる感情みたいなものが描き出されているような気がします。
    登場人物たちは不条理にも思える行動を取ったり、きつい出来事に遭遇したりもするんですが、でも、なぜかそれらは特別なことに見えず、どこかなじみのあることに感じられます。
    やさしいまなざしで日常を切り取る、っていうのとは全然違って、どっちかっていうとむしろ厳しくて意地悪な目線なんですが、でも読んでいて全然辛くなく、逆に読んでいる自分がやさしいまなざしになってしまいます。

  • 今は(あるいは、今も)悪くない生活を送っている人物にも、心の奥底に常に引っかかり続ける棘のような記憶・人物が存在する。その決して心地よくはなく、ぬぐい去ることのできない感覚をクールに描く。どの作品も、もやもやした思いを見事な場面構成で描き出している。何度か読み返した方がより得るものの大きい作品であるような気がする。

  • ノーベル文学賞発表の翌日に購入。奥付けはブッカー賞受賞の翌年2010年11月30日初版。ノーベル賞便乗で増刷されるだろうが好き嫌いが別れるかもしれない。短編ばかり10編からなる。最後の[あまりに幸せ]は19世紀ロシアの女性数学者ソーニャ・コワレフスカヤの晩年の数年を題材にしているがそれ以外は割りとありきたり。決して悪くない作品集だが、だったら英訳も多く国際的な評価が高い吉本ばななも選考対象になってもおかしくない。そしてマンローを自身の翻訳集に入れた村上春樹もまた、やはり紛れもなく候補者なのだろうと思う。

  • 前々から読みたいと思っていて
    期待感が大きかったのですが
    私にはどの話も映画の画面のようなイメージが浮かんできて
    何故か胸の奥にすとんと落ちてきませんでした。
    同じ短編なら少し前に読んだ
    ペーター・シュタムの「誰もいないホテルで」の方が
    好きです。

  • ブッカー賞授賞したのち2013年にノーベル文学賞を授賞した小説家アリス・マンローさんの短編小説集「小説のように」を読了。400ページ強の本に10編の短編が収められているが、さすが英国では短編の女王と呼ばれているらしい著者の作品だけあり、それぞれの作品の繊細で濃密な描写が素晴らしい。ただ翻訳物という事もあるが描写が細やかすぎともいえまた言葉を選び回りくどいとも言える表現になっているので読みやすい物語という事ではない。僕も10編を各2回ずつ読んだので通常よりずっと読了までの時間がかかってしまった。深いし、非常に示唆的でもある物語だが面白いよと勧められる作品では決してないのが正直なところだ。ただ文章を書くという能力をブラッシュアップしたいと考えている人には、是非読んで欲しい作品である。刺激される事確実です。

  • やっと読み終わった。手強い。
    自分では言葉にできない奥底深くの名前もつけられない感情が誰しもあると思うのだが、それを鮮やかに言葉に出来る作家だと思う。
    後味は決して良いものではないが、こんなにも様々な人物の深淵を描くというのは、とんでもないことだ。すごい。

  • 新著ディア・ライフをチェックしていて前作を読んでいないことに気付いた次第。ノーベル賞効果で図書館は予約待ち。短編の女王との評価の通りのうまさ、繊細な描写と深い洞察力を備え、密度が濃い。ただし読みやいわけでも分かりやすいわけでもない。

  • 生者と死者を分かつ境界を、人は苦悩にかられて思いつめる行為を通して越えることができるのだろうか。触法精神障碍者の施設にいる夫からの手紙にあった、死んだ子どもが別の次元に存在するという言葉に動揺する妻を描いた「次元」。マンローの短篇ではお馴染みの、若い相手と夫の浮気というモチーフに植物毒と逃亡中の殺人犯とを絡ませ、ミステリ・タッチに仕立てた「遊離基」。「訳者あとがき」によれば、マンローの作品をアメリカの「南部ゴシック」にひっかけて「南部オンタリオ・ゴシック」と呼ぶらしいが、この短篇集に限っていえば、その呼び名に相応しい作品が揃っている。

