週末 (新潮クレスト・ブックス)

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制作 : Bernhard Schlink  松永 美穂 
  • 新潮社 (2011年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900908

週末 (新潮クレスト・ブックス)の感想・レビュー・書評

  • 大統領の恩赦で出所した元テロリスト。その出所を祝って、姉は旧友たちを田舎の屋敷に呼び寄せる。かつてのテロリストの仲間、弁護士etc。それぞれの思いを持って集まったメンバーと、出所した元テロリスト。かつての恋、テロの真実、裏切り。徐々に明らかにされていく真実と、現実。
     恩赦となった元テロリストの未来を見据えて、心に触れる作品。
     
     「朗読者」もそうだったけれど、淡々と書いているようで、徐々に昇り詰めていくようなシュリンクの描き方は、読む者を引きつけます。ナチスや9.11とのかかわりが描かれ、欧米人の罪の感覚が伝わるような気がします。

  • 劇がみているかのような物語だった。舞台は田舎の古い屋敷。恩赦を受けた元テロリストが招かれて、週末をすごす。集まったのはテロリストの姉、友人、弁護士、息子・・・。それぞれの立場と思いの違いが描きだされて切ない。過去にはもどれない。過ちを過ちと認めることの厳しさ、償いとは可能なことなのか、赦すとはどういうことなのか、そんなことを思った。思いの数だけ正義がある。週末を終えそれぞれの日常へ帰っていくところで物語が終わるのだが、柔らかな光が射しているように感じられた。

  • 国家権力による暴力で虐げられる人々。暴力には暴力で抗おうとするテロリズム。大いなる目的のためには、命を犠牲することはやむを得ないという考えは正しいのか。縛られた体制を変えようとしても、言葉では何も変わらないという事を見せつけられた人間は、国や世界に絶望し狂気へと一歩を踏み出す。罪を犯し、恩赦により、壊そうとした社会に戻ってきた一人のテロリスト。彼が成そうとしたものは何なのか。何かが変わったのか。長い時間、隔絶されていた人々との関わりで、彼が見出したものは、本当に彼が望んでいたものだったのだろうか。

  • 151110読了。
    シュリンク作品の中では驚くほど穏やかで、緩やかな、最後まで幼少期の回想立ったんじゃないかっていうくらいの、静かな週末の話。
    けれども主人公は20年間服役してまさに出所したところのテロリストで、好奇な目で見る友人やその家族、今の職をいかして弁護してくれるもの、当時は知らずとも遠くから案ずるもの、いろいろな人々が、主人公とその姉によって集められて週末を過ごす。
    なんでもない恋の再燃や、新しい恋の芽生えや、思想の乖離、また畏怖を唱えるこどもの世代まで、緩やかな曲線のなかで少しずつ疣が飛び出るように話は連なっていく。
    最後の主人公の告白は、ちょっと衝撃的で、でもその展開に安心したりもする。
    他のシュリンク作品に比べたら物足りないかもしれない。でも腹八分目が、かえって心地よい。

  • 映画「愛を読む人」の原作「朗読者」をかいた作者です。

    20年ぶりに出所したテロリストが、
    学生運動をともにした友人、友人の家族、弁護士、左翼活動家らとドイツ・ブランデンブルグ郊外の広い屋敷で過ごす、金・土・日の3日間が描かれています。

    罪を犯した時の気持ちや獄中といった彼の過去を聞き出そうとする者、
    そっとしておこうとする者、
    彼のこれからを模索しようとする者、
    戸惑う者・・・・・・。

    登場人物それぞれの3日間の気持ちの変化や、正義と考える目的を達するために犠牲を正当化できるのか、といったテーマが静かな筆づかいで描かれています。

    何らかのケリをつけようとするには短く焦る週末3日間、過去や未来と向き合い耐えるには長い3日間です。

    読み手にとっては、あっという間の週末3日間でした。
    歴史を背負う人の、歴史に途中から参加した人の、
    心の動きを静かに描く作者の挑戦と結果に拍手です。

  • 劇の舞台を読んでいるような感じ。小説の設定(社会的背景)を理解しようとすると、ちと難しい。壁を感じる。登場人物それぞれを理解しようとすると、また、難しい。難しく考えすぎかな。
    最初、ページをめくりながら、何を言いたいのか…知りたかったから手にとったんだけど。

  • ベンハルト・シュリンクの「朗読者」を読んで涙したので、今回はテロリストの話かと思って手に取ってみましたが、ちょっと設定的に無理な感じがあって、私の中ではいまいちでした。

  • ベルンハルトシュリンク「週末」読んだ。http://t.co/hgeAx837 うーん深い。元テロリストは刑務所を出た後どう生きるのか。社会は全然許していない。友人間にも理解者は少ない。そもそも彼は転向も反省もしていない。なぜ恩赦は許可されたのか(つづく

    イェルクを心から受け入れられない友人たちの戸惑いや関係の衝突が、天気の変化とリンクしてる。夏の空気、不穏な風、暗く重い雨、鳥の声が告げるやがての青空。そして不協和音は解決するけど音型は開いたままで不安定だ。地下室の場面は唯一少しだけコミカルで、登場人物それぞれの本質も垣間見える。