    人の心の奥底に潜む暗い衝動や、無邪気に見える少女の笑顔の裏に隠された惨酷さ、平穏な日常のなかに突然表出する深い亀裂と、短篇ならではの凝縮された人間ドラマが続出するが、それだけに、苦い後味を残すものも少なくない。いつもと比べ、「悪意」の表出が露骨であるような気がする。自伝的な『林檎の木の下で』が最後の本と表明した作家が、それ以降に書いたものを集めた作品集である。ふっきれた、とでもいうところだろうか。

    そんななかで、「小説のように」が、作者ならではの独特の余韻を感じさせる。夫の心変わりで一度は傷つきながら、歳月を経て再婚し、美しく才能に溢れ、周りに羨まれる自分を取り戻した女性が、突然現われた若い女性によって過去を振り返ることを余儀なくさせられる話。自分の中では、整理がつき、すでに終わっていた物語が、新しい人物の登場によって、別の角度から照明を当てられ、全く異なる物語が立ち現われる、という仕掛けだ。新しい人物というのが、自分を捨てた夫が愛した女の連れ子で、今は小説家となっている。その小説の中に、かつての自分が描かれているのだ。

    誰にでも自分を贔屓目で見ることはある。ましてや、人並み優れた美貌や才能、知性に恵まれていたらなおさらだ。そんな自分が、どう見たって自分より下だと思える者に配偶者を奪われたら、自分に非があると思えるだろうか。夫も賢く夫婦に問題がなかったらなおのこと。主人公は、潔く身を引き、家を明け渡した。文句のつけようのない処し方である。そして今の自分がある。その優位は崩れない、はずだった…。傷つけられた自尊感情、長い恢復期、癒やされて一層高まったそれが揺さぶられ、打ちのめされる様を、主人公はさながら作家のような視線で見続ける。訳者が短篇集の邦題に「小説のように」を選んだのがよく分かる、心に響く一篇。

    個人的には、林地で薪にするための木を伐る男が陥る危機を描いた「木」がお気に入りだ。丸太小屋を建てるために、主人公のように独り携帯もつながらない山林に入り、チェーンソウと手斧で木を伐った経験がある。誰もいない場所で窮地に陥ったらどうしようもないのだが、危険と隣り合わせの澄明な孤独感には他の何物にも変えがたい魅力がある。まして妻が欝気味とあれば、林地での単独行動は、息抜きでもあっただろう。他の作品とちがい、読後に残る後味がすがすがしい。この短篇集における一服の清涼剤の感がある。

    原著は著者にはめずらしい実在の人物に材を採った「あまりに幸せ(Too Much Happiness)」を表題としているが、姉が、あのドストエフスキー作『白痴』に登場するアグラーヤのモデルだったという数学者で小説家のソフィア・コワレフスカヤを主人公にした一篇は、素材としての面白さはあるが、マンローの作品としては普通の出来。邦訳の表題となった「小説のように」の方が、格段に面白く、アリス・マンローらしさに溢れている。もっとも、原題は、“Fiction”と素っ気ない。短篇集の題が『小説』というわけにもいかないだろう。訳者の苦労がしのばれる邦題である。

  • 【選書者コメント】アリス・マンローさんの女性版村上春樹のようなはかない感じにはまってしまったため、3冊も入れました。結婚したりする前に読んでおくと人生の肥やしになってよいかと思い他の学生さんにも読んでほしいと思った次第です。

  • 淡々とした筆致の中に、登場人物の心情が浮かび上がってくる。どちらかといえばnegativeな感情が多いのだけど、日常を過ごしていくことで気持ちが浄化されていくようだ。「次元」偏執的な夫が、自分の不在時に子供を殺してしまう話。「小説のように」夫が、若い女と不倫関係になり、その女の娘が自分の教え子となり、やがては小説家となる話。「深い穴」穴に落ちたことをきっかけに、理解できない人生を歩むことになってしまった息子と母の話。どれもするすると読めるのは、翻訳が上手なためでもあると思う。いつか原文でも読んでみたい。