    作中作の911を連想させる話は苦しい。友人たちが、イェルクの過去を責めたり取り成したりする中でそれぞれの来し方と行く末を見つめて、自分の人生はどういうものかを思う場面がとてもいい。誰の人生も、その終わりに振り返った時に幸せだったなあと感じられるものであって欲しいわあ。。(おわり

  • テロリズムについて考えさせられた一冊でした。

  • 読みにくくてなかなか読み終わらなかった。つまらなかったから、☆一つ。

  • ドイツ赤軍派のテロリストだった男が、23年の服役の後、恩赦で釈放される。主人公は彼の社会復帰を望み、かつての友人や弁護士を招き、片田舎の屋敷でささやかなハウスパーティーを催す。しかし、おだやかな会合を望む彼女の意に反して、あからさまに殺人の感想を求める旧友、彼を英雄に祭りあげたい若い活動家などの存在により、事態は紛糾し、そして後半予期せぬ来訪者が……。ところどころで読者を驚かせる仕掛けがあって、退屈せずに読める。

  • 赤軍派のメンバーが23年服役した後,大統領の恩赦で出所する という我が国では考えられない設定が面白い.最後の方で,大統領が恩赦についてのラジオ放送をする場面がある.「ドイツのテロリズムや,テロによってもたらされた緊張や社会の分裂は終息したということ示したかった」と恩赦の理由を述べている.さらに「平和と和解をもたらす方向で対処したい」とも言っている.このあたりのドイツ人の感覚は理解出来ない部分があるが,実際にドイツでは恩赦が行われた由.和解なのか....
    登場人物が多いので,別紙に書きだして参照しながら読んだ.

  • 相変わらず、考えさせられる重い話で…
    ナチスならまだしも、連合軍は完全お手上げ、勉強不足…

    でも、話の運び方はよかった。
    それぞれの立場とかが、結構しっかり考えに反映されてる。

    9.11との関連は、私からしたらちょっと強引な気がしなくもなかったけど、でも分からんでもない。

  • そう、室内劇のよう。
    一見さらりとしているのに、濃さを感じるのはそのせいだろうか。

  • 本作は、ベルンハルト・シュリンクの新作の翻訳。

    ドイツ赤軍派のテロリストが20年余年の収監ののち、恩赦によって釈放された当日、翌日、翌々日の3日間を描いたもの。
    シュリンクは、週末、元テロリストと彼を囲んでいる人々に回想させ、語らせ、現在を見つめさせる。後半は、シュリンクらしく、読者を驚かせる仕掛けも用意しているので乞う期待。

  • 映画『愛を読むひと』の原作『朗読者』の作者、ベルンハルト・シュリンクの最新作。
    釈放された老「テロリスト」と彼を出迎える旧友たち。興味深い内容と展開で、早く読み終えるのがもったいなくて、わざとゆっくり読んだ。久しぶりに出会えた、完成度の高い小説だ。
    テロリストが題材となると、大抵は軽薄なまでにサスペンスなミステリーか、やたら重いだけになる気がするが、本書は、あくまで人間ドラマに終始する。背景に血生臭さはあっても、描かれる場面は日常の生活観で、会話と内省の中に様々な深さが垣間見える。静かで深い作品だ。シュリンクの作品を、もっと読みたくなった。

  • あの映画化もなった「朗読者」の作者の作品。
    なんですが、
    朗読者は観もせず読みもせず。。。

    私には、シュリンクの初めての作品。
    いろいろな人生。
    テロリストやその親族、時代を共有した学生たちの
    様々な人生。
    いろいろな角度から人を表して見せる。

  • 登場人物の気持ちの流れを丁寧に追う書き方はシュリンクの作品の素敵なところ。ゼルプシリーズでよくあるけれど特に「汚辱」を背負った人々を描くとそれが際立つ。
    前半からかなり終盤まで静かな展開なのでだれてくるものの、終盤でこの作品の肝(おそらくこれを書くための一冊なのだろうと思われるシーン)はドラマチックで鮮やかな印象。

  • 女性の描き方と、全体的なテーマと、終わり方が雑に感じて、どうにも入り込めず。

  • ドイツ赤軍の首謀者が恩赦で出所する。姉が集めた昔の仲間と共に語り合う週末。それぞれの人生を描く群像劇。登場人物が多くて読むのに難儀した。

  • ヨーロッパの田舎のお家の中庭で、みんなで食事をするっていいですね。まあ、そこに集まった人たちは、大きなことに伴う犠牲や償うことのできない行為について考えをめぐらし、論じているのですが。余談ですが、新潮クレストブックにも栞がついていてうれしい!文庫で栞があるのって新潮社ですよね。

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週末 (新潮クレスト・ブックス)の作品紹介

かつて赤軍派テロを首謀した男が、恩赦を受けて20年ぶりに出所した。姉は郊外の邸宅を準備し、旧友たちを呼び寄せる。密告者は誰だったのかと訝る元テロリスト。遠い日の失恋に思いをめぐらすジャーナリスト。9.11テロについて考え続ける英語教師。旧友たちの和解を願う女性牧師。そして、邸宅に現れた謎の若者。やがて苦い真実が明らかになり、未来への祈りが静かに湧き上がる-。『朗読者』の著者による「もう一つの戦争」の物語。

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