  • 次元 */小説のように/ウェンロック・ウェッジ/深い穴/遊離基 */顔 */女たち */子供の遊び */木 **/あまりに幸せ

  • 話の設定が少し複雑で磨かれすぎている。
    「イラクサ」のほうが、リアリティーがあって好きだな。

  • 20140209一旦返却

    p90〜

    お茶の描写
    77、23

  • ノーベル文学賞受賞者の作品ということで借りてみた。
    同じような動機で借りた「林檎の木の下で」は数ページで挫折したけど、こちらの短編集は素晴らしかった。
    1つ1つにここまでドラマがあるのかと。やりたいことがあってこれまた急いで読んだけど、本当はじっくり読みたい。

  • なんだろう、訳がダメなんじゃねえかなあ。

  • (2013.10.31読了)(2013.10.27借入)
    カナダのアリス・マンロー Alice Munro が2013年度のノーベル文学賞を受賞、というニュースが流れたので、図書館から借りてきました。
    10篇の短編が収録されています。一つの作品の長さは、40ページ前後で、「あまりに幸せ」は70頁ほどで、いちばん長い。全体で430頁と、ちょっと分厚い。
    「訳者あとがき」では以下のように紹介されています。
    「凄惨な事件や生命を脅かされる危機を描いた数編も収録されている。そうしたものも含めてどの作品にも独特のドライヒューモアが漂い、決して安易な干渉には流されずに、覆いを引き剥がした人の心の奥底にあるものをしっかりと見せてくれる。」(425頁)
    「大半はオンタリオの田舎の村を舞台に、厄介なことを抱えながらもそれぞれの人生を懸命に生きる人々の姿を余計な感傷や思い入れを排してリアルに描き出す」(427頁)
    【次元】(525頁)
    この意表をつくタイトルがストーリーとどこで噛みあうのだろうと思いながら読んで行って、ああっと唸らされた。
    【小説のように】(426頁)
    子連れの若い女に夫を奪われた音楽教師が、人生後半ではゆたかで落ち着いた暮らしを得、美人で才能豊かな自分に相応しい夫と地位を手に入れて昔の傷すら笑い飛ばす勢いのところへ、過去の影が差して傷が疼くという話。
    【深い穴】(426頁)
    大学生の長男が行方不明になる。手塩にかけて育んだつもりの我が子がいつしか得体のしれないものとなって手の届かないところへ行ってしまうというのは、親にとっては大きな悲劇だ。
    【女たち】(427頁)
    第二次大戦直後の田舎の村で、白血病で死の床についている青年を巡って起きる、因習的な村人たちから反感を持たれているらしい大学教員であるその妻と、青年の継母である頑固で押しの強い老婦人、無学で粗野ながら女としての魅力あふれるマッサージ師という女三人のせめぎあいを、早熟で頭のいい少女の目線で描く。
    【あまりに幸せ】(427頁)
    ロシアの女性数学者ソフィア・コワレフスカヤの物語

    翻訳は、全体的に読みやすい。ただ、2か所ぐらい「ん?」というところがあった。
    翻訳が固いというか、おかしいというか、違和感があるというか。

    【目次】
    次元 Dimensions
    小説のように Fiction
    ウェンロック・エッジ Wenlock Edge
    深い穴 Deep-Holes
    遊離基 Free Radicals
    顔 Face
    女たち Some Women
    子供の遊び Child’s Play
    木 Wood
    あまりに幸せ Too Much Happiness
    謝辞
    訳者あとがき

    ・次元
    ドーリーの物語。ロイドとの間に3人の子供が出来た。
    ロイドは、精神病者だった。ロイドは3人の子供を殺害したが、精神障害者のために、刑法で裁くことはできず、施設に収監された。
    3人の子供の思い出を、共有しているのは、ロイドしかいないので、ドーリーは、ロイドの収容されている施設に訪ねて行く。
    ・遊離基
    ニータの物語。夫は八十一歳で突然亡くなった。
    彼女も癌で間もなく亡くなるだろう。
    ある暑い日に、ヒューズボックスの検査に来たという男は、食事や飲み物を要求した。
    その男は、逃亡中の殺人者だった。
    ・顔
    生まれた時から、顔の左側は普通で、右側は、「まるでグレープジュースかペンキでもぶちまけられたように見える」顔の持ち主の男の物語です。
    彼は、大学で演劇活動をやっている連中と付き合い、その後、ラジオドラマの俳優となった。
    ・子供の遊び
    気に入らない女の子を水泳教室のどさくさに紛れておぼれさせてしまう話。
    ・あまりに幸せ
    ●男と女(35... 続きを読む

  • 今年のノーベル文学賞受賞者というので、読んでみることに。短編小説の女王と賞されるほどというので、楽しみにしながら読んでみました。どの短編にも淡々とした長い時間が流れ、静かな中にも人生を彷彿させるような味わいがありました。また、別の作品も読んでみようと思います。

  • CREST BOOKSだから、ハズレを引く率は極めて低い筈だし、「短篇の女王」マンローと讃えられているので、それはすごかろうとワクワクして読んでみたら。
    すごいのはすごいんだろうけれど、合わなかった。
    日常の中の悪意というか、自分の中にあって目をそらしたくなる過去の悪行とか、感情の揺らぎとか。
    そういうものがとりあげられて、作品になっているんだけれど、単に好みではなかった。
    ただ、こういうものほどふと思い出すんだよねえ。
    私の中では、翻訳者の解説がものすごく秀逸で、本編よりおもしろかったけれど、本編は殆ど私の好みではなかった『あの薔薇を見てよ』と同じ系統。

    『遊離基』だけが、ちょっとミステリーっぽかったので読みやすかった。
    ルバーブ、よくジャムになっている蕗みたいな植物。
    あれ、食べられるのは茎だけで、葉と根には毒があるそうですよ。
    この話、夫は本当に自然死なんだろうか。

  • 題名に惹かれて読みました10の短編集なのですが、それぞれの登場人物たちが少しずつ深いです。ちょっとミステリーっぽかったり主人公が悪い状況から希望を見出すものだったり、読後感があまりよくないものまで(苦笑)
    ですが短編につけられている題名が結構深くて、全部読み終わった後に「なるほどこういうことか」と合点することが多かったです。それぞれの話はあまり長くはないし、登場人物も少ないので、「外国の(名前が多い)小説はちょっと…」な人にもオススメです。
    とくに女性にオススメしたい。色々な事情を抱えた女性たちが登場しますし、彼女らが迎える結末は気になって仕方がないと思います^^

  • 読むきっかけを忘れ、散漫には読めず

  • 断捨離本、2013春。

  • 「短編の女王」アリス・マンローの著作、初めて読んだ。同じくクレストブックスのアンソロジー『記憶に残っていること』で初めてマンローの名を知り、手にとった次第。
    普通の人たちの人生に起こった〝決定的なこと″。凍りつきそうな殺人事件の場合もあれば、よくある子どもの遊びの場合もある。肉体にも心の中にも踏み込まれていないのに「何かをされた」と感じることであったり。
    ただ、最後の一遍はどうにも読み進めるのがつらく、結局散漫な読後感しか残らなかった。
    翻訳がたいへんうまく、確かめたら同じく訳が印象的だった『リリアン』の訳者だった。今後、要チェックだ。

  • どうなるんだろう、と思って、読み進めさせられる推進力はすごいけど、共感はあまりしない。あまり記憶にも残らなかった。トレンディドラマっぽい。

  • 2012/4/15購入
    2013/10/7読了

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小説のように (新潮クレスト・ブックス)の作品紹介

子持ちの若い女に夫を奪われた音楽教師。やがて新しい伴侶と恵まれた暮らしを送るようになった彼女の前に、忘れたはずの過去を窺わせる小説が現われる。ひとりの少女が、遠い日の自分を見つめていた-「小説のように」。死の床にある青年をめぐる、妻、継母、マッサージ師の三人の女たちのせめぎあいと、青年のさいごの思いを描く「女たち」。ロシア史上初の女性数学者として、19世紀ヨーロッパを生き抜いた実在の人物をモデルに、苦難のなかでも潰えることのなかったその才能とたおやかな人物像を綴る「あまりに幸せ」など、長篇を凌ぐ読後感をもたらす珠玉の10篇。国際ブッカー賞受賞後第一作。「短篇の女王」70代の集大成。最新作品集。

